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本来無一物

 本来無一物。 

 今年のタイトルは『中国故事成語辞典』(角川書店・1985年4月20日刊)から。
 『本来無一物』(ほんらいむいちぶつ)は、仏教で、全ての現象はもともと空(くう)で、絶対の存在はひとつもないこと。一切を空と悟って、ものに執着しない自由自在の心境。

 今回の短歌は、『現代短歌集成』(角川学芸出版・2009年11月30日刊)から。作者名のあとの数字は西暦の下2桁で発表年を示す。

 冬なれば毛深くなりしわが犬と外套を着し我と歩めり (高安国世・55)
 
 s-裸木20200116
 いつもの農道散歩。裸木が清々しい。

 付きて来し犬の姿が忽然と消えたるあたり青き空間 (大野誠夫・65)

 s-鳶20200116
 鳶の若鳥らしい。成鳥の尾羽は三味線のばち型になるが、そこまでは成長していない。何か気配を感じたのか振り返った瞬間。

 尾を追ひてまはる仔犬よ音符の輪きらきらしくて島の日だまり (大西民子・71)

 s-鳶②20200116
 アップにしてみたら、親鳥とはぐれてしまったかのような寂しげな眼差し。

 日のくれに帰れる犬の身顫ひて遠き砂漠の砂撒き散らす (大西民子・71)

 s-田人路②20200117
 これと次の写真は阿武隈山系の田人路。私が住むアパートの3階のベランダから西方に見える阿武隈山系を朝に夕に眺めているが、雨の日は白く煙って見えることが多く、山は雪かなと思う。どんな状態かな、何処まで行けるかなと出掛けて見たら、雪はこんな状態。「はだら雪」という言葉が浮かんできたが、念のため辞書をひくと、「まだらに降り積もった春の雪」の由。1月の雪には使わないようだ。1/19、ボランティア活動で一緒のグループになった新潟の方も、極端な雪不足とおっしゃっていた。

 曲がり角知り合いの犬と出会いたり間のわるき顔を一瞬したり (高安国世・78)

 s-田人路20200117
 ブナやコナラの原生林も1月の様相ではない。

 思ひつくといふこと犬の身にもあらむ雨の中来て戻りゆきたり (高栁サダエ・83)

 s-日だまり②20200117
 ここから6葉は@勿来の関。S先輩から御教示あり。サネカズラ。次葉も。以下、青字はS先輩からの御教示。

 犬はいつもはつらつとしてよろこびにからだふるわす凄き生きもの (奥村晃作・88)

 s-日だまり20200117

 ゆうぐれは犬にも愁あるごとく傍らに来て焚火をみつむ (王紅花・95)

 s-裸木②20200117

 ぐずりし犬もいつしか眠りたり泣き寝入りするは人間(ひと)のみならず (石田比呂志・95)

 s-なにかな20200117
 コウヤボウキ。

 犬の仔の耳やはらかく幾度(いくたび)も形を変へて風を聞きをり (渡辺幸一・97)

 s-アカゲラ②20200117
 アカゲラ2葉。木の枝が邪魔して、アカゲラの眼に光が届かず、置物のように見えてしまう。

 あたし犬あたしの仲間は人間で犬の友達おりませんの (梅澤鳳舞・99)

 s-アカゲラ20200117
 コゲラは何度も撮ったことがあるが、アカゲラは珍しい。

 さざんくわは空(くう)を切るはなほろほろと切らるる一切空の世界よ (水原紫苑・99年)

 s-山茶花20200120
 ここから以下は1/20の還太植物園。赤花の山茶花。
 
 山茶花はゆふべの雲にしろたへの花まぎれんとして咲きゐたり (佐藤佐太郎・75)

 s-山茶花②2020120
 白花の山茶花。

 心耐へてこの幾日をありにしか犬にもの言ふ今朝の子のこゑ (大河原マス美・00)

 s-ツワブキ20200120
 石蕗(つわぶき)。バックは赤花の山茶花。

 キュッと鳴る玩具を咬みてみずからをしずむるすべを仔犬は覚ゆ (上野久雄・01)

 s-水仙20200120
  水仙。

 花の奥にさらに花在り私の奥にわれ無く白犬棲むを (水原紫苑・04) 
 
 s-母子草20200120
 母子草。

 あのやうな人になりたかった私を人間になりたかった犬が見てをり (稲葉京子・05)

 s-なにかな20200120
 調査中。 松吉さんからご教示り。「オキザリス・ヒルタ」。葉に酸味があることから「オキザリス」(ギリシャ語で「すっぱい」を意味する)とついた。和名は木立花片喰(きだちはなかたばみ)。「ヒルタ」は何かな。いわきには「蛭田」さんが大勢いるんだけど・・・。
 更にS先輩から御教示あり。オキザリス・グラブラとのこと。「ヒルタ種は立ち性で上に伸びる。寒さに少し弱いようです。グラブラ種はヒルタ種より花弁がよく展開し丸くなる。上に伸びない。当地でもよく普及しています」とのこと。

 わが犬はぢっと目を見て話聞く留守を頼むにまなこ逸らせり (土屋亮・06)

 s-なにかな③20200120
 調査中。葉は肉厚に見えるが、実際に触ってみるとそれほどではない。たくさん見かける。松吉さんからご教示あり。金盞花(キンセンカ)とのこと。但し、Wikipediaでは「花径10cmほど」と記載され、『季節の花図鑑』(日本文芸社)では「花径1~5cm」との記載。でも、葉の形からしても「キンセンカ」のようだ。

 更にS先輩から御教示あり。「広義のキンセンカに含まれるので、ここままでもよいです。しかし、現在一般的にキンセンカというと、花径が10cm以上の切り花や花壇植えされる品種をさします。お写真のように小輪のものはヒメキンセンカあるいはホームセンターなどで使う流通名フユシラズ、と呼ばれます。」とのこと。

 メロンパン犬と分けあふ昼さがりお前も私も微塵のいのち (渡辺茂子・07)

 s-オオイヌノフグリ20200120
 オオイヌノフグリ。庭のあちこちに咲いている。

 今回はここまで。皆さま、お体を大切になさってください。

 追記

 冬といへ春思はせる暖かさ照る陽のどかに空澄みわたる (小澤知江子・08)

 s-八重の梅20200121
 今日(1/21)、勿来の関へ行ったら梅が咲いていてびっくり。その一角だけ華やいだ光景が広がっていた。
 
梅の香の甦す微かな痛みあり春は来るより返さるるもの (高村典子・08)

 s-八重の梅②20200121

 「勿来関文学歴史館」の海側の傾斜地に咲いていた。花びらの先端が割れているのが桜、尖っているのが桃なので、丸い花びらのこれは梅だと思う。

 以上です。
 

五風十雨(ごふうじゅうう)

 今年のタイトルは『中国故事成語辞典』(角川書店・1985年4月20日刊)から。

 「五風十雨」とは、五日めに一たび風が吹き、十日めに一度雨が降ることで、農作物の生育に都合がよく、豊年の兆しであるとされた。「十日の雨土くれを動かさず、五日の風枝を鳴らさず」とも。

 今回の短歌は、『現代短歌集成』(角川学芸出版・2009年11月30日刊)から。作者名のあとの数字は西暦の下2桁で発表年を示す。

 あらためていま一度とも言ひがたき一点鐘に似るいのちかな (中原綾子・60)

 s-タンポポ20200109
 お正月で鈍った体を鍛えるべく連日1万歩超の農道散歩をしている。冬枯れで写真の材料は乏しい。さて、これは蒲公英(タンポポ)と思うのだが、花は地面に張り付くように咲いている。タンポポではないのかな。漢字表記の「蒲公英」は中国植物名の「ほこうえい)から。S先輩からご教示あり。西洋タンポポとのこと。次葉も。以下の青字もSの先輩から御教示。

 おのずからいのちのともしび消えゆくを待つごとくにも深く瞳を閉ず (渡辺順三・66)

 s-タンポポ②20200109

 かりそめの感と思はず今日を在る我の命の頂点なるを (窪田空穂・67)

 s-何かな20200109
 コセンダングサの果実。

 無灯火の峡の夜ふけて月ながら降る雪吾の命きよめむ (三浦武・75) 

 s-ホトケノザ20200109
 仏の座(ホトケノザ)。 ヒメオドリコソウ。

 植えざれば耕さざれば生まざれば見つくすのみの命もつなり (馬場あき子・77)

 s-ナズナ2200109
 薺(ナズナ)。

 さしのぞく深井の底に映れるはいづこより来し小さき顔ぞ (伊藤雅子・88)

 s-オオイヌノフグリ20200109
  大犬の陰嚢(オオイヌノフグリ)。

 魂の最も深きところより滲み出る部位を顔とし寫す (佐々木六戈・03)

 s-セイタカアワダチソウ20200109
 背高泡立ち草(セイタカアワダチソウ)。

 年が明けて、いわきのボランティアセンターの活動は土日のみとなった。1/11・12、両日とも7名のグループで同じお宅の室内清掃作業。通常は浸水被害の部分掃除をする。ただ、高齢独居女性かつ闘病中(左手も麻痺)とのことで、床上浸水レベルより高い部分も掃除。蛍光灯の交換も。 
 
 11日は還太郎が勤務していた会社のOBと一緒になった。フルマラソン・坂道のぼりのサイクリングが趣味とのことで体力充分。キッチンの引き出しを全部徹底掃除してくれた。

 12日は7名中3名が南会津の方(うち一人は、お父さんと一緒に参加した小学校5年生のお嬢さん)。「雪深いところから大変ですね」と声を掛けると、「雪祭りの開催が危ぶまれるほど降雪が少ない」とのこと。あとは埼玉・大阪・福島市の方と還太郎。2日がかりの掃除で室内は大分きれいになり、Before・Afterの写真を並べてみたいところ。参加者全員が達成感を味わいつつ、終了。 

 さて、いわきの日の出時刻は1月6,7日の6時50分10秒を境に早くなり、今朝(1/13)は6時49分27秒。この間に日没時間は6分ほど遅くなっており、日に日に春が近づいている。

 今回はここまで。皆さま、お元気にお過ごし下さい。

沈魚落雁、閉月羞花

 明けましておめでとうございます。皆さまのご多幸とご健勝を祈念いたします。

 今年のタイトルは『中国故事成語辞典』(角川書店・1985年4月20日刊)から。

 「沈魚落雁、閉月羞花(ちんぎょらくがん、へいげつしゅうか」)は、美人を最大級に形容することば。美人に会うと、その非常な美に圧倒され、魚は深いところ沈み隠れ(沈魚)、雁は見とれて列を乱して落ち(落雁)、月は雲間に姿を隠し(閉月)、花は恥ずかしがってしぼんでしまう(羞花)ということ。
 『荘子』の中のことばをもじったもの。荘子本来の意味は、美人の形容ではなく、人間には美人に見えるものも、魚はこれを見るとおびえて水底に沈み、鳥は驚いて空高く飛び上がるというもの。

 今回の短歌は『現代短歌集成』角川学芸出版・2009年11月30日刊)tから。作者名のあとの数字は西暦の下2桁で発表年を示す。テーマは『雪』。 

 この冬も粥のやしない蹌踉たりあかとき路地はうつくき雪 (坪野哲久・71)

 *「粥の養い」とは1/7に食べる七草粥かと思った。ただ、「蹌踉」(そうろう)とは足もとのおぼつかないさまをいうので、米の蓄えが充分ではなく粥飯でしのいでいるということかな。

 s-サザンカ20191231
 @還太植物園。山茶花2葉。

 暗を來て家洩るる燈を横切ればわれにしきりに降る雪が見ゆ (早川幾忠・74)

 s-サザンカ220191231

 倒れぎわを鮮烈に匂いし椴松(とどまつ)によもすがらなる雪となりたり (坂田博義・74)
 
 s-ハクチョウ②20200105
 @鮫川、沼部大橋付近。白鳥、鴨、百合鴎などなど。

 きしきしと雪ふみかへるわれはいま優柔の果ての科(とが)負ふらしも (上田三四二・75)

 s-ハクチョウ20200105
 息、ピッタリ。 

 閑寂が音となりゐるごとくにてしんしんと雪いちにち止まぬ (植田多喜子・76)

 s-ユリカモメ20200105
 給餌する人が現れると、ユリカモメはホバリング開始。

 積雪遠屋根にひらめくことありて鶴などのわらふごとくあかるき (葛原妙子・77)

 s-カシラダカ20200107
 頭高。

 音たてぬ川に音なく降る雪をわが身のうちにひびかせて聴く (大塚陽子・82)

 s-アオジ20200107
 青(アオジ)。「鵐」の訓読みは「しとど」(古くは「しとと」)。アオジ、ノジコ、ホオジロ、ホオアカなどの小鳥の古名。

 皆さま、今年もよろしお願いします。
プロフィール

還太郎+7

Author:還太郎+7
畑や庭での作業を楽しんで、晩酌・早寝・早起きの毎日です。読書やドライブも好きです。

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