FC2ブログ

若の浦に 潮満ちくれば 潟を無み 葦辺をさして 鶴鳴き渡る

 今年のタイトルは『万葉集』から。

 若の浦に 潮満ちくれば 潟を無(な) 葦辺(あしべ)をさして (たづ)鳴き渡る。山部赤人。

 「若の浦に潮が満ちてくると干潟が無くなり、葦の生えている岸辺に向かって、鶴が鳴きながら飛んでいく」の意かな。潮が満ちて来て干潟が隠されるという悠久の自然を示す表現。満ち潮の動きに伴って、鳴きながら鶴が岸辺へ移動するという冬ならではの一コマ。

 今回も短歌は『昭和万葉集秀歌 【三】 四季・自然』(講談社現代新書・上田三四二編、昭和60年1月刊)から。作者名の後の数字は昭和何年の、或いは昭和何年何月の発表かを示す。

 嶺を覆う杉生(すぎふ)にまなこ凝らす時げにかすかなる秀(ほ)のゆらぎみつ (三好直太・48.10)
 
 s-阿武隈山系20190113
 阿武隈山系。中央奥の三角形の山は朝日山(標高797.3m)かな。冬の晴れた日には富士山が見えるらしい。その左手前は仏具山(607.5m)かな。山頂に通信用設備がかすかに見える。

 夜ふけし寒さに木の裂くる杉の木のするどき音は峡(かひ)にひびくも (大滝進保・49.3)

 s-勿来関20190114
 以下7葉は@勿来の関。

 蒼蒼(あおあお)と山たたなはる月の夜を雪かがやかす天(そら)の蔵王は (野地曠二・17.1)

 s-勿来関②20190114

 天つ日ははろかにさせり雪原のむかうに青き甲斐の山見ゆ (胡桃沢勘内・23)

 s-勿来関③20190114

 沫雪(あわゆき)のほのぼの白き晨(あさ)あけに巣にすむ鳥はささやき交わす (木山みさを・51)

 s-勿来関④20190114

 うち晴るる雪の野に舞ふ白鷺の羽のひかりは天(あめ)にまぎれぬ (木俣修・17)

 s-勿来関⑤20190114

 流れくる吹雪に真向(まむ)くしまらくは鶏(かけろ)もまなこ閉ぢて佇(た)ちゐつ (木俣修・17)
 
 s-勿来関⑥20190114

 波うてるかたちとどめて夜の吹雪荒れしづまりしこの明るさや (梶井重雄・49)

 s-勿来関⑦20190114

 冬の日といへども一日(ひとひ)は長からん刈田に降りていこふ鴉ら (佐藤佐太郎・41)

 s-野菜20190117
 いまはブロッコリー、カリフラワー、春菊、葉タマネギを出荷。ブロッコリーとカリフラワーは「根切り虫」の被害甚大で収穫できたのは2割程度かな。野菜は全て無農薬栽培につき、次のシーズンに備えて農薬を使わない根切り虫対策を勉強中。

 北方をとざせる煤のごときもの冬ながくして雲も古りたり (草野久佐男・36)
 
 s-広幅の溝20190118
 これは冬場の土壌作りのひとつ。幅90cm、深さ50cmの広幅の溝をスコップ一丁で掘る。15m×3本を予定。この溝の中に十分乾燥させたやや太い枝、中くらいの太さの枝、細い枝を下から順に積み上げて埋設する。理想的には深さ80cmと某農業誌に書いてあったが、バックホーでも買わないと無理なので50cmで妥協。因みに中古の小型バックホーでも100万円以上する由。
 既に一列は作業を終えたが、0.9m×0.5m×15m = 6.75立米の土を掘出し、埋め戻したことになる。これを比重1.5で換算すると約10 t 。3列で計30 t 。掘出しと埋め戻しで合計60 t か Σ(・□・;)・・・。1週間で終わらせると妻には話したのだが・・・。でも筋肉痛にもなってないし、いけるかな?

 1/14、茨城県天心記念五浦美術館にて『小林恒岳展』をみた。フラッシュを焚かなければ写真撮影OK。むしろ「SNS等で積極的に発信してください」とのこと。
 「小林恒岳(1932~2017)は茨城県を代表する日本画家。長く石岡市や吾国山中腹で暮らした。作品は、小林が自然から感じ取った生命のかがやきとぬくもりを、写実と装飾性を融合させた平明で親しみやすい表現に昇華させ、誰もが共感できる生命賛歌として描き上げたもの。」(美術館のホームページから抜粋) 展示は2/11まで

 s-小林恒岳①
 「蓮池・雲流れる」。

 s-小林恒岳②
 「春の鯉」。

 s-小林恒岳③

 s-小林恒岳④
 筑波山。

 陽射しがあって風が弱い日は、車に乗っているときなどは暖房を止めてしまうほど暖かいのだが、陽射しがなくて風が強いと「東北の湘南」と言われるいわきも当然寒い。この不安定な気候のせいで風邪などひかぬよう、手洗いとウガイ励行の日々。

 皆さまも、どうぞお気をつけてお過ごしください。

新しき 年の初めに 思ふどち い群れて居(お)れば 嬉しくもあるか

 今年のタイトルは『万葉集』から。この歌の意は「新しい年の初めに、気の合った仲間と集まっていられるのは、楽しいものですね。」道祖王(ふなどのおう)作。

 一昨日に続き今日(1/11)も北風が強い。野良仕事は無理そうなので、ブログ用の写真撮りに行こうとしたが、なにせ冬枯れ。絵になる材料がない。はたと思い付いたのが、『いわき市フラワーセンター』。大きな温室がある。

 今回も短歌は『昭和万葉集秀歌 【三】 四季・自然』(講談社現代新書・上田三四二編、昭和60年1月刊)から。作者名の後の数字は昭和何年の、或いは昭和何年何月の発表かを示す。

 岩づたふ鶺鴒の影見れば冬の明りぞ澄みとほりたる (北原白秋・18) 

 s-石森山20190111
 ショウジョウアナナス。 (青字の植物名はS先輩から御教示いただいた)

 風に乗りてくる鉦の音寒修行のひとゆく夜(よは)にやすらぎは充つ (木俣修・33)

 s-石森山②20190111
 アブチロン。

 元朝の牛にいささか餅をやり家族としてのねぎらひをする (大木与一・43.3)

 s-石森山③ヤエサンユウカ20190111
 ヤエサンユウカ。 ブーゲンビリア。

 寒の水あかとき飲みてねむりけり涌井の椿咲くと思ひて (前登志夫・47)
 
 s-石森山④20190111
 カトレア。

 岸よりに鴨はねむれり濠の面(も)はこの降る夜の雪に明るく (木俣修・30)
 
 s-石森山⑤20190111
 ゴクラクチョウカ。

 伐られたる昨日の株に夜の雪はいたはりを積み盛りあがりたる (上田三四二・50)

 s-石森山⑥ネリネ20190111
 ネリネ。

 しづれ落つる雪に揺れゐる郁子(むべ)の実の一つ残りて年を越したり (西村俊一・45) 

 s-石森山⑥の②20190111

 その下に冽(きよ)き地下水はしれりとおもふまで麦の芽がそよぎおり (畑和子・47)

 s-石森山⑥の③20190111
 ビカクシダ。

  丹沢山の出湯の村は十頭の猪(しし)を吊して年迎へたり (鈴木貫介・43)

 s-石森山⑦20190111

 (とほ)つびと、我に告げ来ることのはも みじかかりけり。年のはじめに (釈迢空・23)

 s-石森山⑧20190111

 那智村の山家(やまが)をつつみ降る雪のあたたかにして梅ほころびぬ (中村雅夫)
 
 s-石森山⑨紅梅20190111
 紅梅。

 (にい)どしの標縄(しめ)のかざりのすがしさよものの初めはおごりなくして (今井邦子・13)

 s-石森山⑩20190111

 はつ春の真すみの空に真白なる曙の富士仰ぎけるかも (佐佐木信綱・26)

 s-石森山⑪ヒイラギナンテン20190111
 ヒイラギナンテン。

 (ひ)のやまの檜(ひのき)の雪をふるふおと暁はやくひびきて聞こゆ (伊藤保・31.4)

 s-石森山⑫蝋梅20190111
 ロウバイ。

 貧窮の年は暮れんと厨には吊せし鮭の歯あらわなり (岡部桂一郎・32.2)

 s-石森山⑬20190111
 バラ。
 
 冬ながらこの日だまりに家あれば我が老いにしを憂しとは言はず (内藤濯・53)

 還太郎は66歳になった。ゾロ目の歳を、喜寿(77歳)や米寿(88歳)、白寿(99歳)のように66歳を示す言葉は無いようである。70歳が古希(古来稀なり)なのだから、60代は名付けるまでもないということか。因みに、半寿、卒寿、紀寿、茶寿、皇寿、珍寿、天寿、大還暦・・・などもある由。

 12月のいわきのJA祭の野菜の即売会で、隣に軽トラを並べたご夫婦は80歳代。農作物の価格競争に巻き込まれたくないので、毎年新しい作物に挑戦しているとのこと。荏胡麻や珍しい豆などを販売しておられた。お顔は歳相応とお見掛けしたが、挑戦する気持ちがすごい  ‼

 皆さま、厳寒の砌、ご自愛専一に ❣  

敬頌新禧(けいしょうしんき)


 遅ればせながら、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 s-IMG_0382.jpg
 元旦、6時54分、いわき市勿来海岸。妻がスマホで撮影。

 今回のテキストは『ホームレス歌人のいた冬』(三山喬 著、東海大学出版会・2011年3月刊)から。

 (柔らかい時計)を持ちて炊き出しのカレーの列に二時間並ぶ (ホームレス・公田耕一)

 この歌は2008年12月8日、朝日新聞の歌壇に掲載された。 「柔らかい時計」は、スペインの画家ダリの代表作『記憶の固執』に描かれたモチーフ。まるで高熱でとけてしまったのように、段差の上に置かれた時計の盤面は、自らの重みでぐにゃりと折れ曲がっている。別の時計は、木の枝に洗濯物のようにふたつ折れにぶら下がっている。

 ホームレスを名乗る投稿者は、炊き出しの順番を待つ忍耐力をこの比喩で示そうとしたのか。それとも、空腹のなかで時間感覚が溶けるようにひしゃげてしまったさまを歌ったのだろうか。

 s-鮫川河口20190104
 1/4、鮫川河口と太平洋。川の中央部の二つの黒ポチは釣り人。

 鍵持たぬ生活に慣れ年を越す今さら何を脱ぎ棄てたのか

 公田の短歌は、2008年12月~翌年1月にかけて計6首が採用された。朝日歌壇には毎週2,500~3,000首が寄せられる。掲載されるのは4選者の欄に計40首だから、「常連」として読者に認識されるハードルの高さがわかるだろう。公田はその難事をわずか数週間で果たしてしまった。「公田」をテーマとする短歌も掲載され、このあとも長く続く。

 炊き出しに並ぶ歌あり住所欄(ホームレス)とありて寒き日 (武富純一、2008・12・22)

 一日を歩いて暮らすわが身には雨はしたたか無援にも降る 
  
 s-内牧公園20190106
 (以下の写真はすべて1/7・@春日部)

 パンのみで生きるにはあらず配給のパンのみみにて一日生きる

  s-内牧公園②20190106

 親不孝通りと言へども親もなく親にもなれずただ立ち尽くす
 哀しきは寿町と言ふ地名長者町さへ隣りにはあり

 公田の投稿ハガキの消印は「横浜」。寿町も長者町も横浜市中区の地名。公田に関する個人情報はこれだけ。

 s-内牧公園④20190106

 美しき星空の下眠りゆくグレコの唄を聴くは幻 

 1951年、フランスの歌手ジュリエット・グレコが吹き込んだ曲『美しき星の下に』を知る人は、シャンソン愛好家にも少ない。スペインのシューレアリスム画家に続いて、今度は「実存主義の女神」と呼ばれ、銀幕でも活躍した美貌の歌姫である。天声人語氏には、作品ににじみ出る公田の教養が、あまりに深く思えることへの違和感もあったのだろう。「ホームレスという境遇までが『作品』なのか、確かめようはない。知りたくもあり、知りたくもなし。」と戸惑いを綴っている。

 s-内牧公園⑤20190106

 胸を病み医療保護受けドヤ街の柩(ひつぎ)のやうな一室に居る

 囚人の己れが<(ホームレス)公田>想いつつ食むHOTMEALを (郷隼人)
 *郷隼人。アメリカで殺人事件の終身犯として20年以上収監されている日本人受刑者。

 温かき缶コーヒーを抱きて寝て覚めれば冷えしコーヒー啜る

 s-内牧公園⑥20190106

 我が上は語らぬ汝の上訊(き)かぬ梅の香に充つ夜の公園
 *「上」は「身の上」のこと。

 生きていれば詠めるペンあれば書けることを教えてくれたホームレス公田氏 (甲斐みどり)
 
 s-内牧公園⑦20190106

 瓢箪の鉢植えを売る店先に軽風立てば瓢箪揺れる

 2009年9月7日。この日掲載された歌を最後に、公田の作品は朝日歌壇から姿を消す。初掲載から最後の作品までが丁度40週。公田の作品の中に「毎週2首投稿している」という歌があるが、計80首投稿して28首の入選。打率3割5分。朝日歌壇の全体の採用率は2%に満たないわけだから、この「打率」はすさまじい。
  
 s-内牧公園⑧20190106
 *この写真は逆さまではなく、枝が折れて垂れ下がっている姿。

 寒くないかい淋しくないかい歌壇でしか会えぬあなたのしばしの不在 (井村公司、2009・11・16)

 先ほどNHK福島が、いわき市三和町では福寿草が咲き揃っていると紹介。昨年の冬至は12月22日。それから3週間弱であるが、大分日が長くなったような気がする。風の冷たさは増すばかりでも、福寿草も咲き、還太郎宅のヒヤシンスも満開。明日が穏やかな天気ならば両実家の植木に寒肥(かんごえ)を施すかと思案している。草木灰はたっぷり用意してある。さすがに年末年始は野良仕事も休止していたので、腹回りが若干肥大化傾向。明日からは定常運転に復帰する予定。

 皆さま、お健やかにお過ごし願います。

   
プロフィール

kantarou + 6

Author:kantarou + 6
畑や庭での作業を楽しんで、晩酌・早寝・早起きの毎日です。読書やドライブも好きです。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム