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尺素(せきそ)

「尺素」=(一尺の絹布の意で、文字を書くことに用いたことから)短い手紙。今年のタイトルは漱石『草枕』の難解熟語。

 今回も『昭和万葉集秀歌 【三】 四季・自然』(講談社現代新書・上田三四二編、昭和60年1月刊)から。作者名の後の数字は昭和何年の、或いは何年何月の発表かを示す。

 あきあじが川上にたどり着く頃か朝々の水つめたくなりぬ (加藤良秋・28.2)
 
 s-朝露20180928
 9/28、春日部にて早朝の散歩。夜来の雨が上がり、植物にはたっぷりの水気が。

 秋の気の裂けて鋭声(とごえ)に百舌鳥(もず)なけばももくさの実もしまるとききぬ (太田水穂・8)

 s-朝露②20180928

 秋の夜の井戸に音あり深奥のはるけき銀河汲まれいるなり (馬場あき子・47)

 s-朝露③20180928
 シロザ(S先輩からご教示有り。以下、青字は同様。)

 あらあらしき野分吹きつつ庭畑にこぞりたちたる葱苗(ねぎなえ)ひかる (板宮清治・49.11)

 s-朝露④20180928

 (いにしへ)もかくありつらむ熊野路の磯の岩間にこぼるる椎の実 (大井俊次・50)

 s-朝露⑥20180928
 オオニシキソウ。

 海の湧く音よもすがら草木と異なるものは静かに睡(ねむ) (佐藤佐太郎・45)

 s-朝露⑦20180928
 たぶんツクシハギ。

 おもほへば海の心のやはらかき方(かた)に伸びて来て岬濡れをり (安永蕗子・37)

 s-朝露⑧20180928
 イヌガラシ。

 カナカナは鳴かずなりにし昨日より野に立つ風の澄みて秋づく (八杉龍一)

 s-昭和記念公園20180928

 9/28午後、昭和記念公園(東京都立川市・昭島市)へ。東京ドームの約40倍の敷地。広々としていて気持ちいい。

 かへり行く先も檻にて芸終へし猛獣どもはゆるく歩めり (岸本千代・43)

 s-昭和記念公園④20180928

 寒蝉(かんぜん)の声ゆるやかに外(そ)れゆきてひつそりと秋は老楠(おいくす)にくる (野上久人・48)

 s-昭和記念公園③20180928

 車道より高処(たかど)に見えて迫田(さこだ)あり空につづきて稲の輝く (広森清・48.9)

 s-昭和記念公園②20180928
 「みんなの原っぱ」。高さ20m超の大ケヤキは同公園のシンボルツリーとか。

 
 秋雷の絶えたるのちの冷々と卓に黒耀の粒なす葡萄 (馬場あき子・47)

 s-ソバ20180928
 ソバ。

 台風にのりて琉球の蝶こしと小さき記事あり秋となる空 (富山繁子・50)

 s-ススキ20180928

 ちる花はかずかぎりなしことごとく光をひきて谷にゆくかも (上田三四二・50)

 s-キンモクセイの大樹20180928
 キンモクセイの大樹。満開の花。

 ひぐらしの一つが啼けば二つ啼き山みな声となりて明けゆく (四賀光子・29)

 s-キバナコスモス20180928
 キバナコスモス。

 拾ひきて夜の灯に愛(お)しむ秋蝉のあかがねいろのぬけがらひとつ (杜沢光一郎・51)

 s-昭和記念公園⑤20180928
 日本庭園にて。

 9/26から3泊4日で春日部の自宅へ。26日は都内で劇団四季の「キャッツ」を観た。妻は大喜び。
 27日は妻の掃除の邪魔にならぬよう、宮本輝の『田園発港行き自転車』上下巻を読む。やっぱり宮本輝はいい。近所のTSUTAYAで『錦秋』、『星宿海への道』も購入。
 29日は春日部~坂東~つくば~土浦~行方~大洗~日立経由でいわきへ戻った。全て一般道。あいにくの雨ではあったが、サツマイモ・キャベツ・白菜等々の畑を眺めるのが目的。17時半頃から、海上を走る6号国道日立バイパスを北上。町の灯りがきれいだった。
 
 台風24号はかなり強烈とのこと。皆さま、どうぞご安全に ‼

蜀犬日に吠ゆ(しょくけんひにほゆ)

「蜀犬日に吠ゆ」 = (蜀は山地で雨の降ることが多く、太陽の出ている時間が少ないので、日が出ると犬が怪しんで吠えるということわざから) 無知のために、あたり前のことに疑いを抱くことのたとえ。見識の狭い人が賢人のすぐれた言行を疑い、非難するたとえ。 (今年のタイトルは漱石『草枕』の難解熟語。)

 今回の短歌も『昭和万葉集秀歌 【三】 四季・自然』(講談社現代新書・上田三四二編、昭和60年1月刊)から。作者名の後の数字は昭和何年の、或いは何年何月の発表かを示す。

 うちひびきひたと地を打つ秋雨の俄(にわか)に降りて心すがしき (尾山篤三郎・7.10)

 s-ハギ②20180913
 以下3葉は9/13、庭先にて。ミヤギノハギ(S先輩からご教示有り。以下、青字で記載)。

 雲ひらひら月の光りをさへぎるはしら鷺よりもさやけかりける (太田水穂・8)

 s-ハギ20180913
 シラハギ。

 くらがりに潮の香はこぶ風ありて風の彼方の遠き潮騒(森岡正・30)

 s-ダリア20180913
 咲き残りのダイア。

 くれなゐのトマトを愛(いと)しむ夕の卓いのち鮮やかに生きてゆきたし (横山日出時・23.11)

 s-黄色の花③20180923
 以下の写真は9/23、田人路で。キンミズヒキ。

 黒川の川原の石に尾を見せて鳴く鶺鴒は嬬(つま)を呼ぶらしも (広瀬民子・7.8)

 s-白い花20180923
 ヒメジョオン。

こほろぎも終りにちかき秋ぐさの濃きむらさきの花揺(ゆれ)やまず (結城信一・51)
 
 s-赤い実20180923
 トチバニンジンの果実。

 此処にのみ秋の光のまぶしきやけざやかに咲く曼殊沙華の群 (鳥居文子・26.1)

 s-小さな白い花20180923
  直径3mmほどの花。シソではないよね? ゆっくり歩かないと目に留まらない。 ヒメジソ。

 椎の葉にながき一連の風ふきてきこゆる時に心は憩ふ(佐藤佐太郎・27)

 s-黄色の花②20180923
 キツネノボタン。

 しやがの葉に月の照れるは寂かにて庭は今年の冬に入り行く (長門莫・46)

 s-ミズヒキソウ20180923
 ミズヒキ。

 秋分の日の電車にて床にさす光もともに運ばれ行く(佐藤佐太郎・27)

  s-黄色の花⑤220180923
 キツリフネを逆さまにしたような花。花顎は食虫植物のよう。路肩に群生していた。 キバナアキギリ。

 杉谷に迫りて咲ける蓼(たで)の花はつかににほふそのくれなゐよ (田中璃津子・19.1)

 s-ピンクの花20180923
 アキノウナギツカミかな?

 立山が後立山(うしろたてやま)に影うつす夕日の時の大きしづかさ (川田順・15)

 s-なにかな20180923
 チヂミザサ。

 月あかり水脈(みお)引く雲の波だちて夜空はすずし水のごと見ゆ(北原白秋・9)

 s-トンボ20180923
 アキアカネ。

 ふり仰ぐ槍のいただきは遥かなる空の深みに澄み入りて見ゆ (大悟法利苳雄・16)

 s-オカトラノオかな20180923
 オカトラノオ? イヌショウマ。

 ふるさとの野べの光や秋くさの実のはじけとぶ音は澄みつつ (阿部知二)

 s-ウドかな20180923
 セリかドリゼリ? ちょっと花期が違うのだけど・・・。 シラネセンキュウ。

 みづからを恃(たの)み生きよと蟋蟀のをさなきこゑのきこゆ寝覚に(田谷鋭・33.11)

 s-紅葉の始まり20180923
 紅葉の始まり。

 涼しくなりました。風邪などにご注意願います。皆さま、お元気で❣ 

隨縁放曠(ずいえんほうこう)


「隨縁放曠」は何事も縁にまかせて自由に振舞い、物事にこだわらないこと。(今年のタイトルは漱石『草枕』の難解熟語)

 今回の短歌も『昭和万葉集秀歌 【三】 四季・自然』(講談社現代新書・上田三四二 編、昭和60年1月刊)から。作者名の後の数字は昭和何年の、或いは何年何月の発表かを示す。
 
 悲しみを窺(うかが)ふごとも青銅色(せいどう)のかなぶん一つ夜半に来てをり (宮柊二・23)
 
 s-1オクラ20180907
 オクラ。野菜の花の中で一番きれいだと思う。

 神のおそれひたにおもひつ葉ごもりにせみしぐれせる日ざかりをゆく (三島由紀夫・17.12)

 s-2ニラの花20180907
 ニラとセセリチョウ。 (S先輩からご教示あり、以下の青字も同様。)

 忘れゐしものの心地に佇ちて聴く夕日の丘のかなかなの声 (太田青丘・25)

 s-3キアゲハ20180907
 モミジアオイとキアゲハ。

 日照雨しばしば草に降りしかば今日の日暮のかなかなきこゆ (植木正三・31)

 s-4タイカンマツバギク20180907
 タイカンマツバギク(耐寒松葉菊)。

 那須野路は秋近みかも煙草の葉摘まれて畑のあらはになりぬ (蓮実彊・24.10)
 
 s-5フランスギク20180907
 フランスギクかな?

 月冴ゆるこよひは雲のゆきかひのはや秋づくと夫(つま)がいふかも (北見志保子・25)

 s-6酔芙蓉①201809071116
 スイフヨウ(酔芙蓉)、11時13分。夕方に赤みを帯びてくるから「醉い」芙蓉。還太郎と同種。

 川に沿ひ山へちらばる町の灯をぬらし滲(にじ)ましふる小夜(さよ)しぐれ (川合玉堂・21.1)
 *「小夜しぐれ」=夜に降る時雨。

 s-7酔芙蓉②201809071238
 スイフヨウ、12時36分。

 あらざらむのちを思ふといふならね落葉の上に落葉つもりぬ (大井広・27) 
 *「あらざらむのち」=死後。

 s-8酔芙蓉201809071519
 スイフヨウ、15時19分。
 
炉の端(はた)にこほろぎ一つわが家にすぎたるものの如く鳴き澄む (木島冷明・38)

 s-9ダリア20180907
 ダリア。 ヒャクニチソウ。

 二見の浦朝靄(あさもや)遠く晴れそめて神代のままの天つ日のぼる (井上哲次郎・18.12)
 
 s-10咲き残りのダリアの花に20180907
 キアゲハ。

 あかつきのまだ暗きなかを目覚めゐぬこの世の鳥は地(つち)の底に啼く (前川佐美雄・22)

 s-11咲き残りのダリアの花に②20180907
 セセリチョウ。

 沿いてゆくゆふあかり田にそそぎ入る水はしづかに萍(うきくさ)ながす (山本友一・28)

 s-12ケイトウ20180907
 ケイトウ。

 たましひをふかく吸ひ込む夕暮やはなだの色ぞたゆたひにける (尾山篤二郎・36)
 *「はなだの色」=うすい藍色。
 
 s-13黄色の花20180907
 カタバミ(アカカタバミとも)。

 椎の葉にながき一連の風ふきてきこゆる時に心は憩ふ (佐藤佐太郎・27)
 
 s-14黄色の花②20180907
 カタバミ。

 わが踏める地平の果てに沈む日を信濃より来てなつかしみ見る (窪田空穂・26)

 s-15ツユクサ20180907
 ツユクサ。

 うつしみに何の矜持(きょうぢ)ぞあかあかと蠍座は西に尾をしづめゆく (山中智恵子・32)
 *「矜持」=誇り。

 9月8日の午後から土浦・上野へ2泊3日の小旅行。友人たちと夜の飲み会2回、昼食会1回。10日昼にいわきへ戻った。以下の写真は土浦市で撮ったもの。

 s-レンコン田20180909
 収獲が始まったレンコン田。軽トラが何台も見える。霞ヶ浦の向こうは土浦市街。

 なく鳥は御堂へだてしおく山の杉の木間(このま)にあつまるらしも (岡麓・32)
 
 s-紫の花20180908
 ツルマメかな?

 槌音にはたとやみたる蟋蟀(こほろぎ)のまた鳴きつぐを待てばひそけし (塚原嘉重・32)
 
 s-ミゾハギ20180908
 ミソハギ。

 秋刀魚の詩(うた)子にきかせつつわが家の青き蜜柑の酸(す)をしたたらす (番場美津子・32.10)
 *「秋刀魚の詩」=佐藤春夫の「秋刀魚の歌」。

 s-ヌマトラノオ20180909
 ヌマトラノオ。

 いま読んでいる本はドナルド・キーン著・金関寿夫訳『百代の過客』上巻(朝日選書・1984年7月刊)。実は1988年刊の『続・百代の過客』上下2冊を同年に買って読んでいる。読み終えて「続・・・」であることに気づいたが、それから30年、「続・・・」でない方も読みたいと時々は思い出したりしていたが、先週Amazonで購入。
 『百代の過客』では僧円仁の『入唐求法巡礼行記』から川路聖謨の『長崎日記』について、『続・百代の過客』では村垣淡路守範正の『遣米使日記』から永井荷風の『新帰朝者日記』について評論。

 皆さま、御機嫌よう❢

プロフィール

kantarou + 6

Author:kantarou + 6
畑や庭での作業を楽しんで、晩酌・早寝・早起きの毎日です。読書やドライブも好きです。

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