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閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)

「閉塞成冬」は24節気「大雪」の初候(12/7~11)。空も雲にふさがれて、いよいよ真冬。

 さて、今回は長塚節(たかし)。明治12年4月13日~大正4年2月8日。茨城県結城の出身。23歳の時に上京、子規を訪ねる。以後、子規に師事。テキストは「わが愛する歌人」第一集(有斐閣新書・昭和53年8月刊)。
 解説の岡井隆は、節を「農」、「病」、「旅」、「小説」の4つのキーワードで評している。『「農」というのは、彼が地主の長男として生まれ、家業を継ぐでなく継がぬではない生活をしながら、結局は他に定職を持つことはなかった。旅行家であり、病人でもあったから転地療養もしたけれども、彼の宇宙は、生涯、生地の国生村を中心に回転した。長塚の小旦那だったのである。そのことは小説「土」に象徴的に集中的にあらわれているといえる。』

 天の戸ゆ立ち来る春は蒼雲に光とよもし浮きただよへり
 s-筑波山20171210
 筑波山遠景。

 あをぎりの幹の青きに涙なすしづくながれて春さめぞふる
 s-初冬⑦20171210

 馬追虫の髭のそよろに来る秋はまなこを閉ぢて想ひ見るべし
 s-初冬⑥20171210

 おぼほしく水泡(みなわ)吹きよする秋風に岸の真菰に浪越えむとす
 s-初冬⑤20171210

 ガラス戸の中にうち伏す君のため草萌え出づる春を喜ぶ
 s-初冬④20171210

 こころよき刺身の皿の紫蘇の実に秋は俄かに冷えいでにけり
 s-初冬③20171210

 薦(こも)かけて桶の深きに入れおける蛸もこほらむ寒き此夜は
 s-初冬②20171210

 小夜ふけて窃(ひそか)に蚊帳にさす月をねむれる人は皆知らざらむ
 s-ススキ20171210

 利根川は北風(かたま)いなさの吹き替へにむれてくだる帆つぎてのぼる帆
 s-初冬20171210
 北風、いなさ(東南の風)の変化に合わせて、船が上り下りしている様を詠んでいる。

 春の雲かたよりゆきし昼つかたとほき真菰に雁しづまりぬ
 s-赤い葉②20171210

 単衣(ひとえ)きてこころほがらになりにけり夏は必ず我れ死なざらむ
 s-赤い葉20171210

 冬の日はつれなく入りぬさかさまに空の底ひに落ちつつかあらむ
 s-赤い実20171210

 ほこりかも吹きげたると見るまでに沖辺は闇(くら)し磯は白波
 s-ツバキ20171210

 とこしへに慰(なぐさ)もる人もあらなくに枕に潮のおらぶ夜は憂し

 長塚節は明治43年に漱石の推薦を受けて、小説「土」を東京朝日新聞に連載。貧農の勘次一家を中心に小作農の貧しさと、それに由来する貪欲、狡猾、利己心など、またかれらをとりかこむ自然の風物、年中行事などを驚くべきリアルな筆致で克明に描いた農民文学の記念碑的名作。漱石をして「余の娘が年頃になって、音楽会がどうだの、帝国座がどうだの言い募る時分になったら、余は是非この『土』を読ましたいと思っている」と言わしめた。

 師走も中旬。還太郎の忘年会の予定は、あと4回。いずれも親しい方々との寛げる飲み会。他にも突然の飲み会が発生するのが師走。 皆さま、御身御大切に願います。


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Author:kantarou+5
週末の近郊里山徘徊を楽しみつつ、足腰の衰えを防止しています。読書やドライブも好きです。

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