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的皪(てきれき)

「的皪」はあざやかに白く輝くさま。今年のタイトルは漱石『草枕』の難解熟語。漱石は『草枕』では「的皪と光るのは白桃らしい」、『野分』では「明星と見まがう程の留針が的皪と輝いて」、『虞美人草』では「的皪と近江の湖が光った」と使っている。

 今回も短歌は『昭和万葉集秀歌 【三】 四季・自然』(講談社現代新書・上田三四二編、昭和60年1月刊)から。作者名の後の数字は昭和何年の、或いは何年何月の発表かを示す。

 薄雪の降りし街路にアセチレンなげきのごとく点し蟹売る(阪田博義・34.1)

 s-縁側20181115
 11/5、実家の縁側の下を掃除。縁側の下には猫の侵入防止のために網が張られていたのだが、経年劣化であちこちが破れていた。網を撤去し、落葉などを掻き出す。家の西側に8畳間ほどの大きさの池があるせいか、掻き出した土が湿っているので、吸湿のためにゼオライトを敷設。

 霜ばしらくづれて出でし水光り青き万年青(おもと)の根に流れゆく (谷鼎・10.1)

 s-縁側の下補修20181115
 網を張ってもいずれは破れてしまうので、柵を製作。防腐剤を塗布した柵はフックに架けられているだけなので、掃除のときには簡単に取り外せる。ほぼ一日掛かりの仕事となり、完成は16時過ぎになってしまった。馴れていない木工作業にしてはまずまずのできと自画自賛。(柵が撓んでいるのは、ホームセンターで買ってきた板が撓んでいたから。買うときにもっと注意しないとダメだね。)

 澄みとほる朝の日射(ひざし)に冬畑の氷柱かがやき葱の秀(ほ)は燃ゆ (岩間正男・22.3)
 
 s-八つ手20181119
 11/19、夜来の雨も上がり、好天に。以下11葉は庭先にて。ヤツデ。
 
 花蘭(た)けし椿の蔭に孔雀をりいま擾乱(ぜうらん)のうつつに遠き (大野誠夫・46)

 s-水滴20181119
 
 火の国に椿咲きたり乙女らは枝ひきたわめ花の蜜吸ふ (内藤隆義)

 s-ユズ20181119
 今年は不作だったユズ。

 ひろげたる翼しづかにをさめたりさびしき鶴のただ立ちてゐる (川田順・10)
 
 s-ヒイラギナンテン20181119
 ヒイラギナンテン。

 冬雲のなかより白く差しながら直線光(すぐなるひかり)ところをかへぬ (斎藤茂吉・17)

 s-ヒイラギ20181119
 ヒイラギ。

 山の上のこの平けき湖(うみ)の面(も)に照り耀(かが)よひて風の道見ゆ(寺師治人・48)
 
 s-バラ②20181119
 バラ。

 山の間に野火の煙はほぐれつつ藍に濁りて冬山昏(く)るる (田中順二・52)
 
 s-バラ20181119
 バラ。
 
 山ふかき国に生(あ)れたる幸(さきはひ)を雪にこもりて思ふことあり (松井芒人・34)

 s-キク④20181119

 雪ののちもまだ保ちゐて朝あさに落葉する木の赤ならを愛す (上村孫作・46)

 s-キク②20181119

 雪の日のけふのしづまり椿には咲きたる紅(あか)と咲く蕾みゆ(岡部文夫・50)

 s-キク③20181119

 みんなみに鷹わたる日なり佐多岬(さたのみさき) 空の高さよ 海の青さよ (海音寺潮五郎)

 s-キク20181119
 
 むかつ尾の檜山(ひやま)杉山横ざまにしげくも雪の降りはじめたる (川合玉堂・23)

 s-JA祭20181123
 11/23、JA祭の野菜即売会に参加。サツマイモ3種、ネギ、ダイコン、ジャガイモ、シュンギクなど。NHKの朝イチ等でサツマイモが
準完全食であること、お通じの改善効果があることが取り上げられているからか、販売は割と好調で昼前に在庫補充をしたほど。試食品を持参したことも幸いした。会社関係の来場者も何人かいて、「よく似ているなとは思ったが、まさか還太郎さん本人だとは・・・」と驚かれる。(昨夜21時ごろ寝たので、2時半起床。仕方なく、ブログの製作を開始・・・。)

 風が冷たくなりました。皆さま、ご自愛下さいますよう願います。

煦々(くく)たる

 「煦々たる」は、①暖かいさま、②恵みをかけるさま。「煦々たる春日に背中をあぶって」と漱石は書いている。今年のタイトルは漱石『草枕』の難解熟語。

 今回も短歌は『昭和万葉集秀歌 【三】 四季・自然』(講談社現代新書・上田三四二編、昭和60年1月刊)から。作者名の後の数字は昭和何年の、或いは何年何月の発表かを示す。

 やうやくに海面(うなも)に湧きし鰤(ぶり)の群しぶけば網子(あみこ)ら昂(たか)ぶり競ふ (宇田道隆)

 s-菊花20181107
 これ以降10葉は庭先に咲き誇る菊・その他。菊は繁殖力旺盛で、根元から切っても来春には復活する。ほどほどなら根元から切ったりはしないのだけれど、畑にも侵入してくるので厄介。
 
 山すそにわきつぐいづみ村びとは石をたたみて清くたもてり (大野武・50)

 s-菊花20181101

 山にのぼり切なく思へばはるかにぞ遍照の湖青く死にて見ゆ (前川佐美雄・15)
 *「遍照」=広く照らしわたること。

 s-菊花②20181107

 薪塚に凝れる霜をま上より照らしてゐたる月は小さし (佐藤正憲・37.5)

 s-菊花③20181107
 
 ひっそりと白きとむらひ行きにける枯野に淡く雪降りそめつ (永井隆・36)

 s-菊花④20181107

 何にすぐ揺るるみづひきくれなゐの花ひとつづつ秋の風吹く (福田栄一46・)

 s-菊花⑤20181107

 
 何ものの瞬きならん透明の彼方はららかに降りつぐ黄の葉 (高安国世・43.1)

 s-菊花⑥20181107

 つぎつぎと飛びたつ鴨の冬鴨のみなかげ寒し首のべてとぶ (野村清・36)

 s-菊花⑦20181107
 庭のあちこちにこんな光景がある。左奥の赤いのはケイトウ。これまた繁殖力大。一番奥に見えるヒバ、ツゲ、アオキの剪定は植木屋還太郎。
 
 葛城(かつらぎ)のみねに残れる夕明かり木山草山色をわかてり (岩沙政一・47)

 s-ツワブキ20181103
 ツワブキ。

 薄雪の降りし街路にアセチレンなげきのごとく点し蟹売る(阪田博義・34.1)

  s-ツバキかな20181107
 サザンカ。

 つみあげし漬菜の上に降る雨のたそがれ行けばみぞれとなりぬ (和辻照・24)

 s-紅葉20181109
 以下は11/9の田人路。一日雨で野良仕事はお休み。雨降りではあるが、紅葉の具合を見に出かけた。明日晴れたなら、また来ようと思ったほど紅葉の真盛り。雨中の撮影なので画像補正を種々加えた。

 せきばく と ひ は せうだい の こんだう の のき の くま より くれ わたり ゆく (会津八一・15)
 *寂寞と日は招提の金堂の軒の隈より暮れわたりゆく(還太郎の推定漢字訳。招提=唐招提寺)

 s-紅葉②20181109

 草生なく荒々つづく砂礫帯遊べるに似て霧の這ひ来る (礒幾造・50.11)

 s-紅葉③20181109

 小鳥らがつるうめもどきついばみて散り敷く殻にあさあさの霜 (鈴木孝一・49.5)

 s-紅葉④20181109
 
 湿原に点なす二つと見し白の動きはじめぬあはれ二羽鶴 (田中優紀子・46.9)

 s-紅葉⑤20181109

 しぶきふる雨に樹海の中くらし咲ける椿も散れる椿も (佐藤志満・53)

 s-紅葉⑥20181109

 
 草の実のこぼれつくして冬枯れの石につめたく霜おりにけり (大井広・7)

 s-紅葉⑦20181109

 下りてゆく杉の木の間の朝鳥の声の中なる一つ斑鳩(いかるが) (宮本清胤・48.6)

 s-紅葉⑧20181109

 今日読み始めたのは森下典子著『日日是好日』(新潮文庫・平成20年11月1日発行。同30年10月20日29刷)。主人公は大学生時代から25年間茶道を習い続けている。例えば、春の移り変わりを次のように書いている。
 『春は、最初にぼけが咲き、梅、桃、そから桜が咲いた。葉桜になったころ、藤の房が香り、満開のつづじが終わると、空気がむっとし始め、梅雨のはしりの雨が降る。梅の実がふくらんで、水辺で菖蒲が咲き、紫陽花が咲いて、くちなしが甘く匂う。紫陽花が終わると、梅雨も上がって、「さくらんぼ」や「桃の実」が出回る。季節は折り重なるようにやってきて、空白というものがなかった。』
 
 雨の音については、次の通り。
 『十一月の雨は、しおしおと淋し気に土にしみ込んでいく。同じ雨なのに、(六月の雨とちがうのは)なぜだろう。あ ! 葉っぱが枯れてしまったからなんだ・・・。六月の雨音は、若い葉が雨をはね返す音なんだ ! 雨の音って、葉っぱの若さの音なんだ。』

 皆さま、11月も半ばに差し掛かってきます。ご自愛願います。 
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kantarou + 6

Author:kantarou + 6
畑や庭での作業を楽しんで、晩酌・早寝・早起きの毎日です。読書やドライブも好きです。

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