桜始開(さくらはじめてひらく)

  「桜始開」は春分の次候(3/25~29)。文字通り、桜が咲き始めるころの意。以下は3/25のいわきの農家の庭先。

 日の昏れの透明のなか駈けきたる少年は植物の香気もちたり(真鍋美恵子) 
 s-ウメ20170325

 天と地と風と羊の群を統べて少年ひとり道を過れり(稲村一弘)
 s-フクジュソウ20170325

 少年の恋のはじまりしころからか緑の魚のわがうちにすむ(北久保まりこ)
 s-なにかな20170325

 少年はわが少年の留守にきて帰りぬ犬としばらく話し(中野昭子)
 s-ボケ20170325

 少年はこの一年を他人(ひと)となり楷書のようなことばをつかふ(前川佐重郎)
 s-ゆきやなぎ20170325

 傘ふたつ持ちし少年ふる雨のなかに人待つやさしき象(かたち)(香川哲三)
 s-木蓮20170325

 サングラスの中の暗がり誰の子かわからぬままの少年育つ(黒崎由起子)

 もうすぐ4月ですね。桜の開花予想も出され、心も浮き立ってきます。皆さま、お元気にお過ごし願います。

雀始巣(すずめはじめてすくう)

 「雀始巣」は24節気の「春分」の初候(3/20~3/24)。お彼岸を迎え、春もだいぶ本格的になり雀も巣作りを始めるころの意。
 今日(3/20)、東久留米市の落合川へ2度目の遠征。「落合川と南沢湧水群」は東京都で唯一の「平成の名水百選」に選ばれている。

 窓ゆ入る春の陽射しを掌に受けて冬を堪へ来し魂あらふ(浜守) 
 s-カモ20170320

 水の上にただよひながらありとなき空氣は水に見入ることある(葛原妙子)
 s-落合川20170320

 今夜(こよい)想う草木虫魚禽獣ら愛(は)しきいのちに地球は満てる(坪野哲久)
 s-白い花20170320
 ユキヤナギ(以下、青字はS先輩からご教示いただきました)

 ほのぼのと地球の水の昇りゐむ公園草木(そうもく)月光浴中(浜田蝶二郎)
 s-鳥20170320

 花ひららひよひよと鳴くこゑのして五十億年経し地球(テラ)の朝(砂田暁子)
 s-紫の花20170320
 ムラサキ科エキウムの園芸品種ブルーヘッダーかな

動物園にカバの子産まれ春の地球(テラ)重たくなりて日暮れ遅れる(山下和夫)
 s-ピンクの花20170320
 ウグイスカグラ

 いつにしか洗濯物に陽の当たり地球はわれのためにも動く(福崎定美)
 s-柳あおめる20170320

 化石資源燃やして煤ける水惑星ウランを抱え微熱に呻く(あべまさこ)
 s-柳あおろる②20170320

 いのちよりいのち産み継ぎ海原に水惑星の摶動を聴く(栗木京子)
 s-うめ20170320

 億万のいのちを抱き青く澄む地球の色はかなしみのあを(木立徹)

 暑さ寒さも彼岸までといいますが、皆さま、お元気にお過ごし願います。

菜虫化蝶(なむしちょうとなる)

「菜虫化蝶」(3/15~19)は「啓蟄」の末候。青虫が羽化して蝶になり、菜の花畑を舞う頃の意。

 早春の朝のまちかど豆腐屋の掬う豆腐の雫かがやく(恒成美代子)
 s-ムクドリ20170318

 俄なる春のきざしにガラス張りのビル高層に窓一つあく(高安国世)
 s-花20170318
 ムラサキハナナ(S先輩からご教示いただきました)

 春とならば香はかぐわしく流るべし林檎樹林をつらぬく津軽路(窪田章一郎)
 s-花②20170318

 何待つとなきこの身さへ春うごく気配につれてときめくものを(筏井嘉一)
 s-花③2017031

 逆さまに落ちゆく或る日春ふかく愉しき一片の蝙蝠として(河野愛子)
 s-花④20170318

 折れ芦の鴨の入江に陽はさしてゆきてかえらぬものに春くる(馬場あき子)
 s-花⑤20170318
 
 早くとも遅くとも春の挨拶のなかに据えられる桜の開花(沖ななも)
 s-花⑥20170318

 フィレンツェの衰弱とともにこの地上去りし光を春といはむか(小池光)
 s-実20170318

 このあした病衣を脱ぎて鏡あり再びわれの春かかへらむ(河野愛子)  
 s-鳥20170318

 里山の輪郭ぼうとけぶれるは梢々に春来たるらし(雨宮潔)
 s-穂20170318

 樹は内に一千年後の樹を感じくすぐったくてならない春ぞ(渡辺松男)
 s-葉20170318

 萌えいづる枸杞の芽ばらの芽山椒の芽はや賑やかにわが庭の春(筏井嘉一)
 s-葉②20170318

 春あさき湖(うみ)に釣りたる若さぎの胸ほのかなる花の色帯ぶ(坂出裕子)
 s-葉③20170318

 ひかり風くぐりて走る一年生たんぽぽ星人たちの春です(桜川冴子) 
 s-葉④20170318

 あたたかく雨はそそぎて永き世の中なる春の遠木立見ゆ(清原令子)
 s-葉⑤20170318

 君と逢う約束までにあと十分ひと駅歩いて春の香まとう(岩崎勢津子)
 s-葉⑧20170318

 新しきみどり芽ぶける藻の草の茂みに春の橋脚は立つ(市野千鶴子)
 s-葉⑦20170318

 春まだきひかりの下の錯覚に眼鏡の縁にとまる鳥あり(上野久雄)
 s-葉⑥20170318

16~17日は鼻水止まらず、とうとう花粉症になってしまったかと案じていたが、今日は「ときどき鼻水」状態。花粉症ではないのかなと一縷の望みを抱いて内牧公園を散策。大丈夫みたい !!
皆さま、お彼岸ももうすぐです。お健やかにお過ごし願います。


 

桃始笑(ももはじめてさく)

「桃始笑」は24節気「啓蟄」の次候(3/10~3/14)。薬効のある桃は、古くから霊力を備える植物とされてきたという。

 白木蓮の卵いよいよ膨らみて大地の祭り始まらんとす(松村由利子)
 s-新芽④20170311

 いつよりか朝のひばりの鳴くことを寝ねむとしつつ妻は告げたり(近藤芳美)
 s-新芽②20170311

 雲よむかし初めてここの野に立ちて草刈りし人にかくも照りしか(窪田空穂)
 s-新芽と枯葉20170311

 森深く鳥鳴きやみてたそがるる木の間の水のほの明りかも(島木赤彦)
 s-新葉2170311

 白鳥の飛来地をいくつ隠したる東北のやはらかき肉体は(大口玲子)
 s-芸術④20170311
 オオオナモミの果実(以下、青字はS先輩からのご教示です)

 あふれ出て路上にみなぎりさらにあふれとめどなしとめどなし春昼(しゅんちゅう)の泉(加藤克巳)
 s-新葉②20170311

 くさも樹もなべてが天へたれさがるこの倒錯を春というべし(村木道彦)
 s-新葉③20170311

 みどりごの喃語のやうに春生(あ)れてひとりひとりの耳たぶに触る(横山未来子)
 s-新葉④20170311

 くれなゐの梅ちるなべに故郷につくしつみにし春し思ほゆ(子規)
 s-新芽20170311
 ニワトコの蕾

 月ひと夜ふた夜満ちつつ厨房にむりッむりッとたまねぎ芽吹く(小島ゆかり)
 s-新芽③20170311

 ここに立つ樹が木蓮といふことをまた一年は忘れるだろう(荻原裕幸)
 s-新芽⑤20170311

 たとへば君 ガサッと落ち葉すくふやうに私をさらつて行つてはくれぬか(河野裕子)
 s-枯葉20170311

 くびられし祖父よ菜の花は好きですか網戸を透きて没り陽おわりぬ(佐伯裕子)
 s-菜の花20170311

 人はみな馴れぬ歳を生きているユリカモメ飛ぶまるき曇天(永田紅)
 s-ハス田20170311

 停まるたび不思議と思ふ鈍行の鄙びし駅にはたれかが待つと(岩田正)
 s-紫の花20170311
 ムラサキハナナ
 
 われ行けばわれに随(つ)き来る瀬の音の寂しき山をひとり越えゆく(太田水穂)
 s-芸術②20170311
 オニドコロの果実

 山中にバスを降りたる少年はいづこの家に歩みて帰るや(葛原繁)
 s-バン20170311

 歳月はさぶしき乳を頒(わか)てども復た春は来ぬ花をかかげて(岡井隆)
 s-菜の花②20170311 (1)

 さすらいのうかれ人となり果てて南のはての岬へ来たり(玉井清弘)
 s-芸術20170311

 幾山河越えさり行かば寂しさの終(は)てなむ国ぞ今日も旅ゆく(牧水)
 s-芸術③20170311

 やわらかに柳あおめる 北上の岸辺目に見ゆ 泣けとごとくに(啄木)

 短歌の主題となっている植物と写真の植物は関連していません。季節感が、私の中では一緒ということで、ご寛恕願います。
皆さま、お健やかにお過ごし願います。
 

草木萌動(そうもくめばえいずる)

文字色 「草木萌動」は「雨水」の末候(2/28~3/4)。
 
  夕日匂ふ梅咲く山の明るさに白き犬連れて少女おりくる(安田章生)
  s-ウメ満開20170304

 天上の一枝を折りて土に差す靄ふかきかなわれの國原(前登志夫)
 s-コケ20170225
 桜の木に付いたコケも芽吹いている。

 山川のとどろく早瀬越ゆる時足に迫りてしぶきはあがる(森本治吉)
 s-クルンクルン20170304

 しろがねの夢よ、乳房よ、白桃よ、わが渺茫の山河をゆくに(福島泰樹)
 s-花②20170304
 ヒメオドリコソウ(以下、青字はS先輩からのご教示です)

 山河あり青きくさありここよりぞ暗き人呼ぶ蛍を放つ(山中千恵子) 
 s-葉②20170304

 黄砂降る地震振る山河この朝は青嵐わたる光となりて(尾沢清量)
 s-紫の花20170304
 ムラサキハナナ 
 
 たたなはる春山の上に現れぬ雪にましろき大いなる富士(窪田空穂)
 s-群生20170225
 オオイヌノフグリ

 菜の花の黄に統べられし西都原人棲まざれば大地美し(帆足チヨ)
 s-花③20170304
 
 山國の山の深さは顕つ聲の吸はれてのちに手ごたへもなき(斎藤史) 
 s-葉20170304
 シラカシ

 山にして山が息を吐く林にて林が息すひとり聴くべし(松村英一)
 s-野草20170304
 スイバ

 みな小さきともしび持ちてけものらは尾根こえゆけり我もあと追ふ(高松秀明)
 s-新芽20170304

 蕾やや含(ふふ)みそめつつ日のさせば幹くれなゐにけぶらふさくら(高嶋健一) 
 s-さくらさくら20170304

 水流にさくら零(ふ)る日よ魚の見るさくらはいかに美しからん(小島ゆかり)
 s-サクラ20170304

  本日、ガンネ@白岡さんが群馬県玉原高原のブナ林で山スキーしたとのこと。気温が高くなったため雪質が悪く、「スッテンコロンの連続」だったそうな。
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 還太郎は2ケ月程、糖質ダイエットに取り組んでいる。ビールと日本酒は控え、乾杯はウイスキーのハイボール、その後は焼酎。それだけで、ベルトの穴で1~2個分お腹まわりが細くなった。1年後が楽しみ。
 皆さま、お元気にお過ごし願います。
プロフィール

kantarou+4

Author:kantarou+4
週末の近郊里山徘徊を楽しみつつ、足腰の衰えを防止しています。読書やドライブも好きです。

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