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母望の人

 母望の人(むぼうのひと・ぼぼうのひと)。急場の時に求めなくても救いに来てくれる人。急場にかけつけて救ってくれる人。「母望」、望まない・思いがけない・不慮の意。

 今年のタイトルは『中国故事成語辞典』(角川書店)から。今回の短歌は水原紫苑歌集『うたうら【決定版】』(深夜叢書社)から。

 歌びとをふるき寺院とおもへればオリーヴの香は双の窓より

 s-タカサゴユリ20200819
 @還太植物園。年々増えるタカサゴユリ。

 炎昼はたれも眺めぬコニャックの古りたる瓶に雪の精ゐる

 s-フヨウ20200819
 フヨウ。

 コンソメはかなしきもの夕顔の笑みのごときを掬(すく)はむとしつ

 s-フヨウ②20200819
 同じくフヨウ。

 さみどりの鹿、目に見ゆと突き立てしフォークはさびし宙にとどまる

 s-サルスベリ20200819
 サルスベリ。 

 夏草に斃れしわれが眠るらむ鹿王院か訪はで過ぎにき

 孤塁

 『孤塁・双葉郡消防士たちの3.11』、吉田千亜著・岩波書店・2020年1月29日刊を読んだ。双葉消防本部は、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村の6町2村の消防業務を担当。福島第一原発、同第2原発はこの地域に立地。

 本のカバーの惹句は次の通り。 われわれは生きて戻れるのか? 原発が爆発・暴走するなか、地震・津波被災者の救助や避難誘導、さらに原発構内での給水活動や火災対応にもあたった福島県双葉消防本部の消防士たち。(原発事故があったために)他県消防の応援も得られず、不眠不休で続けられた地元消防の苦難と葛藤が初めて語られた。 一人一人への丹念な取材にもとづく渾身のノンフィクション。

 この本を読んで私が最も吐き気を催したのは、3月16日の4号機火災の際の東電内のテレビ会議の記録。消防は、東電からの火災発生の連絡を受けて消火活動に向かうことになった。

  以下は、東電内のテレビ会議の記録。

 東電現場の保安班から、「当該エリアについては400ミリシーベルト/時のところの瓦礫はまだ片付いていないので、線量的にはかなり消火活動として大変なところかと思います。また構内についてはすべて汚染してますから、公設の消防(双葉消防本部)が入った場合、出れないということでご了承願いたいのですが」。

 本店から、「入ったら出られないという程のところに公設の方に来ていただくというのは、どこか事前にお話ししておいた方が良いんじゃないですか?」。

 本店総務から、「えっと、それは正門とかで誘導する時にお伝えできるかどうかだと思いますけど」。

 本店から、「いや、本人たちだけじゃなくて、いやその県、県というのかな・・・」。

 本店総務から、「それは伝えた方がよいに決まっているのだけど、努力を続けるだけで良いでしょう」。

 (以下、本文から)
 外部応援が受けられなかった双葉消防本部では、限られた人員・資器材でいかに活動を継続していくかは重要な課題の一つだった。消防士の活動の被ばく線量限度は緊急時100ミリシーベルト。それを超える職員が出ないよう、人員配置の調整もしていた。使命である住民の救助・救急活動ができなくなることを怖れていたのだ。

 結局、双葉消防本部は東電から線量が400ミリシーベルトに達しているという情報がないまま21名の隊員が現地に赴いた。しかし、現地到着の2時間から2.5時間前には東電は既に火は消えていることを確認していたにも拘わらず、双葉消防本部には連絡なし。


 (以下、還太郎の独り言)
 何をか言わんや。まるで虫けらのような扱い。消防士たちが帰れなくなる、それは地域の消防活動にとって壊滅的な打撃になる。東電の担当者は、正門での誘導時に伝えられるかどうかだとか、県などに事前に説明することも努力すればいいのではないかとほざいている。

 双葉消防本部では配属されると、原発の勉強会を受ける。東電の説明者の口癖は「事故は起きませんから・・・」。事故は起きないという建前があるので、事故が起きた時にどうするかということを検討するのは自己否定になる。

 この事故の後にベトナムに原発の売り込みに行った総理がいる国だからね・・・。幸いにして商談は不成立だったけど。

 ぜひ皆さまにもご一読願いたい一冊 !
  
 コロナ禍に加えて猛暑。皆さまくれぐれもご自愛願います。  

  

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還太郎+7

Author:還太郎+7
畑や庭での作業を楽しんで、晩酌・早寝・早起きの毎日です。読書やドライブも好きです。

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