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齷齪(あくそく)

 齷齪(あくそく)。心にゆとりがなく、目先のことに追われてこせこせと気ぜわしく事をするさま。青空文庫では「あくそく」とルビがふってあるが「あくせく」とも。(今年のタイトルは漱石・『草枕』の難解熟語)

 今回の短歌は『昭和万葉集秀歌』の【二 相聞と挽歌】から。作者名の後の数字は作品の発表時期(22.12は昭和22年12月)。

 戦ひに命死ぬべしと別れたりき吹雪(ふぶ)きて青き夜の窓なりき(河村盛明 22.12)

 s-朝露20180624
 スギナ。

 今回の写真は6/24いわきにて。

 戦につづく幾とせのきびしきをけふのいのちありて君に会ひにけり(赤谷昭枝 25.1)

 s-朝の景色20180624

 絹マフラー色はなやかに笑み来るを枇杷の花匂ふ樹の陰にまつ(小山智士 23.2)

 s-茗荷と蕗20180624

 うるはしき水無月の野路いそぐとき待たるる人とわれを思ひぬ(佐藤春夫)

 s-朝の景色④20180624

 思ひ浮かぶかの日の別れ青芝に汝(な)れが影あはく長くうつりゐき(山本成雄 23.8)

 s-朝の景色③20180624

 逢ふ日あり逢はぬ日ありて青麦のさやさやとこころ君にかよへる(金井明 26.7)

 s-朝の景色②20180624
 ムラサキツユクサ。

 逢わむ日を心に待てば美しくなりたしと念(おも)うかなしきまでに(前田安津子 23.10)
  
 s-紫陽花20180624
 アメリカノリノキ「アナベル」
 
 訪ね行き君に見せむと結いにける我がくろかみに春の雪ちる(栗谷節子 22.5)

 s-桔梗20180624
 キキョウ。

 乾草のかぐはし中に身を投げて目閉(とぢ)る時にふれて来よ君(森下真理 23.8)

 s-薔薇20180624
 バラ。

 むらさきの日傘の色の匂ふゆゑ遠くより来る君のしるしも(川田順 27)
 *「匂ふゆゑ」は美しく映えるので。*「しるしも」は著しも。きわだっている・はっきりしている。

 s-花②20180624
 ペンスモンテン。

 わがこころの環(たまき)の如くめぐりては君をおもひし初めに帰る(川田順 27) 
 *「環の如く」はめぐりめぐってきわまるところのないことのたとえ。

 s-花20180624
 ヒメランタナ。

 春のめだか雛の足あと山椒の実それらのものの一つかわが子(中条ふみ 29) 

 s-ダリア20180624
 ダリア。

 剪毛(せんもう)されし羊らわれの淋しさの深みに一匹づつ降りてくる(中条ふみ子 27)

 s-ダリア②20180624

 思ふ人あらば君疾(と)く癒えなんと言ひし医師(くすし)をひそかに愛す(小島和子 30.12)

 s-ダリア③2010624

 明日の逢ひを約して丘を下る視野に海に続かむ川展(ひら)けたり(山本詞 31.5)

 s-シソ20180624
 シソ。

 やはらかく雑草の丈に閉ざされて座れば君に月さしにけり(馬場あき子 30.9)

 s-いただきもの20180624

 還太郎は6月末にいわき市へ転居する。上掲の写真は送別会で頂いたもの。花束のほかにもいろいろなお餞別品をいただいたが、最も多かったのはお酒。土浦に住んだこの1年間、毎日会社に行くのが楽しみだった。職場の仲間に感謝。
 ということで、7月からは、いわきにいる92歳の義母と90歳の実母に親孝行の真似事をしつつ、妻の指導を受けて野菜作りに励むことに。これからもブログは続けるので、絶滅危惧種的に少ない弊ブログの読者の皆さま、引き続きよろしく。

 皆さまのご健康を祈っております ! 実は今日も送別会なのであります・・・。

弊竇(へいとう)

弊竇(へいとう)、の「竇」は穴の意。弊害となる点。欠陥。「今代芸術の一大弊竇は・・・」。(今年のタイトルは漱石・『草枕』の難解熟語。)

 今日は薄曇りで午後時々晴れ。一昨日と昨日、そして今日も午前中は長袖のポロシャツを着用。半袖では寒い ! 9時過ぎからご近所のお庭の鑑賞しつつ散歩した。
 
 今回の短歌は講談社現代新書『昭和万葉集秀歌 〔二〕相聞と挽歌』(岡井隆 編・昭和59年12月20日刊)から。

 相逢はぬ日を重ねつつたな雲の夕づく頃はひとり嘆くも(中島勝)

  s-バラ20180617
 バラ。

 告げがたき思ひにふるふわれの手に大き蛍を娘(こ)は呉れにけり(岩田清)

 s-バラ②20180617
 バラ。

 葉をこぼす木の間あかるし先ゆきて言葉少なき人をさびしむ(鶴見英之)

 s-黄色の薔薇20180617
 ダリア。 

 逢へる夜の時じくの雪顔臥せて歩める汝(なれ)が額(ひたい)ぬれつつ(相沢正) *「時じく」は季節はずれの意。
 
 s-ピンクの花2180617
 アルストロメリア。

 後髪(おくれげ)に触(ふ)りつつわれのきよかりき雪ある舗道に小雨ふり出づ(松坂二郎)  
 
 s-ブルーベリー②20180617
 ブルーベリー。

 あわただしく過ぎゐる吾にかぎろひの夕べの逢ひはたまゆらなりし(五味保義) *「たまゆら」はわずかの時間の意。
 
 s-黄色の花20180617
 ヘメロカリス。

 手を垂れてキスを待ち居し表情の幼きを恋ひ別れ来りぬ(近藤芳美)

 s-黄色の花③20180617
 イヌガラシ。

 みつめゐる君が面(おも)わの眩しければサン・テクジュペリのことを話し出(いだ)しぬ(近藤とし子)

 s-合歓の花20180617
 ネム。

 我が若き思ひのすべて街を往く君を包みて夕霧となれ(加太こうじ)

 s-狛犬20180617

 うつつなくわれら相より月かげに遠潮鳴(とおしおな)りの音をききにき(坂東房子)

 s-紫の花20180617

 月読(つきよみ)の蒼き光もまもりませ加那(かな)(ゆ)き給ふ海原の果て(島尾ミホ)  *「月読」は月の神または月の意。「加那」はあなた、君の意。

 s-赤い花③20180617
 ダリア。

 わが想う人も恋ふらめ山の上(へ)の明けなむとする薔薇光(かげ)のそら(島尾ミホ)

 s-青い花④20180617
 ムラサキツユクサ。

 ふり向かず別れては来ぬ別れ来て冬木の道に涙こぼしき(潮霧子)

 s-赤い花②20180617
 アルストロメリア。

 リラの花卓のうへに匂ふさへ五月(さつき)はかなし汝(なれ)に会わずして(木俣修)

 s-青い花②20180617
 グラジオラス。

 汝が吐息頬近うまでおぼゆるを愛しきものと眼(まなこ)とぢをり(村尾公) 

 s-赤い花20180617
 ダリア。

 泥まみれの天使のようなお前、そっと抱けば空に立つ虹(前田透)

 s-青い花20180617
 キキョウ。

 くれなゐの苺の汁を吸ふごとき戯れをもて唇(くち)触り給ふな(杉浦翠子)

 s-新葉20180617
 シロダモ。

 あさあけに白き帆船を夢みたり醒めてこほしきわがこころづま(服部忠志)

 s-紫陽花③20180617
 アジサイ。

 見出(みいだし)たる嬉しさに叫ぶ妹の声か木魂となりて再びは聞こゆ(遠藤正人)

 s-紫陽花20180617
 アジサイ。

 お茶の水崖のつたの葉紅(あけ)にそみ妻となる娘(こ)を思ひつつ見る(木山捷平)

 s-紫の花⑥20180617
 トキワハゼ。

 まがなしき心きはまりたまさかに逢ひ得し君を泣かしめにけり(山口茂吉) *「まがなしき」はいとしいの意。

 s-蝶20180617
 アゲハチョウ。

 蒲の穂にさやに霜降り冷ゆる夜を君と相寝るさちを恃(たの)まむ(山口茂吉) 

 s-白い花20180617
 ダリア。

 人生のはじめてにしてきみと聴く谷川の音ほかはなかりき(岡山たづ子)

 s-白い花②20180617
 インドハマユウ(クリナム)。
 
 添ひて座る吾妹(わぎも)はいまだいとけなし南京玉を指にはめたり(白駒一義) *「南京玉」は小さな穴のあいた陶製やガラス製の玉。
 
 s-白い花③20180617
 ニンジンかな?
 
 
 ふくろふは雪降る夜半も鳴くと云ふ覚めて歎きて君はききけむ(森本康子) 

 s-白い花④20180617
 ハコベ。

 おもひいでてたへがたくをりうつむける君が睫(まつげ)のながかりしかも(久保田安治)
 
 s-捩花20180617
 ネジバナ。

 今日は1万歩ほど歩いたのだが、町内の環境整備の日になっているようで、多くのお宅が生垣の剪定作業をやっておられた。
 皆さま、天候不順というか梅雨です。ご自愛願います。


 

幽闃(ゆうげき)のあなた、遼遠(りょうえん)のかしこへ

「幽闃(ゆうげき)」は寂しく静かなこと。「あなた」は自分や相手から遠いところ。遼遠(りょうえん)ははるかに遠いこと。「かなた」も遠くはなれた方。(今年のタイトルは漱石・『草枕』の難解熟語。)

 前回までテキストにしていた『わが愛する歌人」(第一集~第四集・有斐閣新書)は終了。今回のテキストは『角川現代短歌集成 3 自然詠』。

 じゅっぽんのゆびを広げて指の間に五月の風を入れております (上野春子『虹の食べ方』)

 s-ピンクの花②20180531
 ヒルザキツキミソウ。

 時間ひらたく大皿の縁にもりあがり今しあふれん五月の朝 (糸川雅子『組曲』)

 s-ピンクの花20180531
 ヒルザキツキミソウ。

 わが息子のにきびのやうな力にて五月の山は動きゐるなり (藤岡成子『真如の月』)

 s-朝日が当たる20180531
 コニファー。
 
 鯉のぼりほうとふくらみくたと降るこの緩慢なる力見よとぞ(川野里子『五月の王』)
 s-新芽20180531
 コニファー。

 ふろばより走り出て来し二童子の二つちんぽこ端午の節句 (佐佐木幸綱『金色の獅子』)

 s-朝顔20180531
 コヒルガオかな?

 うす赤き茎匂ひたち菖蒲湯にをのこ子ひとり浄められゆく (小宮山久子『夕稜』)

 s-紫の花20180601
 キキョウソウ。

 鯉幟蛍光塗料あざけらく或る夜垂直の死後硬直(リゴル・モルチス) (山城一成『葉隠様式』)
 
 s-黄色の花②20180531
 カタバミ。 

 五月六日立夏のゆうべ緑なる草蜉蝣(かげろう)は机に来をり (宮柊二『獨石馬』)

 s-紫の花②20180531
 マツバウンラン。

 母の日にプレゼントされし傘翳(かざ)せば雨音は娘のささやきに似る (村田不二江『二人しづか』)

 s-黄色の花20180531
 タンポポ。

 傘雨忌の青葉のあめは眼鏡屋のめがねを濡らすことなく過ぎぬ (小島ゆかり『獅子座流星群』)
 *「傘雨忌」は作家・劇作家・俳人の久保田万太郎の忌日。5月6日。「万太郎忌」とも。

 s-防火用水池
 工場の防火用水池。朝と昼、鯉に餌を与えるのが楽しみ。まず池の縁のコンクリートを叩くと十数匹の鯉が私の方へ寄ってくる。餌を投げ入れるとピラニアが獲物に襲い掛かるような勢いで競い合って食べる。

 寂しさを身の重りとなし衣替へぬ水無月あらあらと山きほひ立つ (佐藤美知子『白珠』)

 s-なにこれ2010531

 六月のもの思(も)うも憂き雨の日は胸のあたりに古墳が眠る (渡辺松男『寒気氾濫』)

 s-はな20180531

 ピンはずしとびたたむとする青き蝶みなづき若葉の光の大地 (木造美智子『遠き舟唄』)

 s-ツツジ20180531
 サツキ(大盃)

 水無月という六月の空晴れてランプは納屋に麦は畑に (岡部桂一郎『一点鐘』) 

 s-ツツジ②20180531
 サツキ(大盃)

 みづがねのひかりの潮にみなぎらひ爆撃機(ステレス)見えざる空の水無月 (島田修三『東洋の秋』)
*「みづがね」は水銀のこと。
 
 s-シロツメクサ20180531
 シロツメグサ。

 (よし)と言ひ葦(あし)と呼ばれて湖岸の水無月直ぐ雨期に入りゆく (安永路子『褐色界』)

 s-キク20180531
 タイカンマツバギク。
 
 今回の写真は全て還太郎が勤務する工場で撮った(5/31、6/1)。植木もたくさんあるが、数万平米の敷地なので除草が行き届かないのが幸いし、あちこちに野草が折々の花を咲かせる。
 天気予報では来週梅雨入りかと。皆さま、ご自愛専一に。
プロフィール

kantarou + 6

Author:kantarou + 6
畑や庭での作業を楽しんで、晩酌・早寝・早起きの毎日です。読書やドライブも好きです。

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