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はるかなる谷ひびきあひ空となり一本の樹にかなしみは降る(櫟原聰)

9/22、雨。里山徘徊はできないので、今回はすべてS先輩が9/17に仏具山(ぶつぐさん・いわき市田人町南大平・標高670.5m)で撮られた草花の写真のご紹介。 

 しづかなる生(いき)をねがひて秋づける山々息(いこ)ふ青谷に来ぬ(上田三四二)
 s-アズマヤマアザミ
 アズマヤマアザミ。

 わたくしの言葉の外に空ありて山ありて風ありて阿蘇は秋(築地正子)
 s-キツリフネ
 キツリフネ。

 今もなほ隆起してゐるといふ山塊の父のごとき意志思ふ秋の日(馬場あき子)
 s-サルナシ
 サルナシ。

 山谷の深きしじまの岩伝ふ水音かそけく秋ふかまりぬ(高嶋昭二)
 s-キンミズヒキ
 キンミズヒキ。

 夕くらむ吉備の中山そま道の枯葉の下に水流れたり(能見謙太郎)
 s-ツルキケマン
 ツルキケマン。

 しろがねのゆふぐれ近き雲の秋いづこにか水漬く鐘のあるべし(雨宮雅子)
 s-ツルニンジン
 ツルニンジン。
 
 秋ふかみ鍛治屋が槌も音にすみて朝の市街は水うてる如し(若山喜志子)
 s-ノササゲ
 ノササゲ。

 秋更けて末枯れそめたる紫陽花の錆色にして球を崩さず(田村ひさ子)
 s-ママコノシリヌグイ
 ママコノシリヌグイ。

 水瓶の形に水はひつそりと置かれてゐたり秋の門辺に(古谷智子)
 s-ミズヒキ
 ミズヒキ。 

 秋ふかき朝の光は無眼大仏の削がれたる顔にやはらかく差す(宮英子)
 s-名残りのキバナアキギリ
 キバナアキギリ。

 「旅をする木」(星野道夫・文春文庫・今年5月に第34版を刊行)を読んでいる。彼はアラスカに18年間住み、野生生物やエスキモーの生活などをテーマとした写真家。1996年8月、シベリアのクルリ湖でクマに襲われて死亡。
 本の書き出し。
 「フェアバンクスは新緑の季節も終わり、初夏が近づいています。夕暮れの頃、枯れ枝を集め、家の前で焚き火をしていると、アカリスの声があちこちから聞こえてきます。残雪が消えた森のカーペットにはコロコロとしたムースの冬の糞が落ちていて、一体あんな大きな生き物がいつ家の近くを通り過ぎていったのだろうと思います。
 頬を撫でてゆく風の感触も甘く、季節が変わっていこうとしていることがわかります。アラスカに暮らし始めて十五年がたちましたが、ぼくはページをめくるようにはっきりと変化してゆくこの土地の季節感が好きです。」


 前述のように、彼はクマに襲われて亡くなるのだが、こんな風にクマのことを書いている。
 「アラスカの自然を旅していると、たとえ出合わなくても、いつもどこかにクマの存在を意識する。今の世の中でそれは何と贅沢なことなのだろう。クマの存在が、人間が忘れている生物としての緊張感を呼び起こしてくれるからだ。もしこの土地からクマが消え、野営の夜、何も怖れずに眠ることができたなら、それは何とつまらぬ自然なのだろう。四月のアラスカは、姿は見えなくても、そろそろ雪の下からクマの気配を感じ始めるときである。」 

 台風一過、急に涼しくなりました。皆さま、ご自愛願います。

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いいな…出掛けられて お天気が定まらないからお山にも行けないの(。>д<)
還太郎さんの写真を見てたら羨ましい気持ちが膨らんできちゃった…

天候不順ですね〜

エルさま

もしかして稲刈りはこれからですか? 台風等の影響で倒伏していないといいのですが…。

No title

「旅をする木」、私も眠りにつく前に読んでいます。
で、なかなか進みません(笑)

私は21ページの4~6行目が好きです。

写真も好きです。
没後20年の巡回写真展が横浜にきたら
ぜひ行ってみたいと思っています。
プロフィール

kantarou+5

Author:kantarou+5
週末の近郊里山徘徊を楽しみつつ、足腰の衰えを防止しています。読書やドライブも好きです。

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