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十月 之具礼能常可 吾世古河 屋戸乃黄葉 可落所見 (大伴家持)

 十月(かむなづき) 時雨の常か 我が背子が 宿の黄葉(もみちば) 散りぬべく見ゆ (大伴家持)

 今年のタイトルは万葉集から。「十月の時雨の常なのでしょう。あなたのお宅の黄葉が散りそうですね」の意。

 今回も短歌は『現代短歌集成』(角川学芸出版・2009年11月刊)第3巻『自然詠』から。作者名のあとの数字は西暦の下2桁で発表年を示す。

 われよりも肌あたたかき鳥類をねむらせて夜の森を吹く風 (荻本清子・66) 

 s-イヌガラシ20191009
 今回の写真は、10/9の朝の農道散歩で撮ったもの。犬芥子(イヌガラシ)。芥子菜(カラシナ)に似ているが食べられないので、イヌガラシ。役に立たない雑草には「犬・・・」という名が付けられているものが40種ほどある。愛犬家、激怒もの。

 撃たれたる小鳥かへりてくるための草地ありわが頭蓋のなかに (寺山修司・71)

 s-エノコログサ20191009
 エノコログサ。花穂が犬の尾に似ていることから、犬っころ草が転じてエノコログサという呼称になった由。(植物名の由来は殆どWikipediaによる。)

 赤き実を残らず食(は)みて小鳥らの楽しく山に帰り行きしや (高安国世・84)
 
 s-カントウヨメナ20191009 (1)
 関東嫁菜(カントウヨメナ)。優しげな花を咲かせるため「嫁」の名がつく由。ただ「夜目菜」という説もある。関東嫁菜があるなら、関西嫁菜があるのかと問われれば、それはない。ただ、中部・東海以西~四国・九州に咲く「ヨメナ」はある。カントウヨメナは「葉は比較的薄く光沢なし」、ヨメナは「葉が厚ぼったくて光沢がある」由。

 とりつく樹定めし鳥が空中に羽根の力を抜くかたち見ゆ (花山多佳子・85)

 s-キクイモ20191009
 菊芋(キクイモ)。菊に似た花をつけ、地中に塊茎(芋状の塊)を作る。

 いにしへは鳥なりし空 胸あをく昼月つひに孵(かへ)らぬを抱く (水原紫苑・89)

 s-サクラタデ20191009
 桜蓼(サクラタデ)。

 病むひとの逝きてうつそ身くるうまで音に鳴く禽を胸に棲ましむ (濱田陽子・91)

 s-セイタカアワダチソウ20191009
 背高泡立草(セイタカアワダチソウ)。ブタクサと混同され、花粉症の原因だと言われるが濡れ衣。

 夕空を一羽截(き)りゆく鳥つぶてくきやかにみどりの稜線はあり (武川忠一・92)

 s-チカラシバ20191009
 力芝(チカラシバ)。非常しっかりした草で、引き抜くにも刈り取るにもやっかい。ひきちぎるのに力がいることから「力芝」。

 水銀灯ひとつひとつに一羽ずつ鳥が眠っている夜明け前 (穂村弘・92)

 s-ノボロギク20191009
 野襤褸菊(ノボロギク)。野に生えるボロギクの意。見たまま。

 鳥栖(す)まぬ巣箱の夜明け鳥栖まぬ巣箱の日ぐれ冬至のひと日 (柏崎驍二・94)

 s-ハキダメギク20191009
 掃溜菊(ハキダメギク)。牧野富太郎が世田谷の掃き溜めで発見したので、この名がついた。

 鳥の目はまどかなれどもものいはずくいくいと見て見ぬふりをする (今野寿美・95)

 s-ハハコグサ20191009
 母子草(ハハコグサ)。春の七草のひとつである「御形」(ごぎょう)がこれ。花期は4~6月であるが、冬の水田にもよく出現する。新芽がやや這うことから「這う子」から訛ったのではという説もある。

 しののめの薄くれなゐにほのぼのと鳥が鳥呼ぶこゑ柔らかし (武下奈々子・95)

 s-ヒメジョオン20191009
 姫女菀(ヒメジョオン)。「姫」は「小さい」、「女菀」は「中国産の野草」を示す。

 暮れあしを早める鳥の影は増しいちもくさんの森のふところ (村山美恵子・98)

 s-ミゾソバ20191009
 溝蕎麦(ミゾソバ)。溝や用水路、小川などの縁に生えていて、その見た目が蕎麦に似ているから。

 ゆふぐれの鳥さけびつつ生きてゆく途上の孤独まぎれもあらず (柴英美子・02)

 s-ミゾソバ②20191009
 同。

 私を見ながらたつぷり歌ふ四十雀ありがたう奥さんによろしく (石川不二子・08)

 s-葭の穂20191009
 葭の穂。

 前々回のブログ(9/26号)で、芙蓉の花に付いている虫の一つを「カメムシかな? 調査中」とした。その後、ネットや下の2冊で調べるも不明。かくなる上は『日本原色カメムシ図鑑』(全3巻)を買うしかないかと思ったが、Amazonで見ると全巻で3万円以上・・・。断念。市内で一番大きい「いわき総合図書館」に問い合わせると蔵書しているとのことで、片道25kmのドライブ。3巻を2回眺めたが、見当たらない。「もしかして新種 ? 」 (*_*; ・・・。そんなわけないか。引き続き調査。

 s-くらべてわかる甲虫  s-カメムシ博士入門

 台風19号でどんなことになるのか、最近の天候は凶暴化しているので、今日(10/11)の上京の予定はキャンセル。

 皆さまも、くれぐれもご注意願います。 
 

十月 鍾礼乃雨丹 沾乍哉 君之行疑 宿可借疑 (作者不明)

 十月(かむなづき) しぐれの雨に 濡れつつか 君が行くらむ 宿か借(か)るるらむ

 今年のタイトルは万葉集。「十月のしぐれの雨に濡れながらあなたは旅をしているのでしょうか。宿を借りているのでしょうか」の意。

 今回の短歌は、『現代短歌集成』(角川学芸出版・2009年11月刊)から。作者名のあとの数字は西暦の下2桁で、作品の発表年を示す。

 草むらに落ちゆく秋の夜の月はこおろぎの顔にしばしば照りにき (小西久二郎・56)

 s-マツムシソウ20190927
 松虫草(マツムシソウ)。名前は、マツムシ(スズムシ)が鳴く頃に咲くからという説がある。
 
 なお、今回の写真は全て9月下旬、箱根の山道で撮ったもの。芦ノ湖から箱根湯本まで、水平移動距離14km。後半はバテバテ・・・。下り坂がきつかった。

 石垣に沿ひてゆくときこほろぎのかすかなる声石より聞こゆ (下村とし・76)

 s-ヒヨドリバナ2019027
 鵯花(ヒヨドリバナ)。こちらはヒヨドリが鳴く頃に咲くからとされる。

 つねに何処かに火の匂ひするこの星に水打つごときこほろぎの声 (斎藤史・03) 

 s-イタドリ20190927
 虎杖(イタドリ)。中国では、若い茎の紅紫斑を虎の皮の模様にたとえ、虎杖という。世界の侵略的外来種ワースト100選定種。

 夜の底を流るる刻(とき)の河ありてこの夜鈴虫の声澄みわたる (大下一真・96)

 s-ミゾソバ20190927
 溝蕎麦(ミゾソバ)。農業用水路脇などに自生しており、花の見た目が蕎麦に似ているから。還太郎の朝の農道散歩で、いま最も目立っている花。

 夜の籠にまなこ凝らせば一心に薄翅(うすば)ひろげて鳴けり鈴虫 (来嶋靖生・03)

 s-アケボノソウ20190927
 曙草(アケボノソウ)。花名は花冠の斑点を夜明けの星空に見立てたことに由来する。老眼鏡を掛けないとただの小さい白い花だが、掛けて見てびっくり。

 ひぐらしの昇りつめたる声とだえあれはとだえし声のまぼろし (平井弘・76)

 s-ホトトギス20190927
 杜鵑(ホトトギス)。鳥類の杜鵑が「霊鳥」とされていたことに因んで、花のホトトギスもまた格調高い花として茶花や生け花に古くから用いられてきたとのこと。

 ひとの世に混り来てなほうつくしき無紋の蝶が路地に入りゆく (安永蕗子・77)

 s-ツリガネニンジン20190927
 釣鐘人参(ツリガネンジン)。キキョウ科ツリガネニンジン属。花名はその形から。

 今回から植物名を漢字表記とした。名前の由来が分かる場合が多いから。読者の皆様へのサービスではなく、なかなか植物名を覚えない還太郎対策。

 伯母(母の姉)が93歳で逝去。10/1、2は納棺式、火葬、通夜、葬儀、納骨式。91歳の母も全てに参列したので、相当疲れた筈。そして、10/3は末の妹のところ(車で35kmほど)へ出掛けたが、同行した母は到着後すぐに草むしり開始。約2時間も。91歳、恐るべし。
 
 皆さま、ご健勝にお過ごし願います。
プロフィール

還太郎+7

Author:還太郎+7
畑や庭での作業を楽しんで、晩酌・早寝・早起きの毎日です。読書やドライブも好きです。

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