土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)

 「土脉潤起」は24節気「雨水」の初侯。冬のあいだ凍てついていた大地がゆるんで、潤いが戻ったの意。

瀬を弾くひすいの光ついと逸れ岩鼻のへに翡翠となる(沢田英史)
 s-カワセミ20170219

 幾筋の光 するどく空を截り かはせみは今朝 巣立ちたるらし(岡野弘彦)
 s-カワセミ③20170219

 翡翠にとられし魚を誰も知らず在りたることも失せたることも(北沢郁子) 
 s-カワセミ②20170219

 かわせみは入間の川にダイブして水面を破る所作に生きゐる(森田忠信)
 s-カワセミ④20170219

 命ふたつ白鷺とわれ木枯にあらがへるほか暮色渺渺(土屋正夫)
 s-シラサギ20170219

 さりげなくわが背(せな)を押しこそばゆし夢のもつれのような春風(小高賢) 
 s-冬枯れ20170219

 地より空より伝はりて来る新しき鳴動にわが耳聡くあれ(木俣修) 
 s-新芽20170219

 馬酔木のあまき香りの花つづる下ゆく道をおもかげにして(清水房雄)
 s-馬酔木20170219

  いささかの力みもあらず春風にわがワイシャツの揺れつつ乾く(井谷まさみち)
 s-風任せ20170219

 ほとほとに歩みあまして立ち添ふに白堊の壁の冬の日だまり(宮英子)
 s-陽だまり20170219

 公園の日溜りに椅子一つあき光となりし夫と腰かく(小島笑子) 
 s-陽だまり②20170219

 のどかなる冬の陽ざしや吾に来む末路のいまだ見えぬ楽しさ(大島史洋)
 s-陽だまり③20170219

 カワセミは昨日も見たが、あいにくCDしか持っていなかった。今日は望遠レンズをつけたカメラを持参したが、1時間歩いても遭遇できず、諦めた頃に御対面 !! とりわけ2、3枚目のような飛翔状態で撮れたのはラッキーだった。
 皆さま、気温が乱高下しています。くれぐれもご自愛願います。


黄鶯睍睆(こうおうけんかんす) 

 タイトルは春を告げる鳥、鶯が鳴き始めるという意味。七十二候の2つ目。

 2/12、内牧公園。時折強い西風。風下に向かって歩くと背中が押され、小走りになる。

 みずからの心宥めむ嘘一つ探しあぐねつ 百舌が高鳴く(石川不二子) 
 s-もず②20170212

 戦ひに敗れしものは野に死にき百舌の世界の事なりながら(築地正子)
 s-モズ20170212

 凍てつきし天に荒星なだれゐてぎんぎんと夜の軋む音する(松平盟子)
 s-つぐみ20170212

 われらみな宇宙の闇に飛び散りし星のかけらの夢のつづきか(沢田英史)
 s-サギ20170212

 「如月の闇」としばしば言ふゆゑは深し「生更生」の山野の闇を(青木祥太)

 立春を過ぎても寒い日が続いています。やはりお彼岸までは油断できないようです。皆さま、ご自愛願います。

東風解凍(はるかぜこおりを解く)

 「立春」から始まって「大寒」で結びとなる「二十四節気」は、それぞれをほぼ5日ずつの3つに分けた「七十二候」に細分化される。タイトルに掲げた「東風解凍」は「立春」の初候の由。

 またの日といふはあらずもきさらぎは塩ふるほどの光を撒きて(春日井建) 
 s-ホトケノザ20170205

 草焼きし跡のゆゑもなき静かさやその灰黒く土かたくして(佐藤佐太郎)
 s-野焼き20170205

 きさらぎはひかりの林 みなゆきて光の創(きず)を負ひてかへれよ(雨宮雅子)
 s-立春20170205

 行き来する部屋に昨夜の豆踏めば居残る鬼がにかにか嗤ふ(仁木理子) 
 s-棘20170205

 透きとほる花の幻影夜々(よひよひ)に眠りをつつむ立春前後(尾崎左永子)
 s-蝋梅201702056

 立春きさらぎ美(は)しきひびきを持つ言葉先立てて来る春と告げたき(中野照子)
 s-花のように見える葉20170205

 屈しいる心を割ってやわらかき芽の見えはじむ大地如月(松本紀子)
 s-つばき20170205

 われの日はきさらぎ五日梅咲けど何ものか烈しく復讐しをる(前川佐美雄)
 s-梅20170205

 春立つとけふ精神のくらがりに一尾の魚を追ひつめにけり(林清和)
 s-鉢巻をしめた人面木20170205
 荷造り紐を鉢巻代わりにした人面木に見えなくもない。
 インフルエンザやらウイルス性胃腸炎が流行っているとのこと。皆さま、お大事に。

梅の香の甦す微かな痛みあり春は来るより返されるるもの(高村典子)

 1/21、晴れ時々強風。砂塵が舞う。落語「たらちね」の『今朝(こんちょう)怒風烈しゅうして土砂眼入す』を思い出した。
 例年、内牧公園で多分最初に咲くのであろう梅が、今年も開花。

 梅、石楠花つぼみたしかにはぐくみて冬日に光る励まされをり(宮柊二)
 s-梅20170121
 
 膨らみし花を宙空に飛び咲かせ寒風に梅は毅然と立ちぬ(大滝貞一)
 s-梅②20170121

 冬きたる野の木野の草限りなく衰ふるものに美しさあり(窪田空穂)
 s-アオジかな20170121 (1)

 陽光が地上に割れる音のしてこの冬いちばんの寒い日となる(菊池良子)
 s-ユリ20170121

 裸木の高きところに冬はきぬ亡き人宛の手紙とどきて(北久保まりこ)
 s-組み合い20170121

 杜氏より酒の案内(あない)の届く頃冬もよろしと思ほゆるなり(對馬恵子) 
 s-日差し20170121

 この真冬恋うものあらば暁暗をほそく剪りつつ咲く水仙花(松平盟子)
 s-黄色の花20170122

 1月20日は「大寒」。「冷ゆることの至りて甚だしきときなれば也」と『暦便覧』では説明されている。実際には「大寒」から「立春」の頃が最も寒いとのこと。皆さま、お大事に !

 

集団をたえず動かしつづけきてことば穏(おだ)しき人となりくる(選者・篠弘)

 1/15。他の地方は大雪。春日部も寒い。それでも運動不足を幾分でも解消すべく、この冬一番の厚着をして内牧公園へ。毛糸の帽子を被っても、頭がキンキンに冷える。  今回の和歌は1/4の歌始会から。

 一対の脚が踏ん張る大地あり季節違はず種を蒔く人(選者・三枝昂之)
 s-鳥②かな20170115
 ヒワ類か。 シメではないかとはっぴー先輩からご教示あり。手前の枝の陰になり目の辺りに陽が当たらない。

 野の萩をコップに挿して病棟に人ら座れば月は昇りぬ(宮城県・和田和子)
 s-テリハノイバラ20170115
 毎回のように登場するテリハノイバラ。厳寒期でも、その名の通りテカテカ。

 休憩所の日向に手袋干しならべ除染の人らしばし昼寝す(福島県・菊池イネ)
 s-ヨシの穂20170115
 ヨシの穂が光る。

 雨上がり人差し指で穴をあけ春の地球に種を蒔きたり(東京都・高橋千恵)
 s-鳥20170115
 そのヨシ原には何羽もの野鳥が。シジュウカラ(はっぴー先輩)。

 橅植ゑて百年待つといふ人の百年間は楽しと思へり(長野県・木内かず子)
 s-倒木201701
 これは先週いわき・田人路の山中で。

 戦ひにあまたの人の失せしとふ島緑にて海に横たふ(天皇陛下御製。)
 夕茜に入りゆく一機若き日の吾(あ)がごとく行く旅人やある(皇后陛下御製)

 1月7日、師と仰ぎ兄とも慕う先輩が67歳で急逝。優しい人だった。タイトルの和歌は先輩を偲んで。 大きな喪失感とともに内牧公園を徘徊した。
 皆さま、厳寒期、くれぐれもご自愛願います。
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kantarou+4

Author:kantarou+4
週末の近郊里山徘徊を楽しみつつ、足腰の衰えを防止しています。読書やドライブも好きです。

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