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酒坏に梅の花浮け思ふどち飲みての後は散りぬともよし

 酒坏(さかづき)に梅の花浮け思ふどち飲みての後は散りぬともよし (万葉集・大友坂上郎女)

 今年のタイトルは万葉集から。「思ふどち」は相思う人々、親しいものどし、心の合った者どうし。

 今回の短歌も『ぼくの短歌ノート』(穂村弘、講談社、2015年6月15日刊)から。不思議な感覚の歌、見たままの歌、笑ってしまう歌などなど。

 マウンドにコーチ・内野手駆け寄れば我も行かねばテレビの向かふに (川西守)

 s-千葉の海201902
 @房総・平砂浦。

 動き初むる汽車の窓よりわれを見し涙とび出さんばかりの眼なりき (筏井嘉一)

 s-照葉樹林①201902
 照葉樹林が2月の陽を浴びて輝く。

 噴水は疾風にたふれ噴きゐたり 凛々(りり)たりきらめける冬の浪費よ (葛原妙子)

 s-照葉樹林②201902

 渇きたる砂に半ばうづもれて貝殻はみな海の傷持つ (大西民子)

 s-照葉樹林③201902

 名を呼ばれしもののごとくにやはらかく朴の大樹も星も動きぬ (米川千嘉子)

 s-照葉樹林④201902

 たちまちに君の姿を霧とざし或る楽章をわれは思ひき (近藤芳美)
 
 s-照葉樹林⑤201902

 さりげなくさしだされているレストランのグラスが変に美しい朝 (早坂類)

 s-照葉樹林⑥201902
 ヤマハゼかな?

 湯口より溢れ出でつつ秋の灯に太束(ふとたば)の湯のかがやきておつ (宮柊二)

 s-照葉樹林⑦201902

 約束を残したまま終わっていくような別れがいいな、月光 (杉田菜穂)

 s-照葉樹林⑧201902
 ヌマスギに絡む蔦植物。

 スカートをはいて鰻を食べたいと施設の廊下に夢が貼られる (安西洋子)

 s-照葉樹林⑨201902

 草つぱらに宮殿のごときが出現しそれがなにかといえばトイレ (小池光)

 s-照葉樹林⑩201902

 ボールペンの中身のインクが見えるのに書けないいらだちぐるぐるをかく (吉田洋和)

 s-照葉樹林⑪201902

 さくらさくらいつまで待っても来ぬひとと 死んだひととはおなじさ桜 (林あまり)

 さて、今回は長い「おまけ」。偶然に、東日本大震災をテーマにした作品を3冊続けて読んだ。

      s-本201902 
 
 先ずは、前号でも紹介した乙川優三郎の『太陽は気を失う』(文春文庫)。書評家江南亜美子氏は、次のように解説している。

 この作品では、里帰りする初老の女性が登場する。かつて暮らした東北の海沿いの町には、老いて一人暮らしをする母がいる。この帰省の目的は、母親の見舞いに加え、ひと月前に四十六歳で亡くなった、知的障害者でもあった幼馴染の起則くんの墓参りにもあった。

 老母のおつかいに応えてスーパーに出かけようとしたとき、大地震が起きる。余震もつづくなか、津波に備えて自力での歩行も困難な母と少しでも高いところへ逃げようとするが、その行動は捗々しくはいかない。そして避難所へ。交通網も寸断され、不便と不安のつのる慣れない避難所暮らしにあって、逗子にいる彼女の夫との会話が挿入される。

 〈「地震と津波で家はめちゃくちゃよ、母と避難所にいるの、食べるものがないし、もう一度大きな地震が来たらここも危ない、あなたから東京の姉に電話して、車で助けに来るように言って」(中略)「あの人は苦手だ、話したくない」「お願い、そんなことを言っているときじゃないでしょう、母もいるのよ」「金は借りたのか」そのとき地面が揺れて、私の芯のあたりも揺れた〉

 じつは、この里帰りには、借金の申し込みという隠されたもうひとつの目的があったのである。しかもその借金は夫のふがいなさと見栄に起因するものだ。・・・・

 地縁が薄れていても起則くんのことは忘れなかった「私」が、過酷な被災状況にあって、夫の他者性に直面する。親の無力さにもまた。彼女はこの瞬間、時間が堆積して形作られてきた自分自身の「生」を、むなしく感じたことだろう。しかしそれに打ちひしがれただけではなく、夫との決別をも決意する。フィクションの力で、ある登場人物の人生がそこにまざまざと立体的に立ち上がるというのはひとつのマジックのようなものだが、それが可能になったとき、その物語は特定の場所や時代〈この作品なら3.11〉というくびきから解かれる。これがわたしやあなたの物語であってもなんら不思議ではない、という普遍性を獲得するのである。 

 二つ目は佐伯一麦(さえきかずみ)の『空にみずうみ』(中公文庫)
 
 この作品は、2014年6月23日から2015年5月26日まで、読売新聞夕刊に連載したもの。舞台は仙台。作家の小山田浩子氏の解説は次の通り。

 震災は日本中に大きな影響を与えたが、言うまでもなくその心理的な濃淡はさまざまであり、亡くなった人、亡くした人、家を失った人、そこにある土地に足を踏み入れられなくなってしまった人、電気や物資の不足に困った人、ボランティアに行った人行けなかった人行きたくなかった人・・・・・・それら全てに届く言葉などあるはずもない。当事者が発した言葉なら正しいわけでもないし誰かからのいたわりや鼓舞の言葉が暴力になる場合もある。・・・・

 作者はずっと自分の人生や生活と重なる作品を書いてきた。だから、「日常」を書くというのは作者のこれまでの作品と共通する姿勢ではある、が、本作ではそれらよりさらに細やか静かな描写、現実離れして感じられるほどもの柔らかな会話が選択されているように思える。
 それによって、作者の、自分はこうして (どんなことがあったあとであろうとも) 「日常」に淡々と向かい続けるのだ、それを作品にし続けるのだ、というむしろ激しいほどの決意と努力を読者は感じることになる。どんな災厄が起ころうと、それからも人は生きていかなければならない。震災を克服すべきものとして対峙するのではなく、顔を背けるのでもなく、目を向け耳を傾けじっと向き合い続ける。そして作者は、花を見たり木に触れたり水たまりを見つけるたびに、それにまつわる作家や詩人の文章を思い出し読み返す。

 覚悟のもと日常を生きていくとき、自然の移ろいに目を留め文学作品を紐解くのは単なる癒しや慰めにとどまらない。それは大きな事態を前にともすれば狭くなりがちな視野を広げるための、自分自身の心の基盤となる。「日常とは時間を取り戻すことなのかもしれません。」という言葉通り、人間の生活とはまた違ったリズムで繰り返される自然の営みへ研ぎ澄ました五感で向き合うこと、心の中に生きているさまざまな人々の声と融和すること、そしてそれを日々作品として書くこと。作者は日常を、その中に震災も含まれている日常を、受け止め生きようとしている。


            s-本②201902
             
 三作目は安東量子の『海を撃つ』(みすず書房)。以下は、本著の裏表紙の紹介文。

 著者は、植木屋を営む夫と独立開業の地を求めて福島県いわき市の山間部に移り住む。震災と原発事故直後、分断と喪失の中で、現状把握と回復を模索する。

 放射線の勉強会や放射線量の測定を続けるうちに、国際放射線防護委員会 (ICRP) の声明に出会う。著者はこう思う。「自分でも驚くくらいに感情を動かされた。そして、初めて気づいた。これが、私がいちばん欲しがっていた言葉なんだ、と。『我々の思いは、彼らと共にある』という簡潔な文言は、我々はあなたたちの存在を忘れていないと明確に伝えているように思えた。」

 以後、地元の有志と活動を始め、SNSやメディア、国内外の場で発信し、対話集会の運営に参画してきた。「原子力災害後人と土地の回復とは何か」を掴むために。事故に対する関心の退潮は著しい。復興・帰還は進んでいるが、「状況はコントロールされている」という宣言が覆い隠す、避難している人びと、被災地に住まう人びととの葛藤と苦境を、私たちは知らない。

 地震と津波、それに続いた原発事故は巨大であり、全体を語りうる人はどこにもない。代弁もできない。ここにあるのは、いわき市の山間部に暮らすひとりの女性の幻視的なまなざしがとらえた、事故後7年半の福島に走る亀裂と断層の記録である。 

 還太郎は、「農業簿記3級」の講座の受講を昨日から開始。1回3時間を6回。受講料はテキスト代のみ。昨年の受講者が全員合格して資格を取得したと聞いて安心して始めた次第。資格取得のための受験は運転免許以来かな。頭の体操中 ❢

 皆さま、お健やかにお過ごし願います。
 
 

今さらに 雪降らめやも かぎろいの 燃ゆる春へと なりにしものを

 今年のタイトルは『万葉集』から。この歌の意は、「陽炎(かげろう)の燃え立つ春になったのに、なんで今さら雪なんか降るのだろう、もう雪なんてたくさんだよ」(作者不詳)。

 今回の短歌は『ぼくの短歌ノート』(穂村弘、講談社、2015年6月15日刊)から。不思議な感覚の歌、見たままの歌、笑ってしまう歌などなど。

 よくわからないけど二十回くらい使った紙コップをみたことがある (飯田有子)

 s-ウメ20190203
 
 あのこ紙パックジュースをストローの穴からストローなしで飲み干す (盛田志保子)

 s-ウメ20190204

 10分後賞味期限が切れる肉冷凍庫に入れて髪乾かす (田中有芽子)

 s-ウメ②20190204

 昼なのになぜ暗いかと電話あり深夜の街をさまよふ母より (栗木京子)

 s-サザンカ20190204

 父のなかの小さき父が一人づつ行方不明になる深い秋 (小島ゆかり)

 s-スイセン20190204

 銀杏を食べて鼻血が出ましたかああ出たねと智恵子さんは言う (野寺夕子)

 s-ボケ20190203

 「オレオレ」とまた電話あるは金持ちの様なわが名の所為なのだろう (大成金吾)

 s-ホトケノザ20190204

 あ、http://www.jitsuzonwo.nejimagete.koiga.kokoni.hishimeku.com (荻原裕幸)

 s-モクレン20190204 (1)

 コマーシャル挿入されてわれは消ゆ生命保険に笑む小家族 (大塚寅彦)

 s-ロウバイ20190203

 月を見つけて月いいよねと君が言う  ぼくはこっちだからじゃあまたね (永井祐)

 s-ロウバイ20190204

 「おぢいちゃんしぬまでながいきしてください」誕生祝いは孫からの文 (鉄本正信)

 s-枯れ花20190204

 どうこうと思うなけれど曾孫は「ばあちゃん、男か女か」と聞く (香城清子)

 s-枯れ花②20190204
 
 お一人様三点限り言われても私は二点でピタリと止めた (田中澄子)
 
 s-枯れ椿20190204

 「扉のむかうに人がゐるかもしれません」深夜のビルの貼紙を読む (清水良郎)
 
 s-枯草20190204

 えーえんとくちからえーえんとくちから永遠解く力を下さい (笹井宏之)

 「エーエンと口から」鳴き声がしているのかと思ったが、数回読むと「永遠解く力」が繰り返されていると気づく。

 s-枯葉20190204

 白鳥はふっくらと陽にふくらみぬ ありがとういつも見えないあなた (渡辺松男)

 s-白鳥20190204
 近くの蛭田(びんだ)川にて。最近は白鳥も飛来している。

 ねたらだめこんなところでしんじゃだめはやぶさいっしょにちきゅうにかえろう (田中弥生)

 満身創痍で地球に帰還した、小惑星探査機「はやぶさ」への呼びかけの歌。

 s-野鳥と鯉20190204
 同じく蛭田川。鯉と野鳥が共存。水の色も柔らかくなってきた。

 北浦和 南浦和 西浦和 東浦和 武蔵浦和 中浦和と無冠の浦和 (沖ななも)

 s-葉20190204

 誤植あり。中野駅徒歩十二年。それでいいかもしれないけれど (大松達知)

 s-新葉20190204

 いつの日のいづれの群れにも常にゐし一羽の鳩よ あなた、でしたか (光森裕樹)

 s-寒桜③20190207
 寒桜かな。@館山市。

 妻を得てユトレヒトに今は住むといふユトレヒトにも雨降るらむか (大西民子)

 著者の穂村弘は、作者(大西)に近い人から、「ユトレヒト」は虚構、と聞かされショックを受けたとのこと。曰く「かつての夫の再婚が事実の場合、地名だけをそこまで劇的に変えてしまうことはちょっと考えられない。そう考えてしまった私は、現実をドラマ化する大西ワールドの凄みを改めて痛感させられた」。

 s-寒桜②20190207

 雨の県道あるいてゆけばなんでしょうぶちまけられてこれはのり弁 (斉藤斎藤)
 
 s-寒桜20190207

 硝子戸に鍵かけてゐるふとむなし月の夜の硝子に鍵かけること (葛原妙子)

  s-富士山20190208
 東京湾アクアラインの「海ほたる」から富士山を望む。
 
 畳のヘリがみな起ち上がり讃美歌を高らかにうたふ窓きよき日よ (水原紫苑)

 いわきは6日は雨だった。今年初めての雨では? 明日は雪との予報。雨でも雪でも降ってくれないと、畑がカラカラでタマネギの苗が育たない。

 皆さま、温かくしてお過ごし願います。


 以下、おまけを二つ。一つ目は『僕の短歌ノート』で読んだ塚本邦雄の随筆。

 私の家を含む東大阪市一部の電話は三年ばかり前に局番が變わった。(略)新局番は七四五、これと六二六二を組合わせて、舊番號も霞むばかりの名作を捏(でつ)ち上げねばならぬ。長考十分、すなはちでき上つたのは「梨五つ浪人六人國を出る」である。

 頃は元祿、さる大名の姫君が天竺(てんぢく)渡りの梨の木に始めて生つた實を、日頃寵愛の文武容色いづれ劣らぬ六人の若侍に與へようとしたが、生懀その數五つ。ここに端を発して御家騒動が起る。波瀾萬丈、紆余曲折の後六人は祿を棄てて出奔する。

 いとも舊めかしいロマンスで恐縮ながら、「國を出る」とは、「浪人六人=六二六二」までダイヤルし終ると、お呼び下さった私が電話口に出る、すなはち「邦雄出る」が懸けてあるのが味噌。ありの実・浪人・亡命から成る三題噺は、各人の好みでいかやうにも創作しつつ電話いただきたいものだ。
 (「菜葉煮ろ煮ろ」から。)

二つ目。 乙川優三郎 『太陽は気を失う』 (文春文庫 2018.9.10刊)から。

 常磐線が大津港から北へ県境を越えて間もない小さな駅の近くに細い川の流れがあって、土手の道を歩いていくと海であった。途中には百年は持つと言われた実家があり、海辺には発電所と墓地があった。私の帰郷の目的はひとり暮らしの老母を見舞い、一月前に亡くなった知人の墓へ参ることであった。

 短編14話の文庫本の第一話の冒頭が上記の文章。いま私がいる街である。この日の午後、主人公は東日本大震災に遭遇する。私も、その日はいわきに居たので、身につまされつつ読了。乙川優三郎は、オール讀物新人賞、時代小説大賞、山本周五郎賞、直木賞、中山義秀賞、大佛次郎賞、芸術選奨文部科学大臣賞(「太陽は気を失う」で)等々を受賞。

若の浦に 潮満ちくれば 潟を無み 葦辺をさして 鶴鳴き渡る

 今年のタイトルは『万葉集』から。

 若の浦に 潮満ちくれば 潟を無(な) 葦辺(あしべ)をさして (たづ)鳴き渡る。山部赤人。

 「若の浦に潮が満ちてくると干潟が無くなり、葦の生えている岸辺に向かって、鶴が鳴きながら飛んでいく」の意かな。潮が満ちて来て干潟が隠されるという悠久の自然を示す表現。満ち潮の動きに伴って、鳴きながら鶴が岸辺へ移動するという冬ならではの一コマ。

 今回も短歌は『昭和万葉集秀歌 【三】 四季・自然』(講談社現代新書・上田三四二編、昭和60年1月刊)から。作者名の後の数字は昭和何年の、或いは昭和何年何月の発表かを示す。

 嶺を覆う杉生(すぎふ)にまなこ凝らす時げにかすかなる秀(ほ)のゆらぎみつ (三好直太・48.10)
 
 s-阿武隈山系20190113
 阿武隈山系。中央奥の三角形の山は朝日山(標高797.3m)かな。冬の晴れた日には富士山が見えるらしい。その左手前は仏具山(607.5m)かな。山頂に通信用設備がかすかに見える。

 夜ふけし寒さに木の裂くる杉の木のするどき音は峡(かひ)にひびくも (大滝進保・49.3)

 s-勿来関20190114
 以下7葉は@勿来の関。

 蒼蒼(あおあお)と山たたなはる月の夜を雪かがやかす天(そら)の蔵王は (野地曠二・17.1)

 s-勿来関②20190114

 天つ日ははろかにさせり雪原のむかうに青き甲斐の山見ゆ (胡桃沢勘内・23)

 s-勿来関③20190114

 沫雪(あわゆき)のほのぼの白き晨(あさ)あけに巣にすむ鳥はささやき交わす (木山みさを・51)

 s-勿来関④20190114

 うち晴るる雪の野に舞ふ白鷺の羽のひかりは天(あめ)にまぎれぬ (木俣修・17)

 s-勿来関⑤20190114

 流れくる吹雪に真向(まむ)くしまらくは鶏(かけろ)もまなこ閉ぢて佇(た)ちゐつ (木俣修・17)
 
 s-勿来関⑥20190114

 波うてるかたちとどめて夜の吹雪荒れしづまりしこの明るさや (梶井重雄・49)

 s-勿来関⑦20190114

 冬の日といへども一日(ひとひ)は長からん刈田に降りていこふ鴉ら (佐藤佐太郎・41)

 s-野菜20190117
 いまはブロッコリー、カリフラワー、春菊、葉タマネギを出荷。ブロッコリーとカリフラワーは「根切り虫」の被害甚大で収穫できたのは2割程度かな。野菜は全て無農薬栽培につき、次のシーズンに備えて農薬を使わない根切り虫対策を勉強中。

 北方をとざせる煤のごときもの冬ながくして雲も古りたり (草野久佐男・36)
 
 s-広幅の溝20190118
 これは冬場の土壌作りのひとつ。幅90cm、深さ50cmの広幅の溝をスコップ一丁で掘る。15m×3本を予定。この溝の中に十分乾燥させたやや太い枝、中くらいの太さの枝、細い枝を下から順に積み上げて埋設する。理想的には深さ80cmと某農業誌に書いてあったが、バックホーでも買わないと無理なので50cmで妥協。因みに中古の小型バックホーでも100万円以上する由。
 既に一列は作業を終えたが、0.9m×0.5m×15m = 6.75立米の土を掘出し、埋め戻したことになる。これを比重1.5で換算すると約10 t 。3列で計30 t 。掘出しと埋め戻しで合計60 t か Σ(・□・;)・・・。1週間で終わらせると妻には話したのだが・・・。でも筋肉痛にもなってないし、いけるかな?

 1/14、茨城県天心記念五浦美術館にて『小林恒岳展』をみた。フラッシュを焚かなければ写真撮影OK。むしろ「SNS等で積極的に発信してください」とのこと。
 「小林恒岳(1932~2017)は茨城県を代表する日本画家。長く石岡市や吾国山中腹で暮らした。作品は、小林が自然から感じ取った生命のかがやきとぬくもりを、写実と装飾性を融合させた平明で親しみやすい表現に昇華させ、誰もが共感できる生命賛歌として描き上げたもの。」(美術館のホームページから抜粋) 展示は2/11まで

 s-小林恒岳①
 「蓮池・雲流れる」。

 s-小林恒岳②
 「春の鯉」。

 s-小林恒岳③

 s-小林恒岳④
 筑波山。

 陽射しがあって風が弱い日は、車に乗っているときなどは暖房を止めてしまうほど暖かいのだが、陽射しがなくて風が強いと「東北の湘南」と言われるいわきも当然寒い。この不安定な気候のせいで風邪などひかぬよう、手洗いとウガイ励行の日々。

 皆さまも、どうぞお気をつけてお過ごしください。

新しき 年の初めに 思ふどち い群れて居(お)れば 嬉しくもあるか


 今年のタイトルは『万葉集』から。この歌の意は「新しい年の初めに、気の合った仲間と集まっていられるのは、楽しいものですね。」道祖王(ふなどのおう)作。

 一昨日に続き今日(1/11)も北風が強い。野良仕事は無理そうなので、ブログ用の写真撮りに行こうとしたが、なにせ冬枯れ。絵になる材料がない。はたと思い付いたのが、『いわき市フラワーセンター』。大きな温室がある。

 今回も短歌は『昭和万葉集秀歌 【三】 四季・自然』(講談社現代新書・上田三四二編、昭和60年1月刊)から。作者名の後の数字は昭和何年の、或いは昭和何年何月の発表かを示す。

 岩づたふ鶺鴒の影見れば冬の明りぞ澄みとほりたる (北原白秋・18) 

 s-石森山20190111

 風に乗りてくる鉦の音寒修行のひとゆく夜(よは)にやすらぎは充つ (木俣修・33)

 s-石森山②20190111

 元朝の牛にいささか餅をやり家族としてのねぎらひをする (大木与一・43.3)

 s-石森山③ヤエサンユウカ20190111
 ヤエサンユウカ。

 寒の水あかとき飲みてねむりけり涌井の椿咲くと思ひて (前登志夫・47)
 
 s-石森山④20190111

 岸よりに鴨はねむれり濠の面(も)はこの降る夜の雪に明るく (木俣修・30)
 
 s-石森山⑤20190111

 伐られたる昨日の株に夜の雪はいたはりを積み盛りあがりたる (上田三四二・50)

 s-石森山⑥ネリネ20190111
 ネリネ。

 しづれ落つる雪に揺れゐる郁子(むべ)の実の一つ残りて年を越したり (西村俊一・45) 

 s-石森山⑥の②20190111

 その下に冽(きよ)き地下水はしれりとおもふまで麦の芽がそよぎおり (畑和子・47)

 s-石森山⑥の③20190111
 
  丹沢山の出湯の村は十頭の猪(しし)を吊して年迎へたり (鈴木貫介・43)

 s-石森山⑦20190111

 (とほ)つびと、我に告げ来ることのはも みじかかりけり。年のはじめに (釈迢空・23)

 s-石森山⑧20190111

 那智村の山家(やまが)をつつみ降る雪のあたたかにして梅ほころびぬ (中村雅夫)
 
 s-石森山⑨紅梅20190111
 紅梅。

 (にい)どしの標縄(しめ)のかざりのすがしさよものの初めはおごりなくして (今井邦子・13)

 s-石森山⑩20190111

 はつ春の真すみの空に真白なる曙の富士仰ぎけるかも (佐佐木信綱・26)

 s-石森山⑪ヒイラギナンテン20190111
 ヒイラギナンテン。

 (ひ)のやまの檜(ひのき)の雪をふるふおと暁はやくひびきて聞こゆ (伊藤保・31.4)

 s-石森山⑫蝋梅20190111
 ロウバイ。

 貧窮の年は暮れんと厨には吊せし鮭の歯あらわなり (岡部桂一郎・32.2)

 s-石森山⑬20190111
 バラ。
 
 冬ながらこの日だまりに家あれば我が老いにしを憂しとは言はず (内藤濯・53)

 還太郎は66歳になった。ゾロ目の歳を、喜寿(77歳)や米寿(88歳)、白寿(99歳)のように66歳を示す言葉は無いようである。70歳が古希(古来稀なり)なのだから、60代は名付けるまでもないということか。因みに、半寿、卒寿、紀寿、茶寿、皇寿、珍寿、天寿、大還暦・・・などもある由。

 12月のいわきのJA祭の野菜の即売会で、隣に軽トラを並べたご夫婦は80歳代。農作物の価格競争に巻き込まれたくないので、毎年新しい作物に挑戦しているとのこと。荏胡麻や珍しい豆などを販売しておられた。お顔は歳相応とお見掛けしたが、挑戦する気持ちがすごい  ‼

 皆さま、厳寒の砌、ご自愛専一に ❣  

敬頌新禧(けいしょうしんき)


 遅ればせながら、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

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 元旦、6時54分、いわき市勿来海岸。妻がスマホで撮影。

 今回のテキストは『ホームレス歌人のいた冬』(三山喬 著、東海大学出版会・2011年3月刊)から。

 (柔らかい時計)を持ちて炊き出しのカレーの列に二時間並ぶ (ホームレス・公田耕一)

 この歌は2008年12月8日、朝日新聞の歌壇に掲載された。 「柔らかい時計」は、スペインの画家ダリの代表作『記憶の固執』に描かれたモチーフ。まるで高熱でとけてしまったのように、段差の上に置かれた時計の盤面は、自らの重みでぐにゃりと折れ曲がっている。別の時計は、木の枝に洗濯物のようにふたつ折れにぶら下がっている。

 ホームレスを名乗る投稿者は、炊き出しの順番を待つ忍耐力をこの比喩で示そうとしたのか。それとも、空腹のなかで時間感覚が溶けるようにひしゃげてしまったさまを歌ったのだろうか。

 s-鮫川河口20190104
 1/4、鮫川河口と太平洋。川の中央部の二つの黒ポチは釣り人。

 鍵持たぬ生活に慣れ年を越す今さら何を脱ぎ棄てたのか

 公田の短歌は、2008年12月~翌年1月にかけて計6首が採用された。朝日歌壇には毎週2,500~3,000首が寄せられる。掲載されるのは4選者の欄に計40首だから、「常連」として読者に認識されるハードルの高さがわかるだろう。公田はその難事をわずか数週間で果たしてしまった。「公田」をテーマとする短歌も掲載され、このあとも長く続く。

 炊き出しに並ぶ歌あり住所欄(ホームレス)とありて寒き日 (武富純一、2008・12・22)

 一日を歩いて暮らすわが身には雨はしたたか無援にも降る 
  
 s-内牧公園20190106
 (以下の写真はすべて1/7・@春日部)

 パンのみで生きるにはあらず配給のパンのみみにて一日生きる

  s-内牧公園②20190106

 親不孝通りと言へども親もなく親にもなれずただ立ち尽くす
 哀しきは寿町と言ふ地名長者町さへ隣りにはあり

 公田の投稿ハガキの消印は「横浜」。寿町も長者町も横浜市中区の地名。公田に関する個人情報はこれだけ。

 s-内牧公園④20190106

 美しき星空の下眠りゆくグレコの唄を聴くは幻 

 1951年、フランスの歌手ジュリエット・グレコが吹き込んだ曲『美しき星の下に』を知る人は、シャンソン愛好家にも少ない。スペインのシューレアリスム画家に続いて、今度は「実存主義の女神」と呼ばれ、銀幕でも活躍した美貌の歌姫である。天声人語氏には、作品ににじみ出る公田の教養が、あまりに深く思えることへの違和感もあったのだろう。「ホームレスという境遇までが『作品』なのか、確かめようはない。知りたくもあり、知りたくもなし。」と戸惑いを綴っている。

 s-内牧公園⑤20190106

 胸を病み医療保護受けドヤ街の柩(ひつぎ)のやうな一室に居る

 囚人の己れが<(ホームレス)公田>想いつつ食むHOTMEALを (郷隼人)
 *郷隼人。アメリカで殺人事件の終身犯として20年以上収監されている日本人受刑者。

 温かき缶コーヒーを抱きて寝て覚めれば冷えしコーヒー啜る

 s-内牧公園⑥20190106

 我が上は語らぬ汝の上訊(き)かぬ梅の香に充つ夜の公園
 *「上」は「身の上」のこと。

 生きていれば詠めるペンあれば書けることを教えてくれたホームレス公田氏 (甲斐みどり)
 
 s-内牧公園⑦20190106

 瓢箪の鉢植えを売る店先に軽風立てば瓢箪揺れる

 2009年9月7日。この日掲載された歌を最後に、公田の作品は朝日歌壇から姿を消す。初掲載から最後の作品までが丁度40週。公田の作品の中に「毎週2首投稿している」という歌があるが、計80首投稿して28首の入選。打率3割5分。朝日歌壇の全体の採用率は2%に満たないわけだから、この「打率」はすさまじい。
  
 s-内牧公園⑧20190106
 *この写真は逆さまではなく、枝が折れて垂れ下がっている姿。

 寒くないかい淋しくないかい歌壇でしか会えぬあなたのしばしの不在 (井村公司、2009・11・16)

 先ほどNHK福島が、いわき市三和町では福寿草が咲き揃っていると紹介。昨年の冬至は12月22日。それから3週間弱であるが、大分日が長くなったような気がする。風の冷たさは増すばかりでも、福寿草も咲き、還太郎宅のヒヤシンスも満開。明日が穏やかな天気ならば両実家の植木に寒肥(かんごえ)を施すかと思案している。草木灰はたっぷり用意してある。さすがに年末年始は野良仕事も休止していたので、腹回りが若干肥大化傾向。明日からは定常運転に復帰する予定。

 皆さま、お健やかにお過ごし願います。

   

崢嶸(そうこう)


崢嶸(そうこう)は、山や谷のけわしさ、人生のけわしさ。今年のタイトルは漱石『草枕』の難解熟語。

 今回は今年撮った写真から。こうして1年間の写真を並べてみると、季節の移ろいとともにいろいろな花々が咲くものだなと改めて感心する。
 今回の短歌は、日経歌壇「2018年の秀作(上)」(12/22・三枝昂之 選)から。

 ほうき、橋、指ぬき、老いの手の一人あやとりそこで終はりぬ (仙台・武藤敏子)

 s-20180101鶴沼
 @神立(土浦市)。
 
 「君たち」を「老人たち」に置きかへてどう生きるかを考へてみる (長野・山口恒雄)

 s-20180107春日部
 @春日部。

 100万回生きたねこから訊くべきは100万回の死の迎え方 (横浜・安西大樹)

 s-201802神立
 @神立。*「百万回生きたねこ」は佐野洋子作の絵本。一匹の猫が輪廻転生を繰り返していく様を描いた作品。200万部超のベストセラー。

 団塊で生まれて働きそして老い社会の重荷と言われる世代 (横浜・森秀人)

 s-201803神立
 @神立。

 いくつかの改竄疑惑を飲み込みて耐へる能吏の家族を思ふ (成田・神部一成)

 s-201803②いわき
 @いわき。

 晩節を汚せるほどに出世せよと励ます親のゐさうな現代 (横須賀・丹羽利一)

 s-201804神立
 @神立。 

 内定にフライングしてルールなど構わず始まる新社会人 (東京・野上卓)
 
s-201804②神立
 @神立。

 総理よりひびく言葉におみなごが今を生きるとおきなわの日 (甲府・内藤富士子)
 
 s-201804③神立
 @神立。

 アンフェアが当たり前だと知ったとき少年時代は終わりとなった (八千代・服部勝) 
 
 s-201804④神立
 @神立。

 煮凝りを割ればふるさと滲みでるどじょっこふなっこもう冬ですね (東京・青木公正)

 s-201804⑤神立
 @神立。

 芽吹きたつ木々のむかふの校舎裏夢ある若きの銀輪並ぶ (横須賀・小知和弘子)

 s-201805いわき
 @いわき。

 帰省して厠に出でて眺めたる砂子のやうな満天の星 (八王子・竹下富子)

 s-201805②いわき
 @いわき。

 此のところ将棋弱いぞ無事なのか病の前科癒えた筈だぞ (千葉・磯崎静夫)

 s-201805③神立
 @神立。

 俺なんか掃除・洗濯・布団干し大谷君よりやること多い (川口・亀山幸輝)
 
 s-201806神立
 @神立。

 一生に一度奇跡の一枚を撮られてみたい篠山紀信に (横浜・橘高なつめ)

 s-201806②神立
 @神立。

 宇宙(おおぞら)は億光年先が見えるのに地下十キロが読めぬ災い (東京・上田国博)

 s-201807いわき
 @いわき。
 
 人生の荒海ばかり渡りつつ凪しか知らぬ顔した希林 (筑紫野・二宮正博)

 s-201807②いわき
 @いわき。

 以下は、日経俳壇「2018年の秀作(上)」(12/22・黒田杏子 選)から。全17句のうち冒頭の5句は今年2月に亡くなった金子兜太を悼む、偲ぶ作品。

 俳鬼神昇り春天賑はへり (下関・粟屋邦夫)

 s-201808いわき
 @いわき。
 
 遺句のごと巖(いわ)に残雪嗚呼兜太 (倉敷・山本一穂)

 s-201809②いわき
 @いわき。

 竜天に登るあなたを忘れない (池田・鈴木みのり)

 s-201809③いわき
 @いわき。

 兜太さん勝手にしのぶ花の宴 (下妻・神郡貢) 

 s-201809いわき
 @いわき。

 蛍烏賊仕えし兜太偲ぶ日よ (東久留米・渡辺誠)

 s-201809④いわき
 @いわき。 

 フクシマの墓前に届く初音かな (千葉・渡部健)
 
 s-雨後20180928
 @春日部。

 八月六日被爆四世の産声 (広島・村越縁)

 s-201809昭和公園
 @昭和公園。

 汝断酒我は禁煙山眠る (国立・松尾丈)

 s-201810②いわき
 @いわき。

 空腹を忘れて居たる原爆忌 (大阪・田村昶三) 

 s-201810いわき
 @いわき。

 街の灯に夏のおとろへ見えにけり (立川・西遥)

 s-201810春日部
 @春日部。

 署名せずカンパもせずに夏ゆけり (東京・野上卓)

 s-201811③いわき
 @いわき。

 「月佳なり」荷風記せし敗戦日 (千葉・鈴木千ひろ)

 s-201811⑤いわき
 @いわき。

 新米の上手に炊けぬこともあり (東京・明惟久里)

 s-201811いわき
 @いわき。

 川越せぬ蜻蛉か橋を渡りゆく (白井・毘舎利道弘)

 s-20181130紅葉
 @いわき。

 眼に深く深く沈めよ冬銀河 (ソウル・金利恵)
  
 s-20181211いわき
 @いわき。

 長く生きそしてひとりの庭花火 (堺・鈴木律夫)

 s-モズ
 @いわき。この一枚だけ2015年5月に撮ったもの。モズの眼つきが険しいのは雛を狙うカラスを警戒しているから。

 拙ブログも289回目となった。読者の皆様に感謝 ‼ 最近はカメラよりも鍬やスコップ、電動工具を持つことがはるかに多い。晴れた日は野良仕事。雨の日は写真撮影には不向き。そんなことで、1ヶ月振りのブログ更新となった次第。

 年末は寒波襲来とのこと。皆さま、くれぐれもご自愛願います。どうぞ良いお年をお迎えください。
 

的皪(てきれき)

「的皪」はあざやかに白く輝くさま。今年のタイトルは漱石『草枕』の難解熟語。漱石は『草枕』では「的皪と光るのは白桃らしい」、『野分』では「明星と見まがう程の留針が的皪と輝いて」、『虞美人草』では「的皪と近江の湖が光った」と使っている。

 今回も短歌は『昭和万葉集秀歌 【三】 四季・自然』(講談社現代新書・上田三四二編、昭和60年1月刊)から。作者名の後の数字は昭和何年の、或いは何年何月の発表かを示す。

 薄雪の降りし街路にアセチレンなげきのごとく点し蟹売る(阪田博義・34.1)

 s-縁側20181115
 11/5、実家の縁側の下を掃除。縁側の下には猫の侵入防止のために網が張られていたのだが、経年劣化であちこちが破れていた。網を撤去し、落葉などを掻き出す。家の西側に8畳間ほどの大きさの池があるせいか、掻き出した土が湿っているので、吸湿のためにゼオライトを敷設。

 霜ばしらくづれて出でし水光り青き万年青(おもと)の根に流れゆく (谷鼎・10.1)

 s-縁側の下補修20181115
 網を張ってもいずれは破れてしまうので、柵を製作。防腐剤を塗布した柵はフックに架けられているだけなので、掃除のときには簡単に取り外せる。ほぼ一日掛かりの仕事となり、完成は16時過ぎになってしまった。馴れていない木工作業にしてはまずまずのできと自画自賛。(柵が撓んでいるのは、ホームセンターで買ってきた板が撓んでいたから。買うときにもっと注意しないとダメだね。)

 澄みとほる朝の日射(ひざし)に冬畑の氷柱かがやき葱の秀(ほ)は燃ゆ (岩間正男・22.3)
 
 s-八つ手20181119
 11/19、夜来の雨も上がり、好天に。以下11葉は庭先にて。ヤツデ。
 
 花蘭(た)けし椿の蔭に孔雀をりいま擾乱(ぜうらん)のうつつに遠き (大野誠夫・46)

 s-水滴20181119
 
 火の国に椿咲きたり乙女らは枝ひきたわめ花の蜜吸ふ (内藤隆義)

 s-ユズ20181119
 今年は不作だったユズ。

 ひろげたる翼しづかにをさめたりさびしき鶴のただ立ちてゐる (川田順・10)
 
 s-ヒイラギナンテン20181119
 ヒイラギナンテン。

 冬雲のなかより白く差しながら直線光(すぐなるひかり)ところをかへぬ (斎藤茂吉・17)

 s-ヒイラギ20181119
 ヒイラギ。

 山の上のこの平けき湖(うみ)の面(も)に照り耀(かが)よひて風の道見ゆ(寺師治人・48)
 
 s-バラ②20181119
 バラ。

 山の間に野火の煙はほぐれつつ藍に濁りて冬山昏(く)るる (田中順二・52)
 
 s-バラ20181119
 バラ。
 
 山ふかき国に生(あ)れたる幸(さきはひ)を雪にこもりて思ふことあり (松井芒人・34)

 s-キク④20181119

 雪ののちもまだ保ちゐて朝あさに落葉する木の赤ならを愛す (上村孫作・46)

 s-キク②20181119

 雪の日のけふのしづまり椿には咲きたる紅(あか)と咲く蕾みゆ(岡部文夫・50)

 s-キク③20181119

 みんなみに鷹わたる日なり佐多岬(さたのみさき) 空の高さよ 海の青さよ (海音寺潮五郎)

 s-キク20181119
 
 むかつ尾の檜山(ひやま)杉山横ざまにしげくも雪の降りはじめたる (川合玉堂・23)

 s-JA祭20181123
 11/23、JA祭の野菜即売会に参加。サツマイモ3種、ネギ、ダイコン、ジャガイモ、シュンギクなど。NHKの朝イチ等でサツマイモが
準完全食であること、お通じの改善効果があることが取り上げられているからか、販売は割と好調で昼前に在庫補充をしたほど。試食品を持参したことも幸いした。会社関係の来場者も何人かいて、「よく似ているなとは思ったが、まさか還太郎さん本人だとは・・・」と驚かれる。(昨夜21時ごろ寝たので、2時半起床。仕方なく、ブログの製作を開始・・・。)

 風が冷たくなりました。皆さま、ご自愛下さいますよう願います。

煦々(くく)たる

 「煦々たる」は、①暖かいさま、②恵みをかけるさま。「煦々たる春日に背中をあぶって」と漱石は書いている。今年のタイトルは漱石『草枕』の難解熟語。

 今回も短歌は『昭和万葉集秀歌 【三】 四季・自然』(講談社現代新書・上田三四二編、昭和60年1月刊)から。作者名の後の数字は昭和何年の、或いは何年何月の発表かを示す。

 やうやくに海面(うなも)に湧きし鰤(ぶり)の群しぶけば網子(あみこ)ら昂(たか)ぶり競ふ (宇田道隆)

 s-菊花20181107
 これ以降10葉は庭先に咲き誇る菊・その他。菊は繁殖力旺盛で、根元から切っても来春には復活する。ほどほどなら根元から切ったりはしないのだけれど、畑にも侵入してくるので厄介。
 
 山すそにわきつぐいづみ村びとは石をたたみて清くたもてり (大野武・50)

 s-菊花20181101

 山にのぼり切なく思へばはるかにぞ遍照の湖青く死にて見ゆ (前川佐美雄・15)
 *「遍照」=広く照らしわたること。

 s-菊花②20181107

 薪塚に凝れる霜をま上より照らしてゐたる月は小さし (佐藤正憲・37.5)

 s-菊花③20181107
 
 ひっそりと白きとむらひ行きにける枯野に淡く雪降りそめつ (永井隆・36)

 s-菊花④20181107

 何にすぐ揺るるみづひきくれなゐの花ひとつづつ秋の風吹く (福田栄一46・)

 s-菊花⑤20181107

 
 何ものの瞬きならん透明の彼方はららかに降りつぐ黄の葉 (高安国世・43.1)

 s-菊花⑥20181107

 つぎつぎと飛びたつ鴨の冬鴨のみなかげ寒し首のべてとぶ (野村清・36)

 s-菊花⑦20181107
 庭のあちこちにこんな光景がある。左奥の赤いのはケイトウ。これまた繁殖力大。一番奥に見えるヒバ、ツゲ、アオキの剪定は植木屋還太郎。
 
 葛城(かつらぎ)のみねに残れる夕明かり木山草山色をわかてり (岩沙政一・47)

 s-ツワブキ20181103
 ツワブキ。

 薄雪の降りし街路にアセチレンなげきのごとく点し蟹売る(阪田博義・34.1)

  s-ツバキかな20181107
 サザンカ。

 つみあげし漬菜の上に降る雨のたそがれ行けばみぞれとなりぬ (和辻照・24)

 s-紅葉20181109
 以下は11/9の田人路。一日雨で野良仕事はお休み。雨降りではあるが、紅葉の具合を見に出かけた。明日晴れたなら、また来ようと思ったほど紅葉の真盛り。雨中の撮影なので画像補正を種々加えた。

 せきばく と ひ は せうだい の こんだう の のき の くま より くれ わたり ゆく (会津八一・15)
 *寂寞と日は招提の金堂の軒の隈より暮れわたりゆく(還太郎の推定漢字訳。招提=唐招提寺)

 s-紅葉②20181109

 草生なく荒々つづく砂礫帯遊べるに似て霧の這ひ来る (礒幾造・50.11)

 s-紅葉③20181109

 小鳥らがつるうめもどきついばみて散り敷く殻にあさあさの霜 (鈴木孝一・49.5)

 s-紅葉④20181109
 
 湿原に点なす二つと見し白の動きはじめぬあはれ二羽鶴 (田中優紀子・46.9)

 s-紅葉⑤20181109

 しぶきふる雨に樹海の中くらし咲ける椿も散れる椿も (佐藤志満・53)

 s-紅葉⑥20181109

 
 草の実のこぼれつくして冬枯れの石につめたく霜おりにけり (大井広・7)

 s-紅葉⑦20181109

 下りてゆく杉の木の間の朝鳥の声の中なる一つ斑鳩(いかるが) (宮本清胤・48.6)

 s-紅葉⑧20181109

 今日読み始めたのは森下典子著『日日是好日』(新潮文庫・平成20年11月1日発行。同30年10月20日29刷)。主人公は大学生時代から25年間茶道を習い続けている。例えば、春の移り変わりを次のように書いている。
 『春は、最初にぼけが咲き、梅、桃、そから桜が咲いた。葉桜になったころ、藤の房が香り、満開のつづじが終わると、空気がむっとし始め、梅雨のはしりの雨が降る。梅の実がふくらんで、水辺で菖蒲が咲き、紫陽花が咲いて、くちなしが甘く匂う。紫陽花が終わると、梅雨も上がって、「さくらんぼ」や「桃の実」が出回る。季節は折り重なるようにやってきて、空白というものがなかった。』
 
 雨の音については、次の通り。
 『十一月の雨は、しおしおと淋し気に土にしみ込んでいく。同じ雨なのに、(六月の雨とちがうのは)なぜだろう。あ ! 葉っぱが枯れてしまったからなんだ・・・。六月の雨音は、若い葉が雨をはね返す音なんだ ! 雨の音って、葉っぱの若さの音なんだ。』

 皆さま、11月も半ばに差し掛かってきます。ご自愛願います。 

拖泥帯水(たでいたいすい)

 「拖泥帯水」は苦しみにまみれている人を、慈悲の心を持って共に生活することで救済すること。今年のタイトルは漱石『草枕』の難解熟語。

 今回も短歌は『昭和万葉集秀歌 【三】 四季・自然』(講談社現代新書・上田三四二編、昭和60年1月刊)から。作者名の後の数字は昭和何年の、或いは何年何月の発表かを示す。

 朝富士の紺青に澄める頂に茜及びて起伏見え初む (葛原繁・39.10)

 s-パープルスイートロード③20181017
 先ずはサツマイモの収穫状況。ご覧の通りの豊作。品種は「パープル スイートロード」。

 天城嶺(あまぎね)は 母の山かも。常仰ぎ しかも忘れてゐつつ 心底(した)恋ふ (穂積忠・30)
 
 s-パープルスイートロード20181017
 割と大きさも揃っている。柔らかい土なので、スコップを差し込んで、その柄を手前に押し下げると、ゴソッとサツマイモが浮き上がってくる。あとはツルを持って引き上げるだけ。

 おのづからまな鶴なべ鶴棲み分けて川越えし田に群るるなべ鶴 (木田節子・43.3)
 
 s-シルクスイート20181018
 こちらは「シルクスイート」。大きさが不揃いであるばかりか、長芋かゴボウのような長尺品もあり、掘り起こすのは難行苦行。こんな不揃いなのは初めてと妻が嘆く。幸いにして他の列はこれほど不揃いではない。
 もう一つの問題は売行き不振。JAの直営販売店3ヶ所、イオンのJAコーナーなど計4ヶ所で販売しているのだが、思ったほど売れない。義母がお世話になっているデイ・ケア施設や知り合いの料理店、その他に20~30kgほどを無償提供。更には畑の脇を通りかかった知人にも配布。「撒き餌」効果があるいいのだが・・・。来年は好物の芋焼酎でも作ろうかな?

 雲は地に結ばれてゐてその黒き影を錘(おもり)のごとく曳きをり (水上正直・51)

 s-ケイトウ20181017
 変わった色のケイトウ。

 散る花のうへにまた散る山茶花のさながら白き夕ぐれのとき (佐藤志満・53)

 10/23、都内で会食、6時半開始。5名で大いに盛り上がり、お店の方に「もう11時になるので閉店したいのですが・・・」と注意されるまで、そんな時間になっているとは全く気が付かなかった。茨城にいたときのお客様がお相手。以下の写真は24日春日部内牧公園で。今頃咲くの? と再三思わされた花が多かった。
 
 s-ナノハナ20181024
 ナノハナ。 

 十年(ととせ)経てふたたび来れば移りゐる雲ひとつ那智の滝のしづかさ (佐藤佐太郎・45)

 s-ユウゲショウ20181024
 ユウゲショウ。

 飛火野(とぶひの)に小雨ふる日は鹿の群ひとかたまりとなりて濡れゐつ (市橋りえ・44.11)
 *「飛火野」=奈良市外の東方を占め、興福寺・東大寺・春日大社・国立博物館と一体となり、さらに若草山から春日山原始林までを取り込んで広大な公園となっている。

 s-白い花20181024
 ハナイバナ。 S先輩からご教示有り。青字は以下同様。

 何に触るる音としもあらず揉みあひて谷のぼりゆく夜の風音 (中山礼治・46.6)

 s-ホトケノザ20181024
 ホトケノザ。

 竹は内部に純白の闇育て来ていま鳴れりその一つ一つの闇が (佐佐木幸綱・51)
 
 s-白い花②20181024
 タネツケバナかな。

 庭土の白く乾きて八つ手咲くこの宵頃は星冴えて見ゆ (淵浩一・5)

 s-黄色の花20181024
 ハキダメギク。

 墓捨てし吾を責むると外(と)に立てば氷雨は過ぐる相模野の丘 (前田透・47.3)

 s-紫の花20181024
 ノアサガオ。

 避難小屋の石置く屋根のあらはれて信濃側より霧はれむとす (亀村佳代子)

 s-田植え済みかな20181024
 水を入れれば田植え後の姿の田んぼ。

 山深く音にたちくる秋の雨つるうめもどきのくれなゐ寒し (渡辺直吉・14.9)

 s-白い花③20181024
 ヒメジオンかな。

 夕日かげかげりし原によごれたる山羊ひとつ居て風に吹かるる (堀内通孝・16)

 s-不明20181024

 夕陽さす黄葉(もみぢ)の谷に鳴きかへる猿(ましら)の声は山にひびきぬ (丸田嘉雄・6.4)

 s-白い花④20181024

 ゆく秋のわが身切なく儚(はかな)くて樹に登りゆさゆさ紅葉(こうえふ)を散らす (前川佐美雄・15)

 s-ヘクソカズラ20181024
 ヘクソカズラ。

 よりそへば壁も柱もわが影もひえびえしめる秋の夜の雨 (九條武子・3.2)

 s-ノコンギクかな20181024
 ノコンギクかな?
 
 雷鳥の立ちし岨路(そばぢ)に杖とめて見放(みさ)くる尾根を雲ながれゆく (鈴木将剛)
 
s-クズの葉20181024
 クズの葉。
 
侘しきとき侘しさ誘ふ檻の中に孔雀はよごれし羽根をひろげぬ (桜井鬼怒夫・28)
 
 s-クコ20181024
 クコ。 

よひよひの露ひえまさるこの原に病雁(やむかり)おちてしばしだに居よ (斎藤茂吉・25)

 s-キバナコスモス2018124
 キバナコスモス。

 山空をひとすぢに行く大鷲の翼の張りの澄みも澄みたる (川田順・15)

 s-お茶の花20181024
 お茶の花。

 柵あり牧舎あり烏なきて声はこだまに帰ることなし (土屋文明・10)

 s-イヌタデ20181024
 イヌタデ。
 
葉脈の硬き薊(あざみ)を食(は)み終えし兎はしずかにあかき眼ひらく (小松北溟・49.11)
 
 s-アザミかな20181024
 アザミかな? ノゲシ(別名ハルノノゲシ)。

 ひと房の葡萄を持てばきみが手に流るるごとく秋の紫 (福田栄一・23.9)

 s-テリハノイバラとクズの葉20181024
 テリハノイバラとクズの葉。

 今日(10/27)は8時前後にやや強い雨があり、畑が濡れてしまったのでサツマイモ掘りはお休み。昨夜も会食がありややお疲れモードの還太郎には、「干天の慈雨」。全部掘り尽すには、あと5日ほどかかるかな。足腰が鍛えられる。
 皆さまもお元気にお過ごし願います。

寸縑(すんけん)

 「寸縑」。「縑」は目をこまかく固く織った絹布。訓読みでは「かとり」。固織りの約。わずかな幅の画布ということかな。『草枕』の中では、前号で紹介した「尺素」と合わせて「尺素を染めず、寸縑を塗るらざるも、われは第一流の大画工である。」と使われている。(今年のタイトルは漱石『草枕』の難解熟語。)

 今回も『昭和万葉集秀歌 【三】 四季・自然』(講談社現代新書・上田三四二編、昭和60年1月刊)から。作者名の後の数字は昭和何年の、或いは何年何月の発表かを示す。

 秋ながらうちつけに日の照らすなか山の蜻蛉(あきつ)は人を怖れず (田谷鋭・53)
 *「うちつけに」=突然に。

 s-サフラン20181002
 イヌサフラン?

 うちけぶる銀河の位置は移りたり大地傾きてゆくけはひあり (服部忠志・22)

 s-発芽したタマネギ20181007 (1)
 発芽したタマネギ。縫い針ほどの背丈。約3,000粒を蒔いた。

 塩田のむかうに見えぬ海ありてマストの赤き旗ひるがへる (坂本孫一・36.8)

 s-柿20181007
 渋柿。
 
 思ひ切り枝はらわれしせんだんの幹黒くして秋の雨ふる (森島康与・50.11)

 s-ピーマン20181007
 ピーマン。

 雁一列(ひとつら)真上の空に近づけり荒くして徹る声きこえつつ (川田順・10)

 s-トウガラシ20181007
 トウガラシ。

 首垂れて草食み移る緬羊の日のあたる方にいつか群れゆく (島田幸造・33.11)

 s-シュンギク20181007
 シュンギク。稚苗を定植するのだが、活着率は非常に高く、虫もつかない。

 桑の木の踝(くるぶし)は祈りの列に似てわが行く赭(あか)き道に続けり (金井秋彦・53)
 
 s-シソ20181007
 シソの実。

 根源のごとく謐(しづ)けき月の出に太樹(ふとき)の黐(もち)はくらくかがやく (加藤知多雄・48.8)

 *「黐」=モチノキ科モチノキ属の常緑高木。葉がクチクラ層と呼ばれるワックス層に覆われていることから塩害に強い。暖かい地方の海辺に自生する。
 
 s-コスモス20181007
 コスモスとサツマイモの葉。

 静かなる雲の流れと思へるに木の間を下る霧は速しも (岡井弘・8.7)

 s-オクラ20181007
 オクラ。

 信濃川の川原にみれば弥彦山は孤(ひと)つ山かも天そそり立つ (小泉苳三・8)
 *「弥彦山」=越後平野の日本海沿いに連なり、弥彦山塊と呼ばれる山並みの主峰。標高634m(スカイツリーと同じ高さ ! )。標高はあまり高くないが、北に位置する多宝山との双耳峰で秀麗な山容で知られる。

 s-カボチャ ダークホース20181007
 カボチャ(品種名はダークホース、味噌汁に入れてもおいしい)。カボチャの下敷きになっている白いプラスチックの成型品は「座布団」、「台座」、「フルーツ枕」とか言われる。太陽光を下部から反射させカボチャの底部着色不良を防止。また、土・水からの病害防止効果もあるとか。

 しぬ竹の庭べに座り日のうつり冬めくとのみ我はおもはむ (室生犀星・3.2)

 s-生垣20181007
 アオキの生け垣の剪定。電動バリカンが活躍。右手奥は生垣ではなくブロック塀。手前の赤い植物はシソ。あとは全てサツマイモ(4種)。

 月明き河を渡りてみちのくのあがたにさびし行く雁の声 (山田四郎・11.1)
 s-メマツヨイグサかな20181009
 ここから5葉は海岸近くで。メマツヨイグサ。(7時26分に撮ったのだが、待宵草?) コマツヨイグサ。S先輩から御教示あり。青字は同様。

 遠空に山かさなれるあたりまで静かさつづく峠くだりをり (村田利明・50)

 s-なにかな20181009
 クコ。 

 突風は中天に最も烈しきか雁の列の乱れなかなか復(かへ)らず (田中譲・43.11)
 
 s-ダンドボロギクかな20181009
 アレチノギクかな。アキノノゲシ。

 (はり)のごとく光は水に透りゆく渓ふかく秋もをはらむとして (岩上とわ子・31)

 s-セイタカアワダチソウ20181009
 セイタカアワダチソウ。

 乾反(ひぞ)りたる柿の落葉のあるものは陶器のごとき光沢をもつ (杜沢光一郎・51)

 s-紫の花20181009
 調査中。タイカンマツバギク。

 ほのかなる 硫黄のかをり 吹きかよへ 芳が平の 秋風のうち (三好達治・9) 

 s-怖い訪問者20181008
 怖い来訪者。

 まさびしき空間をくだりぎんなんの鬱金(うこん)の落葉地に吸はれゆく (伊藤麟・46)

 s-怖い訪問者②20181009
 続・怖い来訪者

 松風のおと聞くときはいにしへの聖(ひじり)のごとく我は寂しむ (斎藤茂吉・25)  

 s-ショウガ 龍馬20181009
 ショウガ。品種名は「龍馬」。中央下部が種芋で、これで一株分。

 満月を阻(はば)む地球の冥(くら)き影巨(おお)いなるかも宙に泛(うか)びて (児玉和子・47)

 s-パープルスイートロード20181009
 サツマイモ。品種名は「パープル スイート ロード」。水洗い直後はこんなに鮮やかな色。まだ本格的な収穫は始めていないが、まずまずの出来のようで一安心。

 道の辺の高萱に鳴く馬追は昨日(きぞ)の夕べも此処に鳴きゐし (上田三四二・42)

 s-コスモス20181009
 もう一度コスモス。

 畑仕事や庭木の剪定、裏ヤブの伐採で日々暮らしているが、大げさに言えば地球の自転に合わせた生活であり、季節の移り変わりを肌身で感じる。心地よい。
 昨日は好天。急を要する農作業もないので、母畑温泉・八幡屋の昼食・温泉付きコース。片道70km程度のドライブ。日帰りコースのお客さんはは3、4組のようで、屋内・露天風呂、麦飯石サウナはほぼ専有状態。平日に使うお金のパフォーマンスは週末の何倍かな? 往復ともなるべく高速道路は使わないようにして、田畑の見学。稲刈りが例年より遅くなっているような気がする。だが、夕陽に輝く稻田もよかった。
 それで終わればいいおじさんなのだが、帰宅して18時から旧知の「おじさんたち」と飲み会。まあ、十分盛り上がったけど20時半帰宅。自分も含めて「おじさん」達は『2時間飲んだら帰って寝たい症候群』では?
 
 皆さま、この季節をお楽しみ願います。  

尺素(せきそ)

「尺素」=(一尺の絹布の意で、文字を書くことに用いたことから)短い手紙。今年のタイトルは漱石『草枕』の難解熟語。

 今回も『昭和万葉集秀歌 【三】 四季・自然』(講談社現代新書・上田三四二編、昭和60年1月刊)から。作者名の後の数字は昭和何年の、或いは何年何月の発表かを示す。

 あきあじが川上にたどり着く頃か朝々の水つめたくなりぬ (加藤良秋・28.2)
 
 s-朝露20180928
 9/28、春日部にて早朝の散歩。夜来の雨が上がり、植物にはたっぷりの水気が。

 秋の気の裂けて鋭声(とごえ)に百舌鳥(もず)なけばももくさの実もしまるとききぬ (太田水穂・8)

 s-朝露②20180928

 秋の夜の井戸に音あり深奥のはるけき銀河汲まれいるなり (馬場あき子・47)

 s-朝露③20180928
 シロザ(S先輩からご教示有り。以下、青字は同様。)

 あらあらしき野分吹きつつ庭畑にこぞりたちたる葱苗(ねぎなえ)ひかる (板宮清治・49.11)

 s-朝露④20180928

 (いにしへ)もかくありつらむ熊野路の磯の岩間にこぼるる椎の実 (大井俊次・50)

 s-朝露⑥20180928
 オオニシキソウ。

 海の湧く音よもすがら草木と異なるものは静かに睡(ねむ) (佐藤佐太郎・45)

 s-朝露⑦20180928
 たぶんツクシハギ。

 おもほへば海の心のやはらかき方(かた)に伸びて来て岬濡れをり (安永蕗子・37)

 s-朝露⑧20180928
 イヌガラシ。

 カナカナは鳴かずなりにし昨日より野に立つ風の澄みて秋づく (八杉龍一)

 s-昭和記念公園20180928

 9/28午後、昭和記念公園(東京都立川市・昭島市)へ。東京ドームの約40倍の敷地。広々としていて気持ちいい。

 かへり行く先も檻にて芸終へし猛獣どもはゆるく歩めり (岸本千代・43)

 s-昭和記念公園④20180928

 寒蝉(かんぜん)の声ゆるやかに外(そ)れゆきてひつそりと秋は老楠(おいくす)にくる (野上久人・48)

 s-昭和記念公園③20180928

 車道より高処(たかど)に見えて迫田(さこだ)あり空につづきて稲の輝く (広森清・48.9)

 s-昭和記念公園②20180928
 「みんなの原っぱ」。高さ20m超の大ケヤキは同公園のシンボルツリーとか。

 
 秋雷の絶えたるのちの冷々と卓に黒耀の粒なす葡萄 (馬場あき子・47)

 s-ソバ20180928
 ソバ。

 台風にのりて琉球の蝶こしと小さき記事あり秋となる空 (富山繁子・50)

 s-ススキ20180928

 ちる花はかずかぎりなしことごとく光をひきて谷にゆくかも (上田三四二・50)

 s-キンモクセイの大樹20180928
 キンモクセイの大樹。満開の花。

 ひぐらしの一つが啼けば二つ啼き山みな声となりて明けゆく (四賀光子・29)

 s-キバナコスモス20180928
 キバナコスモス。

 拾ひきて夜の灯に愛(お)しむ秋蝉のあかがねいろのぬけがらひとつ (杜沢光一郎・51)

 s-昭和記念公園⑤20180928
 日本庭園にて。

 9/26から3泊4日で春日部の自宅へ。26日は都内で劇団四季の「キャッツ」を観た。妻は大喜び。
 27日は妻の掃除の邪魔にならぬよう、宮本輝の『田園発港行き自転車』上下巻を読む。やっぱり宮本輝はいい。近所のTSUTAYAで『錦秋』、『星宿海への道』も購入。
 29日は春日部~坂東~つくば~土浦~行方~大洗~日立経由でいわきへ戻った。全て一般道。あいにくの雨ではあったが、サツマイモ・キャベツ・白菜等々の畑を眺めるのが目的。17時半頃から、海上を走る6号国道日立バイパスを北上。町の灯りがきれいだった。
 
 台風24号はかなり強烈とのこと。皆さま、どうぞご安全に ‼

蜀犬日に吠ゆ(しょくけんひにほゆ)

「蜀犬日に吠ゆ」 = (蜀は山地で雨の降ることが多く、太陽の出ている時間が少ないので、日が出ると犬が怪しんで吠えるということわざから) 無知のために、あたり前のことに疑いを抱くことのたとえ。見識の狭い人が賢人のすぐれた言行を疑い、非難するたとえ。 (今年のタイトルは漱石『草枕』の難解熟語。)

 今回の短歌も『昭和万葉集秀歌 【三】 四季・自然』(講談社現代新書・上田三四二編、昭和60年1月刊)から。作者名の後の数字は昭和何年の、或いは何年何月の発表かを示す。

 うちひびきひたと地を打つ秋雨の俄(にわか)に降りて心すがしき (尾山篤三郎・7.10)

 s-ハギ②20180913
 以下3葉は9/13、庭先にて。ミヤギノハギ(S先輩からご教示有り。以下、青字で記載)。

 雲ひらひら月の光りをさへぎるはしら鷺よりもさやけかりける (太田水穂・8)

 s-ハギ20180913
 シラハギ。

 くらがりに潮の香はこぶ風ありて風の彼方の遠き潮騒(森岡正・30)

 s-ダリア20180913
 咲き残りのダイア。

 くれなゐのトマトを愛(いと)しむ夕の卓いのち鮮やかに生きてゆきたし (横山日出時・23.11)

 s-黄色の花③20180923
 以下の写真は9/23、田人路で。キンミズヒキ。

 黒川の川原の石に尾を見せて鳴く鶺鴒は嬬(つま)を呼ぶらしも (広瀬民子・7.8)

 s-白い花20180923
 ヒメジョオン。

こほろぎも終りにちかき秋ぐさの濃きむらさきの花揺(ゆれ)やまず (結城信一・51)
 
 s-赤い実20180923
 トチバニンジンの果実。

 此処にのみ秋の光のまぶしきやけざやかに咲く曼殊沙華の群 (鳥居文子・26.1)

 s-小さな白い花20180923
  直径3mmほどの花。シソではないよね? ゆっくり歩かないと目に留まらない。 ヒメジソ。

 椎の葉にながき一連の風ふきてきこゆる時に心は憩ふ(佐藤佐太郎・27)

 s-黄色の花②20180923
 キツネノボタン。

 しやがの葉に月の照れるは寂かにて庭は今年の冬に入り行く (長門莫・46)

 s-ミズヒキソウ20180923
 ミズヒキ。

 秋分の日の電車にて床にさす光もともに運ばれ行く(佐藤佐太郎・27)

  s-黄色の花⑤220180923
 キツリフネを逆さまにしたような花。花顎は食虫植物のよう。路肩に群生していた。 キバナアキギリ。

 杉谷に迫りて咲ける蓼(たで)の花はつかににほふそのくれなゐよ (田中璃津子・19.1)

 s-ピンクの花20180923
 アキノウナギツカミかな?

 立山が後立山(うしろたてやま)に影うつす夕日の時の大きしづかさ (川田順・15)

 s-なにかな20180923
 チヂミザサ。

 月あかり水脈(みお)引く雲の波だちて夜空はすずし水のごと見ゆ(北原白秋・9)

 s-トンボ20180923
 アキアカネ。

 ふり仰ぐ槍のいただきは遥かなる空の深みに澄み入りて見ゆ (大悟法利苳雄・16)

 s-オカトラノオかな20180923
 オカトラノオ? イヌショウマ。

 ふるさとの野べの光や秋くさの実のはじけとぶ音は澄みつつ (阿部知二)

 s-ウドかな20180923
 セリかドリゼリ? ちょっと花期が違うのだけど・・・。 シラネセンキュウ。

 みづからを恃(たの)み生きよと蟋蟀のをさなきこゑのきこゆ寝覚に(田谷鋭・33.11)

 s-紅葉の始まり20180923
 紅葉の始まり。

 涼しくなりました。風邪などにご注意願います。皆さま、お元気で❣ 

隨縁放曠(ずいえんほうこう)


「隨縁放曠」は何事も縁にまかせて自由に振舞い、物事にこだわらないこと。(今年のタイトルは漱石『草枕』の難解熟語)

 今回の短歌も『昭和万葉集秀歌 【三】 四季・自然』(講談社現代新書・上田三四二 編、昭和60年1月刊)から。作者名の後の数字は昭和何年の、或いは何年何月の発表かを示す。
 
 悲しみを窺(うかが)ふごとも青銅色(せいどう)のかなぶん一つ夜半に来てをり (宮柊二・23)
 
 s-1オクラ20180907
 オクラ。野菜の花の中で一番きれいだと思う。

 神のおそれひたにおもひつ葉ごもりにせみしぐれせる日ざかりをゆく (三島由紀夫・17.12)

 s-2ニラの花20180907
 ニラとセセリチョウ。 (S先輩からご教示あり、以下の青字も同様。)

 忘れゐしものの心地に佇ちて聴く夕日の丘のかなかなの声 (太田青丘・25)

 s-3キアゲハ20180907
 モミジアオイとキアゲハ。

 日照雨しばしば草に降りしかば今日の日暮のかなかなきこゆ (植木正三・31)

 s-4タイカンマツバギク20180907
 タイカンマツバギク(耐寒松葉菊)。

 那須野路は秋近みかも煙草の葉摘まれて畑のあらはになりぬ (蓮実彊・24.10)
 
 s-5フランスギク20180907
 フランスギクかな?

 月冴ゆるこよひは雲のゆきかひのはや秋づくと夫(つま)がいふかも (北見志保子・25)

 s-6酔芙蓉①201809071116
 スイフヨウ(酔芙蓉)、11時13分。夕方に赤みを帯びてくるから「醉い」芙蓉。還太郎と同種。

 川に沿ひ山へちらばる町の灯をぬらし滲(にじ)ましふる小夜(さよ)しぐれ (川合玉堂・21.1)
 *「小夜しぐれ」=夜に降る時雨。

 s-7酔芙蓉②201809071238
 スイフヨウ、12時36分。

 あらざらむのちを思ふといふならね落葉の上に落葉つもりぬ (大井広・27) 
 *「あらざらむのち」=死後。

 s-8酔芙蓉201809071519
 スイフヨウ、15時19分。
 
炉の端(はた)にこほろぎ一つわが家にすぎたるものの如く鳴き澄む (木島冷明・38)

 s-9ダリア20180907
 ダリア。 ヒャクニチソウ。

 二見の浦朝靄(あさもや)遠く晴れそめて神代のままの天つ日のぼる (井上哲次郎・18.12)
 
 s-10咲き残りのダリアの花に20180907
 キアゲハ。

 あかつきのまだ暗きなかを目覚めゐぬこの世の鳥は地(つち)の底に啼く (前川佐美雄・22)

 s-11咲き残りのダリアの花に②20180907
 セセリチョウ。

 沿いてゆくゆふあかり田にそそぎ入る水はしづかに萍(うきくさ)ながす (山本友一・28)

 s-12ケイトウ20180907
 ケイトウ。

 たましひをふかく吸ひ込む夕暮やはなだの色ぞたゆたひにける (尾山篤二郎・36)
 *「はなだの色」=うすい藍色。
 
 s-13黄色の花20180907
 カタバミ(アカカタバミとも)。

 椎の葉にながき一連の風ふきてきこゆる時に心は憩ふ (佐藤佐太郎・27)
 
 s-14黄色の花②20180907
 カタバミ。

 わが踏める地平の果てに沈む日を信濃より来てなつかしみ見る (窪田空穂・26)

 s-15ツユクサ20180907
 ツユクサ。

 うつしみに何の矜持(きょうぢ)ぞあかあかと蠍座は西に尾をしづめゆく (山中智恵子・32)
 *「矜持」=誇り。

 9月8日の午後から土浦・上野へ2泊3日の小旅行。友人たちと夜の飲み会2回、昼食会1回。10日昼にいわきへ戻った。以下の写真は土浦市で撮ったもの。

 s-レンコン田20180909
 収獲が始まったレンコン田。軽トラが何台も見える。霞ヶ浦の向こうは土浦市街。

 なく鳥は御堂へだてしおく山の杉の木間(このま)にあつまるらしも (岡麓・32)
 
 s-紫の花20180908
 ツルマメかな?

 槌音にはたとやみたる蟋蟀(こほろぎ)のまた鳴きつぐを待てばひそけし (塚原嘉重・32)
 
 s-ミゾハギ20180908
 ミソハギ。

 秋刀魚の詩(うた)子にきかせつつわが家の青き蜜柑の酸(す)をしたたらす (番場美津子・32.10)
 *「秋刀魚の詩」=佐藤春夫の「秋刀魚の歌」。

 s-ヌマトラノオ20180909
 ヌマトラノオ。

 いま読んでいる本はドナルド・キーン著・金関寿夫訳『百代の過客』上巻(朝日選書・1984年7月刊)。実は1988年刊の『続・百代の過客』上下2冊を同年に買って読んでいる。読み終えて「続・・・」であることに気づいたが、それから30年、「続・・・」でない方も読みたいと時々は思い出したりしていたが、先週Amazonで購入。
 『百代の過客』では僧円仁の『入唐求法巡礼行記』から川路聖謨の『長崎日記』について、『続・百代の過客』では村垣淡路守範正の『遣米使日記』から永井荷風の『新帰朝者日記』について評論。

 皆さま、御機嫌よう❢

閑人適意(かんじんてきい)

「閑人」は特にすることのない、暇な人。または、風流な人。「適意」は思うままに振舞うこと。(今年のタイトルは漱石・『草枕』の難解熟語)

 今回の短歌は『昭和万葉集秀歌 【三】 四季・自然』(講談社現代新書・上田三四二 編、昭和60年1月刊)から。作者名の後の数字は昭和何年の、或いは何年何月の発表かを示す。

 今日は8/30。この何日か、いわきではめったにないような強烈な雷雨がある。朝晩は大分涼しくなった。晩夏と初秋のせめぎあい。しばらくぶりに田人路へ。林道を2時間ほどドライブ。冷涼な林間は快適。秋の気配。

 滝しぶきかかれるそこら一めんの藺草(いぐさ)の色の青きすがしさ (金子薫園・3.7)
 
 *「藺草」=イグサ科の多年草。湿地に生える。茎を畳表などに用いる。

 s-森林20180830
 
 山ふかく細き流れのせくところゆすられている虎杖(いたどり)の花 (今井邦子・6)

 *「せくところ」=せばまっているところ。「虎杖」=タデ科の多年草。若芽はウドに似。紅色の斑点がある。夏、淡紅色、または白色の花を穂状に開く。若芽を食用とし、根は薬用とする。

 s-森林③20180830

 うす紅き枝はかくれて しみじみと ははきの花も咲きそめりけり (東城士郎・44)

 *「ははき」=帚木(ほうきぎ)。アカザ科の一年草。夏、淡緑色の細花をつける。

 s-森林②20180830

 わが心かすか明るむ思ひして宵の衢(ちまた)に蛍を買ひぬ (岡井弘・7.8)

 s-チョウ20180830 (1)
 あいにく側面しか撮れなかったアゲハチョウ。

 かぐはしのみやまのきのこ籠(こ)にもらば羊歯(しだ)につつみてねもごろにせむ (小川千甕・2.4)
 
 *「かぐはしの」=かぐわしい香りがする。「ねもごろに」=ていねいに。

 s-キノコ20180830

 ゆふ闇の空をとほりていづべなる水にかもゆく一つ蛍は (斎藤茂吉・15)

 s-キノコ②20180830

 うす紅のつりふねさうの花のゆれやぶかげに見て行きすぎかねつ (熊谷武雄・9.11)
 
 *「つりふねさう」=釣舟草。ツリフネソウ科の一年草。山麓や水辺に自生し、秋、茎の先にホウセンカに似た紅紫色の花をつるす。

 s-ツリフネソウ20180830
 ツリフネソウ。

 夕立の雨うちふれり庭のへにひとつの蝉の啼きとほるこゑ (土田耕平・8)

 s-なにかな20180830
 ノダケ(S先輩からご教示有り。以下の青字も同様。)

 秋は来ぬうしろの山の葛の葉の葉うらさびしくもなりにけるかな (谷崎潤一郎・52)

 s-なにかな②20180830
 ダイコンソウ。

 蟋蟀(こほろぎ)の音(ね)に鳴くころとなりにけり夜はすがらに蟋蟀ぞ鳴く (堀内通孝・16)
 
*「夜はすがらに」=一晩中。

 s-ホタルブクロ20180830
 ホタルブクロ。 ツリガネニンジン。

 稲原の早生穂(わせほ)にしろく照る月は夜ごとに明し山の峡(かひ)にも (中村憲吉・9)

 s-ホトトギス20180830
 ヤマジノホトトギス。
 
 薄紙の中に蛍を光らせてたからのごとく子は持ちまわる (小田清一・11)
 
 s-ホトトギス②20180830
 ヤマジノホトトギス。

 雲母雲(きららぐも)薄う漂ふまなかひの秋をはるかに駆ける鳥かも (安西冬衛・2.11)

 *「雲母雲」=雲母のような薄雲。

 s-薄紫の花20180830
 ヤマハッカ。

 白菊はただつつましき花ながら月のてらせばたけたかくみゆ (橋田東声・10)

 s-白い花②20180830
 ゲンノショウコ。

 あかつきの蝉のひとこゑが諸声(もろごゑ)を誘ふあはれをききとめにけり (吉野秀雄・22)
 
 *「諸声」=和して発する多くの声。

 s-黄色の花②20180830
 オミナエシ。

 閼伽桶(あかおけ)に捧げし秋の七草ははかなきまでに清(すが)しかりけり (青柳競・28)

 *「閼伽桶」=仏に供える水を汲みいれる手桶。
 
 s-白い花20180830

 昼しぐれ降り過ぎたれば白萩は下枝(しづえ)の花をあまた散らせり (君島夜詩・10)

 s-黄色の花20180830
 オトギリソウかな? キンミズヒキ。

 秋澄みて散りのこりたる花蓮(はなはちす)とよみはつたふ広き池の上 (吉田正俊・16)

 *「とよみ」=どよめき。

 s-ソバ2010830
 白く見えるところはソバ畑。手前の水田の周囲にイノシシ除けの電線が張られており、ソバ畑には近づけなかった。

 いわきに来たら、昼は畑仕事や実家の裏ヤブの伐採等々の力仕事。よって晩酌をするとすぐ眠くなってしまう。そんなことで暫く本を読んでいなかった。こりゃあいかんと思い、大好きな葉室麟の作品でまだ読んでなかった『あおなり道場始末』(双葉社)を入手。葉室麟の作品にしては珍しく「痛快 ! エンターテインメント時代小説」。一日で読了。その勢いのまま、何年もツンドク状態だった北方謙三の『史記・武帝紀』全7冊(角川春樹事務所)に取り掛かり、悪天候の日が続いたこともあって1週間で読了。まあ、スーパーマンが活躍する劇画みたいなものと言えないこともないが、始皇帝と並び比較される武帝の武帝たるところ、その孤独や逡巡と決断、武帝に仕える官僚や軍人の苦悩等々、北方謙三に引き回されるように読んでしまった。 
 次いで、社会思想家・佐伯啓思の『死と生』(新潮新書)。この類の本には珍しく、何のことかさっぱり理解できないなんてことは書いてない。簡単に言えば、「死は誰も経験していないのだから、誰もわからない。誰もわからないことを心配しても意味がない。ただ、死は避け得ないのだからこそ、生を充実させよう」ということ。

 皆さま、ご機嫌よう ❢ 

楮毫(ちょごう)


「楮毫」は紙と筆の意。「楮」(こうぞ)は和紙の原料となる植物。「毫」は筆の穂先。(今年のタイトルは漱石・『草枕』の難解熟語)

 今回は、過去の写真から涼しげなものを選んでブログを作った。短歌は『昭和万葉集秀歌 【三】 四季・自然』(講談社現代新書・上田三四二 編、昭和60年1月刊)から。作者名の後の数字は昭和何年の、或いは何年何月の発表かを示す。

 (あかとき)とおもふばかりにあかるきは月のひかりのさしそめにけむ (藤川忠治・31)

 s-江竜田の滝
 江竜田の滝(4葉)

 海
 海に向く窓より海はみえなくに甍(いらか)の上にひくき岬山(さきやま) (五味保義・16)

 s-江竜田の滝①

 かたまりて昼顔咲ける砂山をめぐりて潮の満ちくる音す (中嶋真珠・10.9)

 s-江竜田の滝③

 磯に寄せてきほひ脹(ふく)るる大き浪ひかりを巻きて打返りたり (杉浦翠子・3)
 
 s-江竜田の滝②

 渦なせる逆さ白波はひろごりて押しうつりゆく潮ゆたかなり (松田常憲・7)

 s-四時川渓谷
 四時川渓谷(3葉)
 
 兄島を榜ぎ回(こぎた)み行けばちちのみの父島見えつ朝明(あさけ)の海に (中島敦・35)
 *「榜ぎ回み」=船を漕ぎめぐり。「ちちのみの」=「父」にかかる枕詞。

 s-四時川渓谷②

 立山の外山(とやま)が空の蒼(あお)深み一つの鷲の飛びて久しき (川田順・15)

 s-四時川渓谷③

 山頂に雷鳴ありて幾度か保安器を撃ち青き火を放つ (新田次郎)

 s-小浜海岸
 小浜海岸

 三原山噴くにかあらむ御神火の常ことなりて今宵かぐろき (海野潔・9.3)
 *「御神火」=火山の噴火を神聖視していう語。「かぐろき」=黒い。

 s-鮫川大橋
 鮫川大橋

 稲原の早生穂(わせほ)にしろく照る月は夜ごとに明し山の峡(かひ)にも (中村憲吉・9)

 s-蓮
 ハス

 以下、『現代短歌の歩み』(武川忠一著・飯塚書店・2007年6月刊)に依る。

 窪田空穂に『捕虜の死』という大長編の長歌がある。万葉集以来の最大長編。次男茂二郎のシベリア抑留中の死を悼んだもの。茂二郎の死は生還した戦友から昭和22年5月に知らされた。空穂は病床にあり、70歳。それでも残された力を振り絞って、五連・二百二十九句の最大長歌を詠んだ。

 捕虜の死   窪田空穂

 兵として北支派遣軍下にありし次男茂二郎、久しく消息を絶ち、生死すら不明にて過ごせるが、五月中旬、茂二郎が戦友の一人なりといふ米村英男君、はからずも我が家を訪はれ、茂二郎の消息を傳へらる。同君も茂二郎と同じく身體弱きため、入隊以来三年間、あやしくも行動を共にし、その一切を知悉せるにより、仔細に告げられしなり。茂二郎は終戦直前、北支より内地防衛軍に向けられし汽車中、ソ聯開戦によりて満州に移され、終戦と共に捕虜としてシベリアなるイルクーツクチェレンホーボに捕虜の身となれるが、二十一年二月十日、発疹チフスに罹り、死去せりといふ。今より一年三箇月前のことなり。我は床上の身として親しく聴くを得ず、章一郎の傳ふるところを聴きて胸臆に反芻するのみ。

 
 シベリアの涯なき曠野、イルクーツクチェレンホーボの バイカル湖越えたるあなた、炭山を近く望みて あはれなる宿舎むらがる。名にこそは宿舎ともいへ、土浅く廣く掘りては かりそめの仮屋根葺き 出入り口一つ設けし 床すらもあらぬ土室、戦前は囚人住みて 勞役に服せるあとか。かかる室ならび群がり 鐵條網めぐらす内に、在満の我が兵五千 捕虜として入れられにける。

 s-夕焼け20180809

 厳冬のチェレンホーボは 氷點下五六十度か、言絶ゆる畏き寒威 人間の感覚を斷ち、おのが息眞白き見ては 命なほありと思ふに、勞役の搾取のほかは 思ふなき國にかあらし 働かぬ冬は食ふなと 生きの命つなぐに足らぬ 高粱のいささか與へ 粥として食はしむるのみ。夜となれば床なきままに、土に置く狭き板の上 押竝び二人いねては、一枚の毛布をかぶりて 軆温をかよはし眠る。目的を失へるどち 言ふことの何のあらむや、つぶやくは常つづく饑 眼に迫る戀しき祖國、口にすれば暫しまぎるる かひあらぬ訴のみなる。

 s-夕焼け②20180809

 わりなきはただ一着の 身につくる軍服かな、薄くして寒氣のとおり、著きらしてぼろぼろなるに、著がへなきそのシャツをしも、おのれ等が巣どころとなし 饑うる身を食となしつつ ふえにふゆる虱の族よ、その數は幾そくばくぞ。臍のあたり手もて探せばいく匹をとらへは得れど、脱げば身のこほる寒氣に 捕り減らすことすらならぬ。全員の五千に巣くふ この虱チフス菌もち、吸ひし血に代へて殘せば、あはれ見よ忽ちにして大方は病者となりつ、高熱にあへぎにあへぐ。醫師をらず薬餌のあらず、あるものは高粱のみの、この患者いかにかすべき。悲しきは生を欲する 人間の本性なるよ、食はざれば死せむと思ひ 強ひてすする堅きその粥、衰へし腸ををかして 一たびの下痢を起せば、その下痢やとまる時なく 見る見るに面形かはり、物言ひをしつつ息絶ゆ。ここの水ははなはだ惡るし 高熱の渇きこらへて 飲むな夢と相警むれ、飲まざるも命堪へえで 一日に何十人は 息せざる者となりゆく。チェレンホーボ長き一冬、千人や屍軆となりし。

 s-夕焼け③20180809

 戦友のこの悲しきを いかさまに葬りなむか、全土ただ大氷塊の 堀りぬべき土のあるなし。ダイナマイト轟かしめて 氷塊に大き穴うがち、動きうる人ら掻き抱き その中にをさめ隠しつ。初夏の日に氷うすらぎ あらはるる屍軆を見れば、死ぬる日の面形保ち さながらに氷れるあはれさ。その屍軆トラックに積み 囚人の共同墓地ある 程近き岡に運びて、一穴に五人を葬り、捕虜番號書ける墓標を 人の身の形見とはなし、千人の戦友の墓 さびしくも築き竝べけり。

 s-夕焼け④20180809

 死を期して祖國を出でし 國防の兵なる彼等、その死のいかにありとも 今更に嘆くとはせじ。さあれ思ふ捕虜なる兵は いにしへの奴隷にはあらず、人外の者と見なして 勞力の搾取をする 奴隷をば今に見むとは。彼等皆死せるにあらず 殺されて死にゆけるなり、家畜にも劣るさまもて 殺されて死にゆけるなり。嘆かずてあり得むやは。この中に吾子まじれり、むごきかな あはれむごきかな かはゆき吾子。


 八月は千万の死のたましずめ夾竹桃重し満開の花 (山田あき・『現代短歌集成3』から。角川学芸出版刊)

 皆さま、ご自愛専一に願います。 

虬竜の怪(きゅうりゅうのかい)


 「虬竜」は中国の伝説中の瑞獣で、神馬であり、馬が八尺以上になると竜になる。その竜の中で二本の角のある竜が虬となる。(今年のタイトルは漱石・『草枕』の難解熟語)

 今回の短歌は『昭和万葉集秀歌 【三】 四季・自然』(講談社現代新書・上田三四二 編、昭和60年1月刊)から。作者名の後の数字は昭和何年の、或いは昭和何年何月の発表かを示す。

 葦の葉にゆれつつすがる行々子(ぎょうぎょうし)声啼くときに口あかく見ゆ (松村英一・9.6)
 *「行々子」=オオヨシキリ。葦原草原に住み、「ギョッギョッ」と囀る。

 s-朝霧の須賀海岸2180727
7/27、朝霧の錦須賀海岸。

 降る雨に五位鷺渡るすがしさよ苗田の中に白き影ひく (田中藤太郎・11.9)

 s-ユリ20180727

 深山木(みやまぎ)のはるかに高きこぬれより、朝雲わきて夏は来にけり (安東聖空)
 *「こぬれ」=木末。こずえ。

 s-メマツヨイグサ20180727
 メマツヨイグサ。

 ふるさとの盆も今夜はすみぬらむあはれ様々に人は過ぎにし (土屋文明・10)


 s-平衡感覚20180727
 平衡感覚!

 夏の草花
 吹き過ぐる風は乾けりかがやかに揺れては紅き芍薬の花 (川田順・6)

 s-ミズナス20180730
 以下、7/30の畑で。水ナス。

 瀝々(れきれき)と吹き上ぐる風に火の山は朱のつつじの波荒立てり (鶴見和子・14)
 *「瀝々と」=みずのしたたる音や風の時折ふくさま。

 s-ピーマン20180730
 ピーマン。

 おもはざる森のたかきに咲き垂れて花房長き藤を見にけり (石井直三郎・13.3)

 s-ピーナッツ20180730
 ピーナツも元気に成長中。

 泰山木の花はゆふべにおとろへて広葉(ひろば)がくりにすでにかそけし (森川汀川・9.8) 

 s-トウモロコシ20180730
 今年のトロモロコシはカラスの攻撃を受けてない。なぜ? 
 
滝しぶきかかれるそこら一めんの藺草(いぐさ)の色の青きすがしさ (金子薫園・3.7)
 *「藺草」=イグサ科の多年草。湿地に生える。茎を畳表などに用いる。

 s-キュウリ20180730
 キュウリは朝夕2回収穫。

 山ふかく細き流れのせくところゆすられている虎杖(いたどり)の花 (今井邦子・6)
 *「せくところ」=せばまっているところ。「虎杖」=タデ科の多年草。若芽はウドに似る。紅色の斑点がある。夏、淡紅色、または白色の花を穂状に開く。若芽を食用とし、根は薬用とする。

 s-カボチャ(ほっこり姫)20180730
 カボチャ「ほっこり姫」の花。
 
うす紅き枝はかくれて しみじみと ははきの花も咲きそめりけり (東城士郎・44)
 *「ははき」=帚木(ほうきぎ)。アカザ科の一年草。夏、淡緑色の細花をつける。

 s-西瓜20180730
 西瓜も甘くておいしくできた。
 

 わが心かすか明るむ思ひして宵の衢(ちまた)に蛍を買ひぬ (岡井弘・7.8)

 s-スベリヒユ②20180730
 サツマイモの畝間を覆い尽す「スベリヒユ」。とにかく成長が早い。引き抜いて放置して10日ほどたっても枯れない。それどころか茎から根を出して甦ってしまう。

 薄紙の中に蛍を光らせてたからのごとく子は持ちまわる (小田清一・11)

 s-スベリヒユ③20180730
 一株でこんなにも育つ。厄介な雑草なのだが、ω-3脂肪酸を多量に含む健康食品であり、山形県では「ひょう」と呼び、茹でて芥子醤油で食べるという。沖縄県では「念仏鉦」(二ンブトゥーカー)と呼ばれ、葉物野菜の不足する夏場に重宝されるとも。トルコやギリシャでも食される由。ならば、サツマイモではなくスベリヒユを栽培すればひと夏に何回も収穫できるのだが・・・?

 ゆふ闇の空をとほりていづべなる水にかもゆく一つ蛍は (斎藤茂吉・15)

 s-スベリヒユ①20180730
 黄色のかわいらしい花も咲かせる。
 

 あかつきの蝉のひとこゑが諸声(もろごゑ)を誘ふあはれをききとめにけり (吉野秀雄・22)
 *「諸声」=和して発する多くの声。

 s-百日紅20180730
 サルスベリ。

 夕立の雨うちふれり庭のへにひとつの蝉の啼きとほるこゑ (土田耕平・8)

 s-カスミソウ20180730
 花期は過ぎて枯れ始めたカスミソウに夜来の雨が付き、満開の花のようになった。

 川鴉なきすぎゆきぬたぎつ瀬のたぎち輝き流るるうへを (若山牧水・13)

 s-オニユリ20180730
 多分、オニユリ。

 「平日に家にいる」という不思議な感覚にも慣れてきた。還太郎の住むアパートには16台分の駐車場があり夜は満車になるが、日中は2,3台しかない。皆さん「お勤め」にお出掛け。近くの総合病院の駐車場は朝から満車状態だけど、日中のコンビニはガラガラ、役所に行ってもほとんど待たされない・・・。満員電車ではなく、いつでも座れる電車状態。とにかく街全体が静か。
 
 明日から8月ですね。皆さま、お元気にお過ごし願います。
 

溌墨淋漓(はつぼくりんり)

溌墨淋漓(はつぼくりんり)は筆に墨をたくさん含ませて、勢いよく雲や煙などの風情のある様子を描くこと。「溌墨」は水墨山水画の技法の一つで、墨の濃淡の変化を使い、明暗を表現したり、墨をはね散らしたりして表現する画風。「淋漓」は勢いがあふれ出ている様子。(今年のタイトルは漱石『草枕』の難解熟語)


 今回も短歌は『昭和万葉集秀歌 【二】 相聞と挽歌』(講談社現代新書、岡井隆 編、昭和59年12月刊)の「病床の日に」から。作者名の後の数字は昭和○年○月の発表かを示す。年のみの表示もあり。

 しばらくを抱き起されて見る小庭わが播しものなべて芽吹ける(鶴逸喜・31.9)
 
 s-出荷20180705
 7/5の出荷品。左から白タマネギ、ジャガイモ、カボチャ(ほっこり姫)、紫タマネギ。楽しむことが優先なので、基本的には少量多品種栽培。ただ、サツマイモとカボチャは雑草対策も兼ねてやや多い。

 李白の詩読み終へし時住み古りしこの病室を狭くおぼゆる(峰梨花・30.3) 
 
 s-はやと20180709
 「はやと」という品種。見てくれはゴツゴツとしているが、包丁がすんなり入る柔らかさ。中辛のカレーに入れて食べたら、ジャガイモよりも煮崩れせず、もっちりしていてなかなか美味。ただ、いわきではなじみがないようで、売れゆきは芳しくない。 妻からは「気の利いたPOPを作るように」との御下命あり。

 何待つとなき半身を起こしをりほたるの光と息づきあひて(相良宏・31)

 s-くもの巣にあめ20180706
 蜘蛛の巣に雨。 

 泣きながら生(あ)れ来しときも一人ゆゑ死にゆく時もひとりと思ふ(滝沢亘・28.10) 

 s-紫の花20180706
 ヒメランタナ。

 血を吐きてゐれば父母らが暗闇にこもごも顕(た)ちて我を励ます(黒須牧郎・29.12)
 
 s-まだら模様の花②201807
 ヒャクニチソウかな? 不気味 !

 母にすがり向きかへ臥せば鮮(あたら)しき麦生のみどりよ吾は生きたし(千葉千代子・50)

 s-まだら模様の花201807
 こちらも不気味 ‼

 ふるさとの野川の氷ひび割るる音ときこえて肋(あばら)切られをり(伊藤祐輔・28.9)

 s-キク201807
 タイカンマツバギク。

 ハンセン氏病
 (らい)を病む我を見給ふ父の眼は死ねよと如し生みの子我に(瀬戸愛子・28)

 s-蓮20180706
 スイレン。

 6/29にいわきへ引っ越した。2,3日は片付けやら種々の手続き。そして7/7には、いわきから車で1時間強の母畑温泉「八幡屋」に1泊。兄弟とその伴侶たちが集まって母の卒寿の祝い。食事も温泉も言うことなし。翌朝の朝食バイキングも素晴らしかった。
 9日からは妻の指導のもとで本格的に畑仕事に参加。「晴耕雨読」を気取ってみたが、晴天続きで「晴耕」ばかり。「雨読」の日がない。土日だって晴れていれば畑に「出勤」。 まあ、そうはいっても11、12日は都内で飲み会。15日もいわきで飲み会。
 
 皆さま、くれぐれも熱中症にはご用心願います。(写真編集ソフトの調子が悪く、今回は短編になりました。)

面前に娉婷(ひょうてい)と現れたる姿に

娉婷(ひょうてい)は女性の穏やかな美しさがあること・そのさま。(今年のタイトルは漱石『草枕』の難解熟語。)

 今回も短歌は『昭和万葉集秀歌 【二】相聞と挽歌』(講談社現代新書・岡井隆 編・昭和59年12月刊)から。(作者名の後の数字は昭和何年何月の発表かを示す。何月か不明の場合は何年かのみ。)

 木隠(こがく)りの芝に陽の斑(ふ)を静かに踏み君去りゆけば佇(た)ちて見送る(中西進 28.6)

s-発電所20180701
  6月29日、還太郎は土浦市から福島県いわき市へ転居。翌30日には引っ越し荷物もほぼ片付き、7月1日、早朝散歩へ。上掲の写真は鮫川河口付近。5時17分。対岸の石炭火力発電所が朝霧に囲まれている。

 たなぞこを重ね寂しさをわかち合ふ風鳴る高き窓に向ひて(山口智子 28.2) 
 *たなぞこ=たなごころ、てのひら。

 s-釣り人20180701
 5時35分、朝霧は更に深くなるが、20~30m間隔で太平洋に向かい立つ釣り人は怯む様子なし。
 
 もろこしの穂に月ありしかの夜よふるへて我を抱き給ひき(福田節子 27.6)

 s-アザミ20180701
 ノアザミ。
 上掲の写真以下は、海岸沿いの防風林の中を通る小道で。「防風林」ということで、一定の手入れがなされている様子。日射しも避けられるので、絶好の徘徊コースかも。
 
 灰黄(くわいくわう)の枝をひろぐる林みゆほろびなむとする愛恋ひとつ(岡井隆 28.6)

 s-白い花20180701
 スイカズラ。

 快活にほほえみいしが美しき頬をつたいて落ちしひかりよ (篠弘 32)

 s-赤い花②20180701
 バラ。

 かなしみの遂に祈りのごとくなるこの夜半ひそかに君の名を呼ぶ(荒金千代 31.6)

 s-黄色の花20180701
 メマツヨイグサ。

 君住める故に愛せしこの街の雪積む駅の停車短く(葉山宣淳 33)

 s-赤い花20180701
 ヒメオウギズイセン。

 雪しろの はるかに来たる川上を 見つつおもへり。斎藤茂吉(釈迢空 30)

 s-黄色の花②20180701
 オオキンケイギク。

 みいのちは今日過ぎたまひ現身(うつしみ)の口いづるこゑを聞くこともなし(佐藤佐太郎 31)

 s-ネギ畑20180701
 鮫川の堤防の内外の農地はネギ畑が多い。収穫時期をずらすべく何回かに分けて植えている。なかなか一直線というわけにはいかない。

 今日の歩数10,706歩。体重もあと600gで70kg台。明日はサツマイモ植え付け用の畝を100mほど作るので、明日にでも「夢の70kg台達成」かな ❢
 皆さま、もう梅雨明けとか。暑くなります。ご自愛専一に願います。



齷齪(あくそく)

 齷齪(あくそく)。心にゆとりがなく、目先のことに追われてこせこせと気ぜわしく事をするさま。青空文庫では「あくそく」とルビがふってあるが「あくせく」とも。(今年のタイトルは漱石・『草枕』の難解熟語)

 今回の短歌は『昭和万葉集秀歌』の【二 相聞と挽歌】から。作者名の後の数字は作品の発表時期(22.12は昭和22年12月)。

 戦ひに命死ぬべしと別れたりき吹雪(ふぶ)きて青き夜の窓なりき(河村盛明 22.12)

 s-朝露20180624
 スギナ。

 今回の写真は6/24いわきにて。

 戦につづく幾とせのきびしきをけふのいのちありて君に会ひにけり(赤谷昭枝 25.1)

 s-朝の景色20180624

 絹マフラー色はなやかに笑み来るを枇杷の花匂ふ樹の陰にまつ(小山智士 23.2)

 s-茗荷と蕗20180624

 うるはしき水無月の野路いそぐとき待たるる人とわれを思ひぬ(佐藤春夫)

 s-朝の景色④20180624

 思ひ浮かぶかの日の別れ青芝に汝(な)れが影あはく長くうつりゐき(山本成雄 23.8)

 s-朝の景色③20180624

 逢ふ日あり逢はぬ日ありて青麦のさやさやとこころ君にかよへる(金井明 26.7)

 s-朝の景色②20180624
 ムラサキツユクサ。

 逢わむ日を心に待てば美しくなりたしと念(おも)うかなしきまでに(前田安津子 23.10)
  
 s-紫陽花20180624
 アメリカノリノキ「アナベル」
 
 訪ね行き君に見せむと結いにける我がくろかみに春の雪ちる(栗谷節子 22.5)

 s-桔梗20180624
 キキョウ。

 乾草のかぐはし中に身を投げて目閉(とぢ)る時にふれて来よ君(森下真理 23.8)

 s-薔薇20180624
 バラ。

 むらさきの日傘の色の匂ふゆゑ遠くより来る君のしるしも(川田順 27)
 *「匂ふゆゑ」は美しく映えるので。*「しるしも」は著しも。きわだっている・はっきりしている。

 s-花②20180624
 ペンスモンテン。

 わがこころの環(たまき)の如くめぐりては君をおもひし初めに帰る(川田順 27) 
 *「環の如く」はめぐりめぐってきわまるところのないことのたとえ。

 s-花20180624
 ヒメランタナ。

 春のめだか雛の足あと山椒の実それらのものの一つかわが子(中条ふみ 29) 

 s-ダリア20180624
 ダリア。

 剪毛(せんもう)されし羊らわれの淋しさの深みに一匹づつ降りてくる(中条ふみ子 27)

 s-ダリア②20180624

 思ふ人あらば君疾(と)く癒えなんと言ひし医師(くすし)をひそかに愛す(小島和子 30.12)

 s-ダリア③2010624

 明日の逢ひを約して丘を下る視野に海に続かむ川展(ひら)けたり(山本詞 31.5)

 s-シソ20180624
 シソ。

 やはらかく雑草の丈に閉ざされて座れば君に月さしにけり(馬場あき子 30.9)

 s-いただきもの20180624

 還太郎は6月末にいわき市へ転居する。上掲の写真は送別会で頂いたもの。花束のほかにもいろいろなお餞別品をいただいたが、最も多かったのはお酒。土浦に住んだこの1年間、毎日会社に行くのが楽しみだった。職場の仲間に感謝。
 ということで、7月からは、いわきにいる92歳の義母と90歳の実母に親孝行の真似事をしつつ、妻の指導を受けて野菜作りに励むことに。これからもブログは続けるので、絶滅危惧種的に少ない弊ブログの読者の皆さま、引き続きよろしく。

 皆さまのご健康を祈っております ! 実は今日も送別会なのであります・・・。

弊竇(へいとう)

弊竇(へいとう)、の「竇」は穴の意。弊害となる点。欠陥。「今代芸術の一大弊竇は・・・」。(今年のタイトルは漱石・『草枕』の難解熟語。)

 今日は薄曇りで午後時々晴れ。一昨日と昨日、そして今日も午前中は長袖のポロシャツを着用。半袖では寒い ! 9時過ぎからご近所のお庭の鑑賞しつつ散歩した。
 
 今回の短歌は講談社現代新書『昭和万葉集秀歌 〔二〕相聞と挽歌』(岡井隆 編・昭和59年12月20日刊)から。

 相逢はぬ日を重ねつつたな雲の夕づく頃はひとり嘆くも(中島勝)

  s-バラ20180617
 バラ。

 告げがたき思ひにふるふわれの手に大き蛍を娘(こ)は呉れにけり(岩田清)

 s-バラ②20180617
 バラ。

 葉をこぼす木の間あかるし先ゆきて言葉少なき人をさびしむ(鶴見英之)

 s-黄色の薔薇20180617
 ダリア。 

 逢へる夜の時じくの雪顔臥せて歩める汝(なれ)が額(ひたい)ぬれつつ(相沢正) *「時じく」は季節はずれの意。
 
 s-ピンクの花2180617
 アルストロメリア。

 後髪(おくれげ)に触(ふ)りつつわれのきよかりき雪ある舗道に小雨ふり出づ(松坂二郎)  
 
 s-ブルーベリー②20180617
 ブルーベリー。

 あわただしく過ぎゐる吾にかぎろひの夕べの逢ひはたまゆらなりし(五味保義) *「たまゆら」はわずかの時間の意。
 
 s-黄色の花20180617
 ヘメロカリス。

 手を垂れてキスを待ち居し表情の幼きを恋ひ別れ来りぬ(近藤芳美)

 s-黄色の花③20180617
 イヌガラシ。

 みつめゐる君が面(おも)わの眩しければサン・テクジュペリのことを話し出(いだ)しぬ(近藤とし子)

 s-合歓の花20180617
 ネム。

 我が若き思ひのすべて街を往く君を包みて夕霧となれ(加太こうじ)

 s-狛犬20180617

 うつつなくわれら相より月かげに遠潮鳴(とおしおな)りの音をききにき(坂東房子)

 s-紫の花20180617

 月読(つきよみ)の蒼き光もまもりませ加那(かな)(ゆ)き給ふ海原の果て(島尾ミホ)  *「月読」は月の神または月の意。「加那」はあなた、君の意。

 s-赤い花③20180617
 ダリア。

 わが想う人も恋ふらめ山の上(へ)の明けなむとする薔薇光(かげ)のそら(島尾ミホ)

 s-青い花④20180617
 ムラサキツユクサ。

 ふり向かず別れては来ぬ別れ来て冬木の道に涙こぼしき(潮霧子)

 s-赤い花②20180617
 アルストロメリア。

 リラの花卓のうへに匂ふさへ五月(さつき)はかなし汝(なれ)に会わずして(木俣修)

 s-青い花②20180617
 グラジオラス。

 汝が吐息頬近うまでおぼゆるを愛しきものと眼(まなこ)とぢをり(村尾公) 

 s-赤い花20180617
 ダリア。

 泥まみれの天使のようなお前、そっと抱けば空に立つ虹(前田透)

 s-青い花20180617
 キキョウ。

 くれなゐの苺の汁を吸ふごとき戯れをもて唇(くち)触り給ふな(杉浦翠子)

 s-新葉20180617
 シロダモ。

 あさあけに白き帆船を夢みたり醒めてこほしきわがこころづま(服部忠志)

 s-紫陽花③20180617
 アジサイ。

 見出(みいだし)たる嬉しさに叫ぶ妹の声か木魂となりて再びは聞こゆ(遠藤正人)

 s-紫陽花20180617
 アジサイ。

 お茶の水崖のつたの葉紅(あけ)にそみ妻となる娘(こ)を思ひつつ見る(木山捷平)

 s-紫の花⑥20180617
 トキワハゼ。

 まがなしき心きはまりたまさかに逢ひ得し君を泣かしめにけり(山口茂吉) *「まがなしき」はいとしいの意。

 s-蝶20180617
 アゲハチョウ。

 蒲の穂にさやに霜降り冷ゆる夜を君と相寝るさちを恃(たの)まむ(山口茂吉) 

 s-白い花20180617
 ダリア。

 人生のはじめてにしてきみと聴く谷川の音ほかはなかりき(岡山たづ子)

 s-白い花②20180617
 インドハマユウ(クリナム)。
 
 添ひて座る吾妹(わぎも)はいまだいとけなし南京玉を指にはめたり(白駒一義) *「南京玉」は小さな穴のあいた陶製やガラス製の玉。
 
 s-白い花③20180617
 ニンジンかな?
 
 
 ふくろふは雪降る夜半も鳴くと云ふ覚めて歎きて君はききけむ(森本康子) 

 s-白い花④20180617
 ハコベ。

 おもひいでてたへがたくをりうつむける君が睫(まつげ)のながかりしかも(久保田安治)
 
 s-捩花20180617
 ネジバナ。

 今日は1万歩ほど歩いたのだが、町内の環境整備の日になっているようで、多くのお宅が生垣の剪定作業をやっておられた。
 皆さま、天候不順というか梅雨です。ご自愛願います。


 
プロフィール

kantarou + 6

Author:kantarou + 6
畑や庭での作業を楽しんで、晩酌・早寝・早起きの毎日です。読書やドライブも好きです。

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