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晴好雨奇

 
 今年のタイトルは『中国故事成語辞典』(角川書房)から。

 晴好雨奇(せいこううき)。山水の景色が晴雨ともに趣が深いこと。「好」は美しいこと。「奇」はすぐれていること。

 水光瀲灔(すいこうれんえん)として晴れて方(まさ)に好く、山色空濛(さんしょくくうもう)として雨も亦(また)奇なり。

 今回の短歌は前回に引き続き、水原紫苑歌集『びあんか』【決定版】(深夜叢書社・2014年刊)から。


 たそがれを帰りゆくもの影ながくふとも見あぐるいつぽんの樹を


 s-燈台草20200423
 サクラの花以外は全て@還太植物園にて。燈台草トウダイグサ科トウダイグサ属のマツバトウダイ。


 まなぶたに冷たく触れて山上の星のひかりをわれに与へぬ

 s-冬知らず20200423
 冬知らずの群落。背丈は30cmほどにも。


 嫗にてわれも見し夜の月ならむ頸のべて聴くそのかがやきを

 s-常盤万作20200423
 常盤万作。


 きはやかに黒衣を脱ぎて立つ木々を黎明は打ちなほも貫く

 s-花水木20200423
 花水木。


 一対の陶器をあはせ早春の音なすときに眠り遠しも

 s-スズラン20200423
 スズラン。 スズランスイセン。 


 雲ふみて来たりしやうな男ゐて虹を語らばかなしかるべし
 
 s-じょおん20200423
 ヒメジョオン。 ハルジオン


 夕鳥は朝鳥に似て異なれるいのち持つなりくれなゐの後

 s-キク20200423
 フランス菊。 ノースポールギク。


 切られたる半月冥(くら)し水底を照らせば蟹のうから眠れる

 s-きらんそう②20200423
 キランソウ。中国では「金瘡小草」。「金瘡」とは刀傷のこと。キランソウの葉を潰して傷に塗ると切り傷や腫れ物に効用があることから名付けられたとのこと。アジュカとも。 セイヨウキランソウ。


 朱を過ぎて銀に至れる憤怒あり一生(ひとよ)なべて男を生かす

 s-玉すだれ20200424
 玉簾(たますだれ) オオアマナの群落。夕方になる花を閉じ、翌朝また開く。


 けものらはいかに渡れる夕虹の彼方かぎろひ森のごとしも


 s-玉すだれ②20200424
 同アップ。


 いにしへは鳥なりし空 胸あをく昼月つひに孵(かへ)らぬを抱く

 s-花韮20200424
 玉簾と似ているが、こちらは花韮(はなにら)


 時たがへ星また星が鳴りいづる枯野をゆけりみづからの内

 s-カタバミ20200428
 片喰(かたばみ)


 雲雀啼く世はいまだ来ず鋭(と)きこゑのうつくしきもの母のほかなし
 
 s-石楠花20200428
 石楠花


 (おほぞら)はうつろなる魚 おもほえばその声いまだ聞きしことなし

 s-シモツケ20200428
 下野(しもつけ) コデマリ。


 曇天を真珠飾りて歩むときしばし聞こゆる波のささやき

 s-ツルボ類2020428
 スパニッシュ ブルーベル。


 この夜更けさくらさくらを歌ひなばいかなる腕にわれ抱かれむ

 s-桜②20200429
 ここから3枚は近くの公園で。何れも八重だが、わずかに花の色が違う。

 
 陸の橋いやさびしきに渡り来るをとこ貌(かほ)無く煙草火あかし

 s-桜③20200429



 たそがれの鏡音なく泡立ちぬ 逢ひて逢わざるわたしのため


 s-桜20200429


 4/28、高校の同級生たちとオンライン飲み会。福岡、大阪、埼玉、宮城各1名と福島2名。大阪在住のDr.Keyさんが「Webex Meet」というソフトを用いてセットしてくれた。大盛り上がり。

 交通費も宿泊費も不要だし、酔った帰り道の心配もない。コロナが去ってもこういう飲み会はなくならないのでは。全国各地に散らばっている仲間が一堂に会するのは大変だが、オンラインなら問題なし。

 s-躑躅20200429
 今年最初に咲いたツツジ。

 皆さま、「3密対策」を徹底して新型コロナウイルス禍を乗り切りましょう。どうぞお気をつけてお過ごしください。
  

桃源

 桃源(とうげん)。理想郷。桃の花の咲いている水源地にある村。晉(しん)の太元年間に、武陵の一漁師が桃の花咲く林に遭遇。その林の小さい穴から中に入ると、まったく時代ばなれをした世界があった。そこには、昔、秦末の混乱を避けて移ってきた人々の子孫が楽しい生活をしていた。漁師は大変に歓待されて、秦以後のこの世の変遷を語って帰ったという寓話に基づく。
 今年のタイトルは『中国故事成語辞典』(講談社)から。

 今回の短歌は、水原紫苑歌集『びあんか』【決定版】(深夜叢書社・2014刊)から。

 光線をおんがくのごと聴き分くるけものか良夜眼とぢゐる

 s-さくら20200403
 村の処々で桜が満開。遠くに仏具山を望む。

 針と針すれちがふとき幽かなるためらひありて時計のたましひ

 s-大高寺20200403
 天台宗頼長山大高寺の桜。
  
 ひえびえと四肢痛む春庭先の古井戸きよき水出だすなり 

 s-シャクナゲ20200407
 ここからは@還太植物園。ニューフェイスの石楠花。

 菜の花の黄(きい)溢れたりゆふぐれの素焼きの壺に処女の体に

 s-梨20200406
 梨、3葉続く。
 
 風葬とふ言葉いとしみ夕刻のわれ少しづつ軽(かろ)くなりゆく

 s-梨②20200407

 興福寺少年阿修羅にかなしみを与へし仏師の背広からむ
 
 s-梨20200408

 仏蘭西に<春>を抱くべき花ありやジャン・コクトーはさくらを見ざりき

 s-枝垂れ桜20200408
 枝垂れ桜。

 かぎろへば滝つ瀬やさしみづからを滝と知りつつ砕けゆくなり 

 s-水仙20200408
 水仙。

 ひかりさす御堂に濡れて長眉の吉祥天の御(おん)くちびる 

 s-花梨20200408
 花梨。
 
 春雨を厭ひて土間に眠りゐる犬のかたちに濡れて犬消ゆ  

 s-何かな20200408
 金瘡小草(キランソウ)かな。茎は直立せず、地面を這って四方に広がる。地面にふたをするように広がることからジゴクノカマノフタの別名がある。

 われらかつて魚なりし頃かたらひし藻の蔭に似るゆふぐれ来たる

 s-さつき20200408
 こちらもニューフェイスの皐月。

 還太郎の日常は、時には植木屋さんの手伝いにも行くが、普段はトップの写真のような環境で、庭や畑にいることが殆ど。ウグイス・キジ・スズメ・ムクドリ・ヒヨドリ・コジュケイなどの鳴き声を聞きながら野良仕事。盛唐の詩人孟浩然の「春眠 暁を覚えず 処々 啼鳥を聞く 夜来 風雨の声 花落つること 知んぬ多少ぞ」を思い出す。(最近のことは何でも忘れてしまうのだけれど、中学や高校で習った古文・漢文はなぜだか覚えている。)

 詩の意味は「春の暁は気候も良く、夜が明けたのも知らずに寝過ごしてしまった。ふと眼を覚ますと、あちこちから小鳥の鳴く声が聞こえる。そういえば、昨夜は風雨の音がはげしかった。あの嵐で庭の花はさぞたくさん散ったことだろう」。

 そんなことで、新型コロナウイルスとは無縁かなと期待。皆さま、ご用心願います。
  

 

 

正鵠を失わず

 正鵠を失わず(せいこくをうしなわず)。的を外さない、的を外れない、物事の急所や要点を的確にとらえること。「正鵠」は弓の的の中心の黒点。また、「正」が布張りの的の黒点、「鵠」が革張りの的の黒点ともいう。
 今年のタイトルは『中国故事成語辞典』(角川書房)から。

 今回も短歌は『現代短歌集成』(角川学芸出版)から。作者名のあとの数字は西暦の下2桁で発表年を示す。

 雪解水裏山にひと夜流れいて暁近くなり凍りたるらし (古明地実・76)

 s-阿武隈山系雪景色20200330
 3/30朝、阿武隈山系の東斜面はこの冬一番の雪景色。白く抉れているのは杉の伐採を終えたところ。

 未熟なる実か毒かくすとふ芥子畑に花散りそめし (富小路禎子・96) 

 s-ペチコート水仙20200330

 以下は全て還太植物園。花菱草かと思ったが、違うようだ。 (以下、4/3追記) 図鑑を3冊見ても掲載されていないし、「植物同定」アプリでも分からない。今日、「野草の会」の会員で植物に詳しい実家の前のお宅の方を訪ねて教えを乞うと、「ペチコート水仙」だよ、と。「ペチコート」まで伺った段階で、昨年も同じ方に同じことを尋ねたことを思い出した…😅・・・。去年の今頃のブログに載せたことも思い出した・・・😞・・・。ひとつの花で何度も楽しめるんだからいいか・・・\(^o^)/・・・。

 はるかにも花畑つづくに此処よりは踵(きびす)かへせといふ札の立つ (池田まり子・91)

 s-ペチコート水仙②20200330

 
 同拡大。

 この道は来たことがある花梨の実あまた暗くて青くて綺麗 (岡井隆・04)
 
 s-カリン20200330
 花梨。 

梨の木に梨の実ふとりゆく日日を天与の雨にまさるものなし (築地正子・85) 

 s-梨20200330
 梨。

 満作の花咲きたりと聞くのみの明け暮れせしは早春の庭 (横山岩男・96)

 s-常盤万作20200330
 常盤万作(ときわまんさく)。

 ばんざいの姿で蛇に銜えられ春らんまんの蛙いっぴき (鳥海昭子・84)
 
 s-ゆすらめ20200330 (1)
 山桜桃(ゆすらうめ)。
 
 去年の秋鉢ごと行方晦まししムスカリ咲けり石の後ろに (木畑庸子・03)

 s-ムスカリ20200330
 ムスカリ。ツルボ亜科ムスカリ属。名前の由来はギリシャ語のmoschosであり、麝香のことだそうだ。

 誰も出てこぬ村のまひるま花桃の千本の木のあかるさなりき (小川恵子・91)

 s-ハナモモ20200330
 花桃。

 春まだきひかりの下の錯覚に眼鏡の縁にとまる鳥あり (上野久雄・01) 

 s-シャラの新葉20200330
 沙羅(しゃら)の新葉。去年咲いた花のサイズからすると、ヒメシャラかも。

 春さむし背のファスナーを下ろす間も〈明日の仕事〉を言ふ女(ひと)に似て (大塚寅彦・03)

 s-なにかな②20200401
 花韮(はなにら)。 

 ポスターに沿線の桜咲きみちて地下鉄構内しんかんと春 (成瀬有・08)

 s-なにかな20200401
 紫苔(むらさきごけ)かな。 カキドオシ。

 コロナウィルス禍、拡散の一途。お仕事等で密集・密閉・密接が避けられない方々、どうぞお気をつけて。
プロフィール

還太郎+7

Author:還太郎+7
畑や庭での作業を楽しんで、晩酌・早寝・早起きの毎日です。読書やドライブも好きです。

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