葭始生(あしはじめてしょうず)

 「葭始生」は24節気の「穀雨」の初候。4/20~24。水辺に咲く葦が芽を出すころの意。

 いまわれは浮上してゆく 海中の日和のやうなしづかな朝へ(米口實)
 s-アカメガシワ20170423

 祈りなど持たざる我の日々のため春蒔く小さき種しまいおく(萩原喜久江)
 s-ウグイス②2017423
 鳴き方がまだぎこちないウグイスの声が響く。遠くの梢にいた、いた。あいにく逆光。

 身の内に白蛇のごとく舞いうごく春の風あり行方なきまで(大野とくよ) 
 s-花20170423

 宵々に夜行のけもの通りゆく窓下の闇わが裡の闇(富小路禎子)
 s-柿の葉20170423

 身の内に棲むわたくしは遠き世に追はれし楽園をつねに恋ふらしき(浜田蝶二郎)
 s-紫の花20170423

 一人(いちじん)の裡に秘めますおんかなしみつつしみ思ふ永遠(とは)のみゆきに(乙犬拓夫)
 s-新葉20170423

 永遠に他者にしてなほ少しづつおのれの牧に入り行くものぞ(岡井隆)
 s-新葉②20170423

 手の甲に透く静脈の青き河永遠ならぬ河 涸れてゆく河(江尻令子)
 s-新葉③201704236

 わたくしの夕暮れてゆく街にある影といふ名の数多のimage(いまあじゅ)(中川宏子)
 s-新葉④20170423

 亡き人は風としおもふ水の面をすぎし気配に水茎ゆらぐ(塚越信子)
 s-新葉⑤20170423

 日はのぼり日はまた沈むいつのときもわれに凛たり心の一樹(加藤克巳)  
 s-白い花20170423

 屋根越えて風は刃となりとめどなくあかき桜葉遠くへ運ぶ(片桐明)
 s-八重桜20170423

 みづからに恃むこころの揺らぐとき掌のなかに風ありと思はん(山内照夫)
 s-梨の花②20170423
 たぶん梨の花。

 テレビを見ながらブログを作っていたら、NHKBSプレミアムで「忌野清志郎・幻の名盤」をやっていた。LP「シングルマン」の特集。
 聞き惚れた。凄い才能だったんだね。
 ここのところ良く本を読んでいる。原田マハ「デトロイト美術館の奇跡」、沢木耕太郎「春に散る」、塩田武士「罪の声」、村上春樹  「騎士団長殺し」、恩田陸「月の裏側」などなど。いずれもお勧め。

 皆さま、お元気にお過ごしください。

 
 

雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)

 「雷乃発声」は「春分」の末候(3/30~4/3)。春の雷が鳴って、さらに季節は進むの意。

 さくら開く夜ごとの藍のくもり垂れ春おもおもと我が日をめぐる(近藤芳美)
 s-桜20170402

 よきものは一つにて足る高々と老木の櫻咲き照れる庭(窪田章一郎)  
 s-桜④20170402

 雨あとの夕映えあはく指しければさくらはさとく茜にうるむ(大塚布美子) 
 s-桜③20170402

 青き空にさくらの咲きて泣きごゑは過ぎし時間のなかよりきこゆ(森岡貞香)
 s-桜②20170402

 ゆくところ桜ひかりをふふむ午後われはそらみつ大和のをみな(筒井早苗)
 s-桜⑥20170402

 押しひらくちから蕾に秘められて万の桜はふるえつつ咲く(松平盟子)
 s-桜⑦20170402

 新緑とはるかに告げ來(く)緋鯉より眞鯉はなやかなる夕つ方(塚本邦雄)
 s-新葉20170402

 水の上明るき春の夕べとなり舵手こゑ長し遠き艇より(植松壽樹)
 s-新芽③20170402

 なぜそんなに急ぐのですか 花がいそぎ 私にはもうとどかない(梓志乃)
 s-新芽②20170402

 住みつきて野火止のほとりいくたびの春あらせいとうの溢るる紫(椎名恒治)
 s-新芽20170402

 春はまた流々草花(りゅうりゅうさうげ)たちかへり湖北にいます渡岸の菩薩(山中智恵子)
 s-白い花201704025

 少しよき春というべしこの道に すみれ たんぽぽ れんげそう咲く(日野きく) 
 s-黄色の花20170402

 ああ春は花結びして紗に透けて露わな脚となりて懜や(福島泰樹)
 s-ユキヤナギ20170402

 芹つむを夢にとどめて黙ふかく春の過客なるべし(小中英之)
 s-ツバキ20170402

 全山さくら全山辛夷トンネルを越ゆれどもこゆれども騒然と春(野原水樹)
 s-こぶし20170402

 懐かしき手紙展(ひろ)げるやうに海、春は小波(さざなみ)の一小節より(小黒世茂)
 s-おどりこ草20170402

 足引きて山下り来れば木の陰に流れのありて雉の水のむ(都築省吾)
 s-キジ20170402②JPG

 生きかはり生きかはりても科ありや永遠(とは)に雉鳥の声にて鳴けり(稲葉京子)
 s-キジ20170402

 素枯れ立つ木々一斉に穹(そら)指す来ん春の息ととのふるごと(塩入照代)

 桜のニュースはあちこちから届くものの、依然として気温は乱高下。皆さま、くれぐれもご自愛願います。

 

桜始開(さくらはじめてひらく)

  「桜始開」は春分の次候(3/25~29)。文字通り、桜が咲き始めるころの意。以下は3/25のいわきの農家の庭先。

 日の昏れの透明のなか駈けきたる少年は植物の香気もちたり(真鍋美恵子) 
 s-ウメ20170325

 天と地と風と羊の群を統べて少年ひとり道を過れり(稲村一弘)
 s-フクジュソウ20170325

 少年の恋のはじまりしころからか緑の魚のわがうちにすむ(北久保まりこ)
 s-なにかな20170325

 少年はわが少年の留守にきて帰りぬ犬としばらく話し(中野昭子)
 s-ボケ20170325

 少年はこの一年を他人(ひと)となり楷書のようなことばをつかふ(前川佐重郎)
 s-ゆきやなぎ20170325

 傘ふたつ持ちし少年ふる雨のなかに人待つやさしき象(かたち)(香川哲三)
 s-木蓮20170325

 サングラスの中の暗がり誰の子かわからぬままの少年育つ(黒崎由起子)

 もうすぐ4月ですね。桜の開花予想も出され、心も浮き立ってきます。皆さま、お元気にお過ごし願います。

雀始巣(すずめはじめてすくう)

 「雀始巣」は24節気の「春分」の初候(3/20~3/24)。お彼岸を迎え、春もだいぶ本格的になり雀も巣作りを始めるころの意。
 今日(3/20)、東久留米市の落合川へ2度目の遠征。「落合川と南沢湧水群」は東京都で唯一の「平成の名水百選」に選ばれている。

 窓ゆ入る春の陽射しを掌に受けて冬を堪へ来し魂あらふ(浜守) 
 s-カモ20170320

 水の上にただよひながらありとなき空氣は水に見入ることある(葛原妙子)
 s-落合川20170320

 今夜(こよい)想う草木虫魚禽獣ら愛(は)しきいのちに地球は満てる(坪野哲久)
 s-白い花20170320
 ユキヤナギ(以下、青字はS先輩からご教示いただきました)

 ほのぼのと地球の水の昇りゐむ公園草木(そうもく)月光浴中(浜田蝶二郎)
 s-鳥20170320

 花ひららひよひよと鳴くこゑのして五十億年経し地球(テラ)の朝(砂田暁子)
 s-紫の花20170320
 ムラサキ科エキウムの園芸品種ブルーヘッダーかな

動物園にカバの子産まれ春の地球(テラ)重たくなりて日暮れ遅れる(山下和夫)
 s-ピンクの花20170320
 ウグイスカグラ

 いつにしか洗濯物に陽の当たり地球はわれのためにも動く(福崎定美)
 s-柳あおめる20170320

 化石資源燃やして煤ける水惑星ウランを抱え微熱に呻く(あべまさこ)
 s-柳あおろる②20170320

 いのちよりいのち産み継ぎ海原に水惑星の摶動を聴く(栗木京子)
 s-うめ20170320

 億万のいのちを抱き青く澄む地球の色はかなしみのあを(木立徹)

 暑さ寒さも彼岸までといいますが、皆さま、お元気にお過ごし願います。

菜虫化蝶(なむしちょうとなる)

「菜虫化蝶」(3/15~19)は「啓蟄」の末候。青虫が羽化して蝶になり、菜の花畑を舞う頃の意。

 早春の朝のまちかど豆腐屋の掬う豆腐の雫かがやく(恒成美代子)
 s-ムクドリ20170318

 俄なる春のきざしにガラス張りのビル高層に窓一つあく(高安国世)
 s-花20170318
 ムラサキハナナ(S先輩からご教示いただきました)

 春とならば香はかぐわしく流るべし林檎樹林をつらぬく津軽路(窪田章一郎)
 s-花②20170318

 何待つとなきこの身さへ春うごく気配につれてときめくものを(筏井嘉一)
 s-花③2017031

 逆さまに落ちゆく或る日春ふかく愉しき一片の蝙蝠として(河野愛子)
 s-花④20170318

 折れ芦の鴨の入江に陽はさしてゆきてかえらぬものに春くる(馬場あき子)
 s-花⑤20170318
 
 早くとも遅くとも春の挨拶のなかに据えられる桜の開花(沖ななも)
 s-花⑥20170318

 フィレンツェの衰弱とともにこの地上去りし光を春といはむか(小池光)
 s-実20170318

 このあした病衣を脱ぎて鏡あり再びわれの春かかへらむ(河野愛子)  
 s-鳥20170318

 里山の輪郭ぼうとけぶれるは梢々に春来たるらし(雨宮潔)
 s-穂20170318

 樹は内に一千年後の樹を感じくすぐったくてならない春ぞ(渡辺松男)
 s-葉20170318

 萌えいづる枸杞の芽ばらの芽山椒の芽はや賑やかにわが庭の春(筏井嘉一)
 s-葉②20170318

 春あさき湖(うみ)に釣りたる若さぎの胸ほのかなる花の色帯ぶ(坂出裕子)
 s-葉③20170318

 ひかり風くぐりて走る一年生たんぽぽ星人たちの春です(桜川冴子) 
 s-葉④20170318

 あたたかく雨はそそぎて永き世の中なる春の遠木立見ゆ(清原令子)
 s-葉⑤20170318

 君と逢う約束までにあと十分ひと駅歩いて春の香まとう(岩崎勢津子)
 s-葉⑧20170318

 新しきみどり芽ぶける藻の草の茂みに春の橋脚は立つ(市野千鶴子)
 s-葉⑦20170318

 春まだきひかりの下の錯覚に眼鏡の縁にとまる鳥あり(上野久雄)
 s-葉⑥20170318

16~17日は鼻水止まらず、とうとう花粉症になってしまったかと案じていたが、今日は「ときどき鼻水」状態。花粉症ではないのかなと一縷の望みを抱いて内牧公園を散策。大丈夫みたい !!
皆さま、お彼岸ももうすぐです。お健やかにお過ごし願います。


 
プロフィール

kantarou+4

Author:kantarou+4
週末の近郊里山徘徊を楽しみつつ、足腰の衰えを防止しています。読書やドライブも好きです。

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