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栄辱得喪(えいじょくとくそう)


「栄辱得喪」は名誉と恥辱、利益と損失などの世俗的な関心事。(今年のタイトルは漱石の「草枕」の難解熟語から。)

 今回は窪田空穂。テキストは「わが愛する歌人 第二集」(有斐閣新書・昭和53年12月刊)。解説は武川忠一。

 雪ついばみ低くも歌ふ鳥とこそ雪深き野に生れぬる身の

 窪田空穂は明治10年生まれ、昭和42年没。明治37年に東京専門学校(現早大)を卒業後、独歩社、電報新聞社等を経て、大正9年から昭和23年まで早大文学部で教鞭をとる。信州の松本郊外和田村の生まれ。空穂は文学の世界に憧れて、親に無断で家を出て、東京専門学校に入学するが1年で文学の世界に失望して去り、大阪で実業を志した。しかしながら母の危篤の報で帰郷。その後に養子に行かされるが、養家も去るという曲折を経たのち東京専門学校に復学。上掲の歌は空穂の第一歌集「まひる野」から。若い頃の鬱屈が表現されているようだ。
  
 s-めじろ20180113

 雲よむかし初めてここの野に立ちて草刈りし人にもかくも照りしか
 s-目白②20180113

 寒つばき深紅に咲ける小(ち)さき花冬木の庭の瞳のごとき 
 s-落花20180113

 鉦ならし信濃の国を行き行かばありしながらの母見るらむか
 s-アオサギ20180113

 御嶽颪(みたけおろし)荒さがうちに亡き父のと息まじりてわれに聞こゆる
 s-枯葉2018113

 蒸れくさる蚕糞(こじり)のにほひ、ものうげの馬の嘶き、村は夜に入る
 s-枯葉②20180113

 濁りたるベースの音よりつと生まれ、澄みて鳴りゆくクラリオネット。
 s-枯葉③20180113

 野に遠き葦の小笛よこの宵を聴きて覚め来む魂もあるべし 
 s-笹②20180113

 黄の蕊(しべ)を真白につゝむ水仙のふとあらはれて闇に消えぬる 
 s-冬陽20180113

 げにわれは我執の国の小さき王胸おびゆるに肩そびやかす
 s-凍結20180113

 月出でぬひと片(ひら)寒きゆふ雲の白く照りては消えなむとする 
 s-老木20180113

 かかる日に生まれし我か空白く青葉けぶりて揺ぐともせぬ
 s-何の木20180113

 以下2首は空穂の妻、林圭子の作。

 ここはしも槿(むくげ)の花の褥(しとね)かもうす紫にむらがり匂ふ
 s-起き上がり小法師20180113
 福島県の民芸品。起き上がり小法師。

 わが夫の形見の梅の花咲きて冴々と白し鉢の老木(おいぎ)に
 s-福島の民芸品20180113
 こちらも。

 本日の日経俳壇のトップはいわき市の坂本玄々さんの「生きていることが生甲斐老の冬」。還太郎も先日65歳を迎えたが、坂本さんの境地にはまだまだ・・・。
 「身体髪膚これを父母に受くあえて毀傷せざるは孝の始めなり」(孝経)と申します。皆さま、くれぐれもご自愛願います。

 

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お誕生日だったんですか(^^)
おめでとうございます\(^-^)/

No title

エル様

毎度ありがとうございます😊。
今日は福島県浪江町まで出掛け、先端農業技術体験フェアを見学してきます。
いずれ田舎に戻った時のための準備です。

還太郎 拝
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kantarou+5

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週末の近郊里山徘徊を楽しみつつ、足腰の衰えを防止しています。読書やドライブも好きです。

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